56弾 これは宝か鑑定しよう
翌日
「えーと、絵を調査して片付けていたら、宝の地図らしきものが出てきまして………。」
と、受付のセイクさんへ報告する。
「え、そんなものが出てきたのですか。」
セイクさんが少し驚いた表情でリアクションする。
「ええ、これがそれです。」
俺はそう言って、絵から出た地図と、あぶりだしにして文字の出た紙を見せる。
「へえー、これが宝の地図ですか。」
そう言ってセイクさんが地図をじっくりと眺めるが、くすくす笑い出す。
「これ、多分子供の宝探しごっこの時に、作ったものじゃないでしょうか。」
「え、どうしてまた、そう言えるのですか。」
多分そうなのかなと思いながら聞いてみる。
「この地図の場所は、旧街だからですよ。」
「旧街?、詳しく教えてください。」
「このイチノシティの街、元は別のところにあったのですが、手狭になって移ってきたのです。今の街からアクイ・オリエの方向です。」
アクイ・オリエだから南東の方向か。俺は更に質問する。
「旧街、ということは今は街の一部になっているのですか。」
「いいえ、手狭になったので、今の街に根こそぎ移設したのです。ここからだと、まあ少し歩くかも知れませんが。旧街は今はただの廃墟ですね。この地図だと近くの洞穴にあるとなっていますが………、ここもそんなに広さのない洞穴ですね。お宝を隠すようなことができるかどうか。」
「だから、子供の宝探しごっこだと言ったのですね。」
「ええ、どうします。この旧街は一応組合本部の管理にはなっていますが。」
「うーん、ここまできたら、子供のごっこに乗ってみますか。」
俺もここまできたら、ほっといてもいいのだが、行って調べてみるのもいいだろうという気になっている。どうせスカだろうけど。
「まあ、いいですよ。ニシキ様、何かおもちゃが出てくるかも知れませんね。」
「ええ、ちょっと行ってきます。」
「どうぞ、まあピクニックみたいなものでしょう。」
セイクさんにそう言われた翌日、宝の地図の調査として該当の地に向かうことにする。
「なんか、ダンの言う通り、子供の宝探しごっこのように思えてきたわ。」
メムがぼやきながら、旧街の風景を眺める。
「まあ、掘るのは俺ですから。」
シャベルとつるはしを担いで、俺はメムをなだめる。
宝の地図を見ながら、地図に書かれている場所を確認し、旧街の外れにある洞穴を探す。
旧街を縦断するように進み、旧街の外れに洞穴を見つける。洞穴は、そんなに奥行きがなさそうだった。20歩ほど進むと洞穴の奥についた。
「じゃあ掘ってみるのね。」
「ええ、メム様は見張りと警戒をお願いします。俺は、とりあえず掘ってみますので。」
「わかったわ。警戒と見張りね。」
メムがそう言うのを聞きながら、まずシャベルで、奥から掘ってみてダメなら別のところを掘ることにしよう。まず端っこからと言うことで、俺が最奥部に相対しての左手側から掘り返してみる。
ザクザクと掘ると、すぐに何か宝石箱くらいのような小型の箱が出てきた。箱を掴み、泥を軽く払う。
「え、何、もう出てきたの、お宝?」
そう言いながら、メムが目ざとく気づいて、俺の元に駆け寄ってくる。
鍵がかかっているので、箱を置いて、つるはしをテコのようにしてこじ開ける。中には………何と、貝殻が入っていた。
「へ、これのどこがお宝なのかしら………。」
そう言いながらメムがしおしおと崩れ落ちる。俺はそんなメムをチラリと一瞥して、箱の確認をすると、二重底になっているようだった。箱の中を触り、適当に押したり引いたりして、箱の中の内装を引き抜くと、そこから折りたたんだ紙が見える。紙を取り出し、広げてみる。そこには、
『よくここまできました。あと少しです。壁を超えてください。』
と書かれていた。
「なんか意地悪ね。この宝探しを考えたやつ。見つけ次第殺るわ。」
落ち込んでいたメムが、その文をみて、ドスの利いた低い声で呟く。
それを横目に、俺は、宝の地図を写したメモ紙を見る。そして、先ほどの箱から出した紙に書かれた文を見つめる。
「壁を、超えて、下さい、か。」
