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鬼頭の嫁―最凶の鬼を使役するJKって、美味しいですか?―  作者: 白雲八鈴


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第42話 何のためにウワバミを二人も連れてきたと思っているのか

「相変わらず、酒が美味いのか不味いのかわからん顔をして飲むな」

「お前は喋りすぎだ」

「はん? 酒は楽しんで飲むのが一番だ。蘇芳もそう思うだろう?」

「酒は好きなように飲めばよろしいかと」

「つまらん鬼どもだ」


 出された夕食をつまみに、酒を湯水のごとく飲んでいる三人。酒瓶が直ぐに空き瓶になり、次の酒瓶が用意されるということが繰り返されている。


 私は御膳に乗せられた食事を黙々と食べている。私は役目を完遂した!

 はっ! 違った本題は今からだ。


 大方食べ終わった御膳を横にのける。因みに御膳とはお盆に足がついた机のようなものだ。畳の間で食べるときに重宝する。


「紫雨様。ご報告があります」


 私は、私の向かい側で私と同じように黙々と食事を取っている男性に声をかけた。 


「そのために来たのだよね。もちろん聞くよ」


 ニコニコと笑顔を浮かべながら私を見る瞳は青。そう、赤ではなく青色なのだ。

 そもそも鬼頭と大祖父様と酒を飲んでいるものが、誰かという話になるのだが。


 ちらりと背後に視線を向ける。


 そこには白いと言っていい人物がいた。長い髪も白く、皮膚も白く、着ている着物も白い。ただ瞳だけが赤かった。


 私の視線に気がついた鬼頭が、謎の空間から陶器の酒器を取り出した。五合は入りそうな徳利だ。


「琉球の酒だ」

「泡盛か」


 徳利から直接、グビグビと酒を飲みだす白い人物。


「くー! 美味い! …………」


 飲みきったところで、徳利を抱えたまま畳の上に転がり、寝てしまった。よし、勝った!


 思わずガッツポーズをする。


「蛇神様を酔わせて潰すのは、真白ちゃんぐらいだよ」


 紫雨様はクスクスと笑いながら、そんなことを言った。しかしアレがいるとまともに話ができないのだ。絶対に邪魔だ。


「酒に呪を混ぜ込んだだけです」

「いやいやいや。そういうのには敏感なお方だからね。こうも簡単には落とせないよ」

「だからウワバミを二人連れてきたではないですか」


 私の言葉に、楽しそうに笑い声を上げる斎木家当主である斎木紫雨。斎木の当主となる者には代々の式神を受けつぐという義務が発生する。


 鬼頭家が鬼頭に生贄の嫁を差し出すようにだ。


 こんな隠れ里のようなところに、引きこもる鬼頭家と斎木家が普通なはずがない。


 鬼頭家は鬼である鬼頭を中心に成り立っているが、斎木家は祀り上げる蛇神を中心に成り立っている。


 代々の当主は蛇神様に憑依されながら過ごさなければならない。これはもちろん恩恵はある。

 蛇神の神力を当主が扱うことができるのだ。


 ただ太陽が昇っている時間帯は蛇神は眠っているのだが、太陽が沈むと蛇神が目を覚ます。すると当主の身体は蛇神の意のままになってしまうのだ。

 だから、これと話をしても話にならない。


 なので、取り敢えず酔わす。

 最初は私がお酌をして、いい気分になってきたところで、少し離れたところに大量の酒瓶を用意する。酒につられて人の身体から出てきたところで更に酔わして、強い酒と呪を混ぜた物を飲ませて酔い潰す。


 肝心なのは当主の身体から蛇神が出ていくかどうかだ。


 しかし私の作戦勝ちだ。上手く酔い潰すことができた。まぁ、蛇神様がこうも気が緩んでいるのは旧知である鬼頭がいるからに他ならないのだけどね。


 だから鬼頭が居てこその作戦だ。


「ではそろそろ本題を言ってもらえるかな」






「一般職員がねぇ?」


 一通り私の話を聞いた紫雨様は首を傾げている。


「そもそもそんな術式を使えるのであれば、別の仕事を与えている」


 すっと陰陽庁長官の顔になった紫雨様は、陰陽庁の職員の関与を疑問視してきた。二つの呪を同時ではなく、バラバラに設置して発動させたことに一般職員の関与が否定できると言いたいのだろう。

 普通では発動することはないと。


「しかし、状況から言えば、里の結界の周りに発生させてある迷いの霧の解除の術式は陰陽庁で管理しているはずです」

「さて、高度な術を使う者であるなら、それぐらい解除することが可能だろう」


 不可能か可能かと問われたら可能だ。霧の特性を読み解いて、自身が霧の影響を受けないように守りの結界を張ればいいこと。


 陰陽庁長官としては内部の者が里の結界に手を出したということを認めたくはないのだろう。いや認めるわけにはいけない。


 そんなことを認めれば里の在り方を否定しているものが陰陽庁の中におり、内部調査をするために外の人を招き入れる状況になりかねないからだ。


 しかし、しかしだ。


「それなら、招かざる者が里の結界を通り抜けたということになります。それこそありえません」


 500年以上、里を守っていた結界だ。それも人の力ではなく、龍脈という人一人ではどうしようもない力を利用して張っている結界を、外から何も異変を感じさせずに通り抜けることは不可能だ。

 そう、陰陽庁が管理している車を用いない限りは。


「紫雨よ。人が愚かであることを忘れてはならぬぞ」


 ちっ! もう酒の呪が切れてしまったのか。



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