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鬼頭の嫁―最凶の鬼を使役するJKって、美味しいですか?―  作者: 白雲八鈴


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第29話 この洋服の何が問題?


「真白さん。なんです? その格好は?」


 外に出されてしまった自分の机のところに行くと、桔梗から挨拶より先に格好のことを言われてしまった。


「桔梗、おはよう。十環のおすすめだよ」

「十環さん! ちょ―――――みじ―――んか」


 桔梗は十環に詰め寄って、何かコソコソと言っている。別にそんなおかしな格好ではないはず。


 白の長袖のブラウスに足の動きを阻害しない膝上の黒いスカート。その上から色々仕込める黒のロングベストを羽織っているだけ。


 まぁ今朝、十環のおすすめのオーバニーソックスを履いて出ようとしたら、鬼頭に怒られた。

 意味がわからない。先日着ていた、どこぞかの高校の制服みたいなものじゃない。


 それで黒いタイツで、しぶしぶ納得したという感じだ。


 因みに鬼頭の格好はダークブラウンのズボンに、ワイシャツを袖まくりして着ている。

 洋服は窮屈だと言って好まないらしいけど、私に付き合って外に行くときは着るようになった。


「えー? そうかな? 似合っているからいいんじゃない?」

「真白さん! 私が今度別の物を用意しますから!」

「十環が選んだ洋服がいっぱいあるからいいよ。普段は着物だし」


 桔梗が洋服を着ているところって見たことないんだよね。

 どういう好みかわからないし、紫色でまとめられても困るし。


「チャイムなったのが聞こえなかったのか。席につけ」


 今日も相変わらず、暑苦しいロングコートを着た霜辰先生がやってきた。


「中等科には誰が担当するかは、まだ言っていないからな。外に出る前にちゃんと自己紹介しておけよ」


 先生それは職務放棄ではないのかな? 当日に誰かってわかって、目の前で「えー!」って言われると傷つくと思うのだけど。


「今日つく陰陽庁の職員は、中等科を担当している職員のどちらかだから、いつも通りの対応はできないと覚えておけ」


 それはそうだよね。メインは中等科の三学年生だから、その担当者がつくのは当たり前だ。


「わかったら、さっさと中等科の棟に行け」


 それだけ言って霜辰先生は校舎の中に戻って行った。あの⋯⋯目的地の説明がなにもされていないのですけど?


「はぁ、まどろっこしいのは嫌いですのに、私が片付けてしまっては駄目なのかしら」


 そう言いながら中等科の棟に向かう桔梗。うん。駄目だと思うよ。


「内緒だったんだ。(あこう)に聞かれたから言っちゃったよ。その後何故か『俺死んだ』とか言っていたけど、意味わからないよね?」


 十環。十環は久しぶりに外の依頼だって喜んでいたから聞いていなかったのかもしれないけど、先生は誰が担当するか話すなと言っていたんだよ。


 十環はウキウキとした感じで中等科の方に向かっていく。


 それとは逆に私は憂鬱だ。絶対に合わない二人と一緒って何か問題が起こりそうじゃない。


 私と同じように肩を落としながら行っている背中が見える。互いに頑張れという視線を送った。


 確か左近家の問題児を担当するって嘆いていたよね。頑張れ。


 すると鬼頭から頭をポンポンと叩かれた。はぁ、わかっているよ。


 私は重い足を動かすのだった。




「何故、アコウがいますの!」

「それはこっちのセリフだ! ワカツキ!」

「はぁ? 私は八番車に行くように言われただけですわ!」

「それは俺もだ!」

「アコウと一緒だなんてありえないですわ! 先生に文句を言ってきます!」

「ワカツキのそのキンキン声に、先生も頭が痛くなるだろうがな」

「なんですって! アコウの存在そのものに吐き気がしますわ!」


 ⋯⋯既に喧嘩が始まっていた。中等科の棟に行けば、八番車のところに行くように言われ、北側の駐車場に行けば、このとおりだ。


 黒髪に鳶色の目に怒りを宿しているのが、鬼頭(あこう)。十環の弟だ。

 そしてオレンジ色の髪に臙脂色の瞳を嫌そうに細めているのが(まゆみ)若月(わかつき)。桔梗の従姉妹だ。


 なんというか、とても性格が合わない二人で、見る度に口喧嘩をしている。手を出さないのは、互いの鬼頭の鬼の力と斎木家の陰陽師の力が拮抗しているからだと言っていい。まぁ、まだ未熟ということだね。


 陰陽庁の担当者を見れば、黒スーツの女性がオロオロとしている。大人なんだから、止めに入ればいいのに。


 こういう時はそうだね。

 私はロングベストのポケットからひし形に連なった紙を取り出す。そして二人に向かって投げつけた。


「『捕縛』」


 ただの紙が二人に絡みついていく。両手を胴体に縛るようにぐるぐる巻にしたのだ。


「え? なに?」

「何だよこれ! 引きちぎれないじゃないか!」


 そんな二人に向かって私は両手を打つ。こちらに視線を向けるように促した。


「はい。注目! 今日と明日、担当します鬼頭真白です。よろしくね」

「⋯⋯」

「⋯⋯」


 あれ? 初対面じゃないはずなのに、何故にこいつ誰だという顔で見てくるのだろう。


 すると若月が膝をついて地面に倒れ込む。

 え? 私、捕縛の術しか使って居ないはずだよ?


 (あこう)を見ると青い顔色をしてパクパクと口を開け閉めしている。

 この(あこう)の状況はどう解釈すればいいのだろう?


 首を捻っていると鬼頭に抱えられ、車の一番後部座席に連れて行かれた。


「おい。さっさとそいつらを乗せて出発しろ」


 鬼頭。この状況を放置するのはどうかと思うよ。



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