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鬼頭の嫁―最凶の鬼を使役するJKって、美味しいですか?―  作者: 白雲八鈴


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第41話 この意味のない札は何?

 時刻としては十五時を回っていたけれど、いつもの着物袴に着替えて里の南側の山の中を歩いている。

 鬼頭がだ。私は大丈夫だと言ったものの、鬼頭に抱えられていた。


 目的地は二箇所だ。以前通ったときに鬼頭がある程度草木を排除してくれていたので、進むのに何も障害がなかった。


 そう、以前は伸びた草木を霧の中で排除しながら進んでいたのだ。ということはだ。歩行に困難になるほどの期間は誰もここに足を踏み入れてはいないということだ。


 一ヶ月以上前から仕掛けられていたということ。



 そして、私は最初にぶっ飛ばして修復をした竹の場所にたどり着いた。


「下ろして」


 鬼頭に地面に下ろしてもらい、周辺を探す。周りの木の幹。草の間。転がっている石。石?


「石の位置がズレている?」


 土の凹みがある部分が広いように見える。

 スイカほどの大きさの石の底を確認しようと、ひっくり返そうにする。その手を取られて、鬼頭が片手で石を持ち上げた。


 ……それ石に指がめり込んでいない?


 その石の裏に土がついた札があった。これだ。


 しかし土で汚れて墨で書かれた文字が読めない。だから視る。


「これは、今日見た札と同じだ。これ自体には境界を作るものでしかない」


 ということは、やはり二つの呪で術を成すようになっていたということだ。


 そして出入りする道路を挟んだ反対側にも同じ物があるはずだ。二つで一対とし、道を挟んで成り立つ境界。それは見えない門としてそびえ立つ。


 皮肉なモノだ。それは私が作ったモノと同じ。


 いや、敢えてと言った方がいいか。


「鬼頭。このまま持ち帰ることは可能?」

「ああ」


 そう言って、鬼頭は謎の空間に石ごとしまう。


 もう一つの方の札も回収して、その場を後にしたのだった。






「真白さん。何か用ですの? こんな遅くに」

「まだ、外は明るいよ? 桔梗」


 私は桔梗の家である斎木家の門を叩いていた。日は落ちてしまったけれど、空はまだ明るい。


「七時を回っていますわよ」

「それは仕方がないんだよ。斎木長官は戻っている?」

「お父様に用事ということですの?」


 十九時を過ぎてしまったのは仕方がない。大祖父様のところに寄って事情を説明して、陰陽庁にいるはずの長官に式神を飛ばしてもらったのだけど、既に帰宅したと連絡が返ってきたのが十八時を回っていたのだ。

 そこから斎木家の方に式神を飛ばしてもらって、いつでも訪問してくれていいと返事が返ってきたのが十八時半。


 ジジイを二人連れて、ここまで移動してきたのだ。十九時を回っても仕方がない。


「夜分遅くに申し訳ない。紫雨(しぐれ)殿に蘇芳が参ったと伝えて欲しい」

「こ……これは鬼頭蘇芳様! お上がりください」


 桔梗は大祖父様が一緒だと気がついて、直ぐに家の中にあげてくれた。私と鬼頭だけだと追い返すような勢いだったのになぁ。


 桔梗が住んでいる斎木家本家も広い。昔ながらの作りで、風通しが良すぎるほどだ。っということは冬は凄く寒い。この時期は風が通っていいのだけどね。


 奥に案内され、二間続きの畳の間に通された。


「ここで少々お待ち下さい。父を呼んでまいります」


 桔梗はそう言って部屋を後にし、入れ違いに着物を着た女性がお茶を持って入ってきた。いや、人型の式神だ。


 そして入っていた畳の上で正座をして両手をついて頭を下げている。


『お食事はご準備が整い次第ご用意させていただきます』


 まるで斎木家に夕食を食べにきたようになっているけど、これはいつものこと。


「それでかまわぬ」

『かしこまりました』


 大祖父様の言葉に返事をした式神は、私達の前にお茶を出して、すっと消え去っていった。


 私がそのお茶に手を出そうとしたとき、外の廊下の方から怪しい気配が近づいてくるのを感じ、その手を下ろす。


 はぁ、上手く話に持っていけるか。機嫌が良いといいのだけど。

 いや、話ができるように持って行く。そのために大祖父様にまで、きてもらったのだから。


 夏の熱気をこもらせないように開けはなたれている廊下から一人の人物が入ってきた。空のような青色と言っていい長い髪を肩口で一つに結い、夏なのに羽織まできちんと着こなしている人物が、桔梗の父親である斎木紫雨である。


 ただ異様なのは光を帯びたような赤い瞳だ。


「紫雨殿。急にすまぬ。ひ孫の真白が貴殿に話があると言っておるのだ」


 ここで鬼頭の嫁とは紹介されない。この場では意味がないからだ。

 そして赤い瞳が大祖父様から私に移る。


 はぁ……頑張れ、真白。絶対に酔わす。こっちはウワバミを二人連れてきているのだから。


「紫雨様。夜遅くの訪問にも関わらず会っていただき感謝いたします。まずは一杯いかがですか?」


 私は大きめの盃を畳の上に置き、一升瓶を笑顔で掲げて見せる。

 勿論これは鬼頭の謎の空間に入れて運んだものだ。


「うむ」


 頷いた紫雨様は私が置いた盃を手に取り、差し出してきたのだった。




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