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209弾 どんな構成か考えよう

「うーん、どうすればいいのか……。」


 まあ悩ましいことになる。必殺技名からイメージを作り上げて必殺技を開発と言うが、そんな風にはいかないのは明白である。まあ、はっきりさせたほうがいいな。


「いいですか、メム様。そもそも必殺技というのは、漫画やアニメや特撮ものの映像作品でのみ使われるものです。そもそも、この異世界で必殺技が、前世の地球のアニメや漫画や特撮もので使えるのと同様に生まれるかどうかもわからないのです。一体何を見て必殺技をイメージしたのですか。」


「うーん、……地球にいたときの地上への現状視察……です。」


 ああ、なるほど、どうせ見てもちゃんと理解してないな……。本当に神様たちの現状視察って何をしていて神の世界で何の役に立っているのだろうか。まるでどこぞの不心得な議員が視察と称して観光旅行しているようなものじゃないだろうか。ちなみに視察とは、国語辞典によると、現地、現場に行きその場所の状態を見て回り状態を確認したり、学ぼうとする事であるが。


「まあ、必殺技にこだわって、これで失敗したり黒歴史になったりして、元の世界に戻った時にメム様がものすごく恥ずかしい思いをするかもしれませんが本当にいいのですか?。」


 とりあえずメムへのアプローチを変えてみよう。


「え、そうなの。元の世界に戻った時に恥をかくというのはどういうことなの。」


「俺が他の神にそういう話をするかもしれないですよ。そしてそれを聞いた他の神たちから生暖かい視線を向けられることになるでしょうね。そして陰で後ろ指をさされながらクスクス笑われて馬鹿にされるでしょうね。異世界に行って変なことをやっていたって。」


「う、そ、それは、想像すると……なんかいやね。この異世界に行く前に積み上げたせっかくの私のクールビューティなイメージが元の世界に戻ってから台無しになるのは。」


 どうやらこのアプローチは効果があったようだ。しかしメムのイメージって言うほどのものなのだろうか。


「必殺技名から開発して作ったとしても、その必殺技名があまりに痛いと他の神たちに思われたら、それこそ悲惨なことになりかねないですよ。だからこそ、地味そうな技を昇華させて必殺技にしてしまえば、それこそカッコいいじゃないですか。技を極めての必殺技ですよ。」


