第1話「邪神と魔王は虐待に抗議します」
久しぶりの連載です。
頑張って30話程度で収めます!
よろしくお願いします!!
朝風呂。
快晴、早朝のせいなのか薄く広がる青空。
気温は上がらず、凛とした空気が寝ぼけた目を開かせ強制的に意識を覚醒させる。
早朝、そんな時間に風呂に浸かる。清潔感すら感じる静かな朝、急激に覚醒した意識。掛け湯で体の汚れを軽く落とした後に浸かる湯はつまさきから脳天まで電流が走ったような心地よい刺激と同時に熱が染み渡るような、包み込まれるような心地よさを感じる。
「ふぅぅぅぅぅぅぅ」
男(邪神)は心地よさから息を吐き出す。
それは腹の底から体全体を使い気持ちよさを表現するような行動だった。
男(邪神)の時間はゆっくり経過する。
やがて差し込んでくる朝日を細い目で眺めながら男(邪神)はゆっくりと時間経過を楽しむ。
体が火照れば男は露天風呂から出て、体を少し気温の低い朝の空気へさらす。
ゆったりと流れる時間と相反するように一気に冷える体の感覚もまた、意識の覚醒と共に心地よさを感じることができる。
「う~寒い寒い」
そして男(邪神)は再び露天風呂に浸かる。
こうして男(邪神)は朝風呂を楽しむ。
やがて軽やかな疲労感や体の覚醒と共に、湧き上がる空腹を自覚させられる。
そして男(邪神)は今日の朝食を想う。
純和風の旅館。
小さめの食堂ではバイキングなどはない。
ここでは焼魚と海苔、納豆とみそ汁、そしてほかほかの白米が提供される。
男(邪神)は思う『宿でくつろぐには、やはり定番の朝食が良い』と。
食堂に着いた男(邪神)は忙しそうに働いている宿主に挨拶をし、いつものテーブルに腰をかける。
ゆったりと進む時間と軽やかな疲労感が体を襲う。そして同時にゆとりとは相反するせっつくような空腹感にも襲われる。
……朝食が待ち遠しい。
男(邪神)は切に思うのだった。
スマートフォンでニュースを漁ったあと男(邪神)は壁掛け時計をみる。
まだ少しの時しか過ぎていなかった。
男(邪神)は大きく息を吐き出し『よっこいしょ』と言う掛け声と共に立ち上がり、宿に置かれていた地元新聞を手に取り再び席へ戻る。スマートフォンで情報を収集済みであり特に必要ない行為だが、男(邪神)はこの行為を気に入っていた。待つ時間を楽しむのもゆとりだ。
ふと男(邪神)は新聞から視線を外し、外に目をやる。
太陽はすっかり顔を出していた。
雲一つない快晴の青空、朝早く空が高く感じられる景色が男(邪神)の心を清める。
「今日はドライブで東の方にでも行こうかな……」
言葉に余裕を含ませながら男(邪神)は独り言ちる。
やがて運ばれてきた朝食をゆったりといただき、食後のお茶を流し込む。
男は美味しかった朝食に想いをはせながら、男(邪神)は満腹感と共にゆっくりと流れるゆとりの時間へ浸る。
男(邪神)が本日行う業務、その開始時間までまだまだ余裕が存在する。それをどう使おうか? 男(邪神)は思案する。
何をしようか思案しながらも男(邪神)の足は自然と風呂に向かっていた。
2度目の露天風呂。
再び暖かさと満足感に包まれながらも本日のスケジュールを脳内で整理する。
そして不意に男(邪神)は過去の事件を思い出す。
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