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鬼頭の嫁―最凶の鬼を使役するJKって、美味しいですか?―  作者: 白雲八鈴


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第40話 無くなっている!

「こちらは、玄関扉を閉めたときに榕様がいないことに気が付き、慌てて玄関扉を開ければ、二階の部屋につながっていましてね。隠されていた呪具を解呪して戻ってきたところです」


 無限ループするように部屋と部屋を繋ぐ境界に術を施し、簡単には出られないようにしていたようだ。


 これは大津がいて助かったということだろう。


「そう。そちらも大変だったようだね。それで、依頼の件だけど、北側の敷地の間口に釘を打ち付けた。これは簡易的に霊門を作って鳥居の役目としているのだけど、絶対に抜かないで欲しいと依頼者に伝えて欲しい」

「かしこまりました」


 こうして最初の実地訓練は不穏な空気を残したまま終わったのだった。



 そして帰りの車内でのこと。

 私はいつものように鬼頭に頭を預けて寝ていた。


 だが、ふと意識が浮き上がって、飛び起きる。

 さっき凄くザワリという感覚が身体を駆け巡っていった。


「真白どうした?」


 鬼頭が声をかけるもその言葉には応えず、何が起こったのか調べる。


「ない」

「何が?」

「無くなっている」


 私はロングベストの胸ポケットに入れていた私の人形(ひとがた)が無くなっているのに気が付いた。


「私の身代わりになるように作っていた人形(ひとがた)が消えているの。破れたでも切られたでもなく、消えている」


 それはまるでどこかに移動してしまったかのように、何も鱗片を残さずに消えてしまったのだ。


 そんな私を鬼頭はなく子をあやすように抱き寄せた。

 私はそんなに不安な顔をしていたのかな?


 大丈夫だよと言おうと思い、視線を上げるときに見つけてしまった。鬼頭に引っ張られたときに鬼頭の胸元に置いた右手の甲を。

 そこは謎に腫れた赤い跡があった場所。

 それが綺麗さっぱり無くなっていた。その無くなった場所にわずかながら術の痕跡が私の目に入ってくる。


 もしかして、何かの条件を満たさなければ術を発動しないものだった?


 一つのものでは意味をなさず、二つあって始めて術式として完成するものがる。

 そうなると、一つだけでは私の目には引っかからない。それは術としては未完成であり、ただの物だったりする。


 何だ? 何に反応した?


「大津。今どこを走っている?」

「え? もうすぐ里に下りますよ。八坂のお饅頭屋に寄りますか?」


 里まで帰ってきている? だったら、何に反応……南。門柱の札。虫。


「いや、いいよ。今日は早く帰りたいかな」

「え? 真白様が八坂の饅頭を食べないって……さっきも俺に残りをくれたし……ヤバい病気ですか?」

「真白様。体調が優れないのですか」


 君たち。何故私がお饅頭を食べないと、体調が悪いってことになるのかなぁ。


「どうもないよ。あと、君たちの評価は50点のままだからね」


 私の言葉に仲良く悲鳴を上げる榕と若月。

 そんな二人をよそに私は鬼頭に一言だけ言葉にした。


「相手の狙いは私だ」







「はぁ、やっぱりここが一番落ち着く」


 榕と若月は学校の駐車場で降りていったけれど、私と鬼頭はそのまま鬼頭家の屋敷があるところまで送ってもらった。


 大津に言っておくことがあったからだ。


 私の話を聞いた大津は了承してくれた。本来は大津の仕事ではないけれど、大津も被害者側なのは間違いない。

 今回のことはどうも里の人が関わっているので、あまり事を大きくできないというのもあったからだ。


「真白。行儀が悪い」


 帰ってきて、そのまま居間で横になって伸びていると、鬼頭に怒られた。別にいいじゃない。


「私は元々行儀が悪いんだよ」


 畳の上で寝転んだまま鬼頭に口答えする。

 そして、車の中で言わなかったことを、鬼頭に告げた。


「鬼頭。今回のことは陰陽庁の誰かが関わっている」

「そんなことは行動を把握されている時点でわかっていることだ」

「そうじゃなくて、里の結界の件だよ」


 里の結界は南側の二箇所に細工を施されていた。それも呪具というには不出来なものでだ。


「今からもう一度問題があった触媒のところに行こう。あれはブラフだ。その周りに本来の目的の物が仕掛けられているはず」


 結界に何かがあると私は動かざるを得ない。だから相手はワザと触媒の竹に呪具を仕掛け、その周りに結界に沿うように呪具を設置したはずだ。そうすると、私は結界を修繕したときにその呪具の術ごと知らず知らず巻き込み、術を安定させることになる。


「私がさっき異変を感じて飛び起きた場所は、恐らく里の結界がある位置。陰陽庁の車には結界を通過できる術と迷いの霧の効果無効が施されている。車内にいれば結界の存在なんて感じないのは当たり前」


 その当たり前ではないことが起きたのだ。


「陰陽庁の職員なら、迷いの霧の無効化の術がどういうものか知ることができるよね」

「それであの者に頼んでいたのか」

「そうだね」


 私は大津に頼み事をした。陰陽庁の職員の中で里の結界のことを調べていた者がいないか、年単位で遡って調べて欲しいと。


「はぁ、後で桔梗のお父さんのところにも行かないと……行きたくないけど」



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