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鬼頭の嫁―最凶の鬼を使役するJKって、美味しいですか?―  作者: 白雲八鈴


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第46話 龍神にお願いしようとしたのだけど

「それでさぁ、相談があるのだけど」


 私は一旦家に戻って、学校の裏山に来ていた。

 そして、しゃがみ込んで、水に満たされているものの、水面には何も映さない水面に向かって声をかける。


「対価はこのお酒でどうかな?」


 龍脈の気が練り込んである酒だ。

 しかし、水面に何も変化は見られない。

 だが、水面を覗き込んでも底が見えるわけでもなく、私の顔が映るわけでもない。


 だから、ここにいるのはわかっている。


「無視? 無視するの? 小さい頃よく遊んでくれたじゃない」


 水面をバシバシと叩く。

 正確には初等科のときのことだ。この直ぐ下には初等科の棟があるので、ここに遊びに来ていたのだ。


「話ぐらい聞いてくれても、いいと思うのだけど?」


 すると水面からポコリと気泡が浮かび上がる。そして灰色の鯉が浮かび上がっていた。

 そっちの姿できたの?


『何用か』

「何故。鯉なわけ?」

『鬼が睨んでおるからじゃな』


 鬼頭の所為か! 私は振り返って鬼頭を見上げる。いや、いつも通りだけど?


「はぁ、用件なのだけど。呪具を埋め込まれた子がいるのだけど、その呪具を食らってくれないかな?」

『呪具の対処に困るようのものは作るものではないぞ』

「その子は外の子なんだよ。もうすぐ壊れそうなんだよ」

『だったら、壊れるまで待てば良い』

「その子が死んじゃうよね」

『死ねば良い。それが定めというものじゃ』


 そうだよね。そういう考えになるよね。その辺りが人とは違う。


『それよりも、水が淀んでおるところがある。穢れを流されておるぞ』


 穢れ? 呪いってこと?


『最近できた建物の地下じゃ』

「最近建てられた建物はないよ」


 いつの最近のことを言っているわけ? 長い時を生きるモノの感覚が違うから困るな。


「陰陽庁の建物のことか」


 同じ感覚をもつ鬼頭からの答えだ。


『そうかも知れぬ。あと、少し前に異物が入り込んでいるぞ。鬼よ』


 異物ってなに? 結界は直したから機能はしているはず。


『結界は既に意味をなしておらぬではないか。あれでは無くて良い』


 それだけを言って灰色の鯉は水底に沈んでいった。

 これはどういうこと? 龍神が嘘をついているとは思えない。だったら何のことを言っている。


 結界が意味をなしていないだって?


「俺は反対したが、白蛇がいいじゃないかと言ったのだ。俺の所為にしないでもらいたい」

「鬼頭。龍神が言った意味ってなに?」


 私は立ち上がって鬼頭に詰め寄る。私が維持している結界の何が意味をなしていないのか。


「はぁ。外との出入りを自由にしたことだ。あれでは外のモノが紛れて入ってくると俺は反対した。だから屋敷を結界で覆った。異物を身近には入れたくはない」


 これは陰陽庁ができたときのことだろうか。それまでは屋敷の周りに結界は張っていなかったけど、外から人が入って来たことで結界で覆ったと。


 そして、少し前に何かが里に入ってきたと……石蕗さんのこと?

 しかし、彼女は被害者で、不具合のある呪具をその身に宿している。


 不具合がある呪具を。


 今までの流れからいけば、その不具合も織り込み済みだったとしたら?


「不具合のある呪具を異形が取り込んだらどうなる? いや、一度調伏された式神が、壊れた呪具を取り込めばどうなる?」


 以前の主との契約の残滓と壊れた呪具。そして稀として連れてこられた石蕗さん。石蕗さん……?


「壊れているのに、呪具は石蕗さんに影響を与えていない」

「時折存在するのが、無明と呼ばれる者だ」


 無明……普通であれば無知の者という意味になる。


「それはどういう意味?」

「何も影響を受けないものだ。その者にとって目に見えているものがすべて、だから結界も意味をなさない」

「は? 結界を素通りできるってこと?」

「ああ、一度酷い目にあった」


 もしかしてこれが結界内に他の者を入れることを拒んでいる理由だったりする?


 そうか、目に見えるものがすべて。呪具が反応する異形は呪具が石蕗さんに見せている。だけど一度調伏したものは呪具は反応しないから見えない。

 見えないものは石蕗さんにとっていないもの。

 そして呪具も石蕗さんの内にあって見えないもの、だから影響を受けない。


「それはわかった。だったら、呪具は何を生み出そうとしている?」


 ここだ。私の目には壊れた呪具でしかなかった。これが異形なる式神に食わせるとどうなるかだ。


「はぁ、私の目は役に立つようでたたないな。二つにわけられると、さっぱりわからない」

「真白は良く頑張ってる」


 そう言って鬼頭は私の頭をグリグリと撫ぜてきた。頑張っていても結果に繋がらないと意味がないんだよ。


 そのとき下にある学校の南の方から何かが爆発したような音が聞こえ、煙が青い空に立ち上っている。


「え? なに?」


 そして、感じたこともない異様な力の渦が辺りを侵食していったのだった。


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