俺は、その文を文節に区切って呟くと、今の最奥部から新たに掘り進む感じで、つるはしを突き刺す。キン、っと硬い音がしたので、更に左端の別の場所につるはしを突き刺す。今度は手応えがあった。
「え、何、何、何?」
岩に見せかけて擬装された壁だった。それを掘り崩すと、人が通れるくらいの大きさの穴になった。もう少し掘り崩してみて、人2人が立ったまま通れるくらいの大きさにする。そして、その掘り崩してできた穴の奥にメムと一緒に進入する。
「うーん、これは。」
「この中のどこにお宝なの。ダン?」
中には、白色の大きい岩塊があった。
俺はその白白とした塊につるはしを打ち付ける。塊が砕けて握り拳大の石が飛び散る。
「もしかすると、これがお宝になるのかも。」
そう呟きながら、そうして飛び散った石を持ってきた袋に入れる。
「え、ちょっと、何しているの。どうするのこれ。」
そして、その白い石を入れて、袋の半分くらい満たしたところで、洞穴から引き上げることにする。
「え、結局お宝は、この白い石なの?」
洞穴から出ながら、メムが不満半分、疑問半分という感じで言ってくる。
「多分、俺の記憶によれば、これは、石灰みたいなものじゃないかと。この異世界でどう言うのかは分かりませんが。」
「へえ、もしかして建築資材の元になる素材?」
「昔からセメントや、漆喰の元として活用されてきたものですね。しかし、そう考えた理由は、会社員として働いていて、資材の買い付けをしていたので、それなりの知識があったもので。」
「ふーん、会社員として社畜になり労働していた記憶を生かしたのね。」
「社畜といわれると………あまり思い出したくないこともありますので。」
「じゃあこれを売るの。でも売るにはなんか少ないわね。」
「まず誰か詳しい方に、品質を見てもらいましょう。」
「ああ、なるほどね。」
その後、組合本部受付に戻り、発見したものについて、一旦報告をする。
「分かりました。品質の調査はニシキ様の方で行うということですね。でもお宝かどうかはまだ不明ですね。」
「子供の宝探しごっこかとも思ったのですが、まあ見てみてよかった気もします。」
そう言って、すぐにマーハ商店へ行き、ダホンさんにアポをとって、翌日に会うと、取引関係で繋がりのある建設関係者の紹介をしてもらい、テタミク商会の担当者に、その石をみてもらうことになった。
「どうも初めまして。マーハ商店から紹介状はいただきました。私はテタミク商会の資材担当、姓はリーナオ、名はトトモと申します。何か見てもらいたいものがあるとのことで。」
「ご多忙の中、時間をいただきましてありがとうございます。冒険者で姓はニシキ、名はダンと申します。では早速。」
そう言って、袋から宝探しで出てきた白い石を並べて見せる。
「ほう、これは………白壁材などの元になる白粉石、ですね。ニシキ様、どこで入手を。」
「このイチノシティの旧街付近の洞穴です。」
「え、あそこ何もないところだと言われていたのに、いや、失礼しました。先に品質を確認させていただいても。」
「どうぞ、どうぞ。」
そう言うやり取りをして、白粉石を持って一旦リーナオさんは離席する。
しばらくして戻ってくると、
「なかなか上質なものです。しかし、旧街付近の洞穴と言われましたが、場所を案内していただくことは可能でしょうか、もちろん商業ギルドの方に、話はこちらで通しておきます。」
「ええ、こちらとしても是非お願いします。」
翌日に、組合本部に集合してからその場所を案内することになった。
話し合いと石の鑑定を終えて、その話を、組合本部の受付にしたところ、
「まさか、そんな話になるとは………こちらで今後の話も詰めておきます。」
セイクさんが目を丸くしながら、そう言って対応する。
「もしかして、商業化の話ですか。まあ、組合本部管理の土地なのですからね。」
まあ、明日には案内して終わりかな、と思っていると、
「土地の管理はそうですけど………発見したニシキ様も話に加わることになるのですが。」
「え………、どういうことですか?」
「まあ、案内が終わった後の話になりますので。」
え、何かするのかなと思いながら、翌日、案内をする日になる。




