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鬼頭の嫁―最凶の鬼を使役するJKって、美味しいですか?―  作者: 白雲八鈴


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第15話 スマホは危険

「それじゃ、私も!」


 十環はそう言って自分の席に行って、地面にしゃがみ込んだ。すると校庭の土から緑の草が生えてきたと思えば、茶色い蔓が伸びてきて、上部で絡み合い再び地面に下りていった。そしてその蔓から緑の葉っぱが生えてくる。


 植物で作られた日除けだ。


「流石。緑鬼の十環ですわ」

「えへへへへ」


 桔梗に褒められて、十環は照れ笑いをしている。緑鬼。それが十環の能力であり、植物なら自由自在に操れる能力だ。


「あまり使えないけどね」


 と言いつつ、十環は風呂敷を縦に伸びる蔓にかけると、別の植物で覆った。おそらく夏の灼熱から守るように冷気でも出るように工夫しているのだろう。

 そこから白いモヤが出てきている。


 何が使えないのだ。自分だけ涼むつもりなのが、ありありと見て取れる。


 そして、私の背後からドンっという地響きが聞こえたので視線を向ければ、巨大な蛇の目の番傘が地面に突き刺さっていた。


 差したのは勿論鬼頭であり、一番後ろの私の席と謎のガーデンチェアーの間に突き刺さっている。

 あのガーデンチェアーは、確か蔵にしまってあった物だと思ったけど、いつの間に取り出したのだろう。


「鬼頭様の謎の収納って便利だよね」


 この光景を見た十環の感想だ。謎の収納。

 一度聞いてみたけど、鬼頭自身は無意識に使っているらしく、本当に謎の収納の術だった。鬼頭の刀もそこに収納されている。


 しかし辺りを見渡すと、これぐらい大したことでもないという光景が広がっていた。


 自分の席の下に水面を張って机を浮かせて気化熱で涼もうとしている者とか、自分の式神に術を使わせて、周りを氷で囲っている者とかだ。あとは桔梗のように日除けする物を用意して設置している。

 それぞれが夏の暑さ対策は万全で登校してきていた。


 それぐらい、慣れていると言い換えればいいだろう。何故なら……


「なにこれ!」


 突然私の思考を邪魔するような甲高い声が降ってきた。


「外で授業って、教室が外に移動するってこと!」


 声がする方に視線を向ければ、昨日のプリン頭の女の子だった。誰も教えて上げなかったのだろうか?


「何を言っているんだ? 先生が外で授業するから、机を校庭に出せって昨日言っていたじゃないか」


 いや、説明というよりも状況的に判断しろということだったのだろうか。


「たぶん。聞いていなかったと思うよ。だって、里を一周しただけでへばって倒れていたもの」


 里を一周コースと言っても、車が通れるように舗装された道を走るだけだから、十kmはないはず。


 遅い人でも一時間半ぐらいで走れるはず。


「聞いていない! それよりこれ何よ! 水? 氷? 木? なんでこんなところにあるのよ! それに外で授業だなんて日焼けするじゃない! 暑いし! 体罰よ! 体罰! 警察を呼ぶべきよ!」


 凄く怒っている女の子に、みんな呆れた顔をしている。もしかして今まで、ずっとこんな感じで叫ばれていたのだろうか。


 と考えていると、その子から少しでも離すようにか、鬼頭が私を抱えて席に連れてきた。

 ああ、昨日のことを鬼頭はまだ許していないと。


「真白。結界を張れ」

「はい。はい」


 夏の暑さを遮断するように、外気を入れない結界にする。私と鬼頭の周りに透明の膜が張られた。


「音もだ」

「いや、それは霜辰(そうしん)先生に怒られるから駄目だよ」

「うるさい」

「はぁ……」


 一定の音のみを通さないように調節するか。


 色々結界に調整をかけていると、桔梗が動いた。

 すると、呆れた顔をしていたクラスの皆や、遠巻きに見ていた他の学年の者たちが、さっと引いていく。


 斎木家の桔梗は、実質この学校内での女帝だ。いや、陰陽庁のトップが斎木家当主のため、桔梗に逆らわないという風潮が出来上がってしまっているのが実情だった。


「貴女。どこの誰だか知りませんが、そのうるさい口を噤みなさい」

「何よ! あんたこそ誰よ!」

「これは失礼しました。斎木家直系。斎木桔梗。この業界で生きて行こうと思うなら、斎木家に逆らわないことですわ」


 笑っていない笑顔を扇子で隠しながら、堂々と言った。この桔梗に逆らうなと。


「は? なにそれ? これってもしかしてイジメ? 私が可愛いからって酷くない?」


 その言葉にうんざりとした空気が漂ってくる。なんだか、変わった子が入ってきたのね。


「イジメではありません。本当のことです」

「何様のつもり? 逆らうなってありえないんですけど? 外での授業も体罰だし、どうどうとイジメ宣言しても誰も助けてくれないって、もう警察に連絡すべきよね」


 そう言ってプリン頭ちゃんはスマホを取り出した。……そう言えば、桔梗は名乗ったのに、あの子は名前を言っていない。


 それに昨日も思ったけど、スマホなんて持ち歩いているなんて、よくそんな危険物を結界も張らずに使おうとするよね。


 今日の出席人数は七人だけど、七人とも一斉に自分の周りに結界を張り出した。


「あの! 私いじめられているんですけど!」


 ……警察に掛けたことはないけど、そういう言い方でいいのだろうか?


「ねぇ聞こえている!……何よ繋がっていないじゃない!……え?……いや!」


 警察に掛けたというスマホを突然投げて手放した。

 投げ出されて地面に落ちていくスマホから、けたたましい笑い声が鳴り響いている。それも一人ではなく複数の声が聞こえてくるのだった。



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