第4話「少年と駄菓子と賢者」
注意:リアルとは全く関係がございません。あとこのネタは2017年頃です。懐かしい……。
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邪神様がお世話になっている温泉宿の看板娘『灯』が通う高校近くに存在する喫茶店【森】で、コーヒーを嗜む邪神様。
邪神様は昼過ぎまでに運営する会社業務上必要な決済を終えていた。
しご出来なのである。
魔王曰く『数万年も人間を見続けてきた邪神様なので勘所を抑えている』とのことである。
やることをやった邪神様、まだ仕事中だった魔王を置き去りにして街に繰り出しては気儘にショッピングを楽しみ、足休めのためによった昭和感漂う喫茶店でお寛ぎ中である。
カランカラン
軽い音を立てて店の扉が開かれる。
入店してきたのは金髪の青年、魔王ジョンである。呼吸を乱しながら入ってきた魔王。どうやら急いで来たようだ。
そして魔王は邪神様を見つけ、深いため息をついた。失礼な話である。
「やるべき最低限だけやって逃げ出した上司が、コーヒー片手に平和な顔をしているのを見つけたら……誰でも呆れます……」
魔王は席に着くと『いつものお願いします』と常連風に振舞う。
だが邪神は知っている。10数度にかけて『これをいつも頼みますので』とこの店の従業員に宣伝しまくったことを。自発的に覚えていただいたわけではなく、魔王の努力の賜物であることを……。
「魔王、お疲れ」
魔王の前に置かれたのは、いつも通りショートケーキとコーヒーである。
何なら普通のケーキセットである。
裏では『押しの強いケーキセット人』とか『わざわざ定番メニュー押してくるイケメン』とか言われてそう、とか邪神様は思う。そして『ツッコミ要素多いなぁ』と邪神様ほっこり。
コーヒーを前に魔王は思い切りミルクを垂らし砂糖を入れる。
「ふふふふ」
ブラックコーヒーを堪能する邪神は邪な笑みを漏らす。
「タブレットで何の動画見てるんですか?」
魔王は邪神の不気味な笑顔に若干引きつつも、空気を読んで無視することにした。
そして魔王は邪神のタブレットをのぞき込んだ。
「国会中継」
魔王のテンション、急降下である。
タブレットから目を離すとソファーの背もたれに体重を預け、団扇をパタパタ仰ぎながら全力で脱力である。
「邪神様も悪趣味ですね。なんでそんな【不毛にも】同じことを繰り返している中継などを……」
『THE一般人の感覚』という類稀な能力を有する魔王の意見である。
「いやさ、ほらこのやり取りどっかで見たことない?」
言われて魔王は再びタブレットをのぞき込む。
……長かったので大まかにかいつまむと、こうだった。
===中継内容:開始====
野党『このような内部文書が告発されているのです! 政府は不正に友人を優遇していたのではないのか!』
総理『その文章については把握してないです。が、その件につきましては各省庁が合議で決めた正式文書があり。そちらにはそのような文言は存在しないです』
野党『でも文書はあるんです。総理はやってない事を説明していない! ちゃんとやっていない証明をしなさい!』
総理『普通は不正だ!と言われる方が正当性のある証拠を提示するものです。あなたが言っているのは悪魔の証明です。まずは不正がある事をきちんと証明してください。まずはその【自称】関係者が書いた内部文書という承認履歴のない文書から証明していただきたい』
野党『内部文書で正当なものです! あなたは内部告発者の善意を信じられないのか! それよりも疑惑に対して説明責任があります! 総理! 説明してください! 総理!』
===中継内容:終了====
「どうだった?」
「……ぶっちゃけていいですか?」
「許す」
「最大級の時間の無駄でした」
その回答に邪神は爆笑する。
「やったね! 大当たり! 大正解だ」
楽しそうにケタケタと笑う邪神様。むっとした魔王に邪神様は衝撃の事実を言う。
「俺はかれこれ1時間見てるが、何にも状況は変化しないwww」
くだらないと息を吐き出す魔王。「仕事しろ、社長」との言葉が魔王が漏らそうとした所で、邪神様が続ける。
「でもさ、これってさ。恋愛神の趣味とかで【あの世界の設定に合わせた内容のゲーム】をやり込んだ少女達を転生させた【あれ】にそっくりじゃない?」
「…………あー、あれですか?」
「そうそう、お前が魔王就任前に人間の国で王様やってた時に起きたあれ」
「……あれ、恋愛神様の趣味だったんですね。趣味わっるっっ! 高位神って何してるんですか……そして何気に詳しい所を見ると……あんたも一枚かんでたな!!」
ギクリと音を立てたように固まる邪神様。魔王は知らない。ゲームのエンディングロールに『原作:邪神さま』とでかでかと出てくる事を……。
一部乙女ゲーマーに伝説と語られる邪神さま先生である。柔らかく繊細な描写から女性シナリオライターであること以外すべてが謎の人物である。
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