「なるほどね、極限まで極めての必殺技、か。いいわね、それ。ダンに今そう言われて思ったわ、地味そうな技を極めて必殺技にしてやるわ。」


 ようやくその気になってくれた……。



 何とか説得をして納得させて、やっと方向性を固めることになる。


「でも、噛みつき、爪での引っかき攻撃、あと頭突き。なんだかねえ、私の攻撃の技って少ないような気もするけど……。」


「まあ、グランドキャットの格好ですから。むしろそういう技が少ない分、一つ一つの技を磨き上げればいいのではないですか。」


「あ、なるほどね。でも磨き上げて極めて必殺技に昇華させるってそんな簡単ことじゃないわね。まあ、そう言いながらダンに無理なお願いをしているのだけど。」


 自覚はあるようだが、まあそれよりも。


「さて、外に出て必殺技開発を考えますか。」


 と言ってロッジの外に出て少し歩き、ボロ布でできた人形が積まれているところまで行くと、往復して担いでロッジの前で3体の藁人形を立てる。


「じゃあ、メム様、この人形に噛みついてみて下さい。」


 一体の人形に向けて噛みつき攻撃をしてもらう。

 メムがどこに噛みつくか迷いながら、首筋を目掛けて飛びかかり人形に噛みつく。噛み切られた人形の頭が崩れ落ちる。


「では、次に、もう一体の人形に爪で引っかき攻撃して下さい。」


 今度は躊躇なく首筋目掛けて右前足の爪で引っ掻く。さっきと同様に人形の首筋部分が斬られて首が落ちる。


「最後に、残ったその一体に頭突きで攻撃して下さい。」


 人形から距離をとって助走距離を計り、一気にダッシュをして人形の腹部に頭突きを叩き込む。人形の腹部の部分がへこみ、立っていた人形が仰向けにひっくり返る。


「ふう、言われた通りに噛みつき、爪攻撃、頭突きをしてみたわよ。ダン。」


「手加減なしで攻撃したのですね。」


「もちろんよ。日頃のストレス解消も込みで攻撃したのよ。」


 メムがそう言ったとおり、人形3体ともボロボロになっている。威力は確認した。


「では。一度ロッジに戻りますか。」


「え、いいの。そんな一回私の3種類の攻撃を見ただけでいいのかしら。」


「いや、これからは必殺技の開発についてメム様と一緒に考えてみようかと。」


「ふうん、まあいいけど。」



 ということで、再び居間に戻って話を続ける。


「ねえ、ダン。何か考えてくれているの。必殺技を。」


「ええ、まあ。メム様次第ですが……。」


 俺がそう言うと、メムが首を傾げながら


「何か奥歯に物が挟まったような言い方ね。私次第ってどういうことかしら。」


 と聞いてくる。


「まあ、メム様がこれからする俺の話に納得するかどうかなものですから。」


「???、じゃあ話をしてくれるかしら。」


 俺の返答に大きな疑問と少しの不満と不安を混ぜたような表情をするメム。


「まず一つ目の必殺技の案ですが、コンボ、いわゆる連続技的な必殺技です。」


「連続させるというのはさっきやって見せた3種類の技を連続させるということなのね。」


「ええ、そうです。一体の強敵にただ噛みつく、ただ爪で斬る、ただ突進して頭突きをするだけなら与えるダメージが少ないでしょうが、頭突き、爪で斬る、噛みつくと立て続けにやれば敵も受けきれないかもしれませんから。『必ず殺す』と書いて必殺ですから、必殺技は必ず敵を倒すものになります。」


「でも何か華やかさがない感じね。それにダンは連続技と言うけど、何をどう連続させるの。」


 案の定メムがそんなことを言う。


「そうですね、例えばまず突進して頭突きをしてすぐに爪で斬る引っ掻く、最後は敵の弱点を噛み切るとかはどうですか。」


「うーん、何か実感がないのよねえ。」


「ええ、ではまた外で実験的にやってみますか。」



 外に再び出て、先ほどのように人形が積まれているところまで行き、往復して担いでロッジの前で6体の人形を立てる。


「え、またこれ、今度は何をすればいいの。」


 とメムが聞いてくる。


「さっき言ったように、この人形一体に対して、突進して頭突き、爪での斬撃、牙を使って噛みちぎりと立て続けに攻撃してみて下さい。メム様の思うままでいいですから。」


 そう言うと、


「ふーん、まあやってみましょう。コンボアタックね、連続技ね。」


 そう言いながらメムが後ろに下がり助走距離をとって、


「じゃ、行くわよ。」


 と、一気に飛び込んで人形の腹部に頭突き、倒れるところに右前足の爪で斬撃、頭に噛みつき牙を突き立てる。

 人形は各々一つの技で一体ずつ攻撃した時よりひどくボロボロになっていた。


「どうですか、見ていただければ威力は段違いだと分かるでしょう。」


 メムにそう声をかける。


「単にコンボアタック、連続技と思っていたけど、こうやって見ると、確かに必殺技のような威力は感じるのだけど……。」


 「何か釈然としませんか。」


 俺も多分メムがそう言うのだろうと思っていた。


「まあ、必殺技というのはそんな華やかなものでも簡単に身についたりするものでもないですよ。俺は、必殺技なんてものは基本は積み重ねた技をより鍛錬し洗練させていくものだと思ってますから。でも必殺技を身につけるにはそれが一番です。」


「まあ、そう言われればそうだけど……。」


「もし、いやだ、もう俺のいうことは聞かないというのでしたら、ここで必殺技の開発は終了ということで。」


「そんなことは言ってないから、お願い、協力続けて、お願いします。」


 紙で契約書類として必殺技開発についての協力について記しているからな。

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