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鬼頭の嫁―最凶の鬼を使役するJKって、美味しいですか?―  作者: 白雲八鈴


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第10話 機嫌を損ねようものなら、小一時間ぐらい拘束されるところだ

 加茂家の当主の態度が悪いのは、陰陽道の衰退にある。いわゆるお役御免というものだ。

 それを遂行したのが、歴史に名を残した天下人。豊臣秀吉だ。

 京都、大阪、奈良に点在していた陰陽師たちを弾圧し、宮廷陰陽道が廃したことにある。


 しかしその魔の手から逃れたのが、斎木家と鬼頭家だ。いや、それ以前に起こった応仁の乱のときに京の都から逃れるように北に逃げ、隠れ住んでいたため、一族の数を減らすことはなかった。


 そして徳川家康により再興したものの、その力は衰え、陰陽寮から天文方に権力が移行し、陰陽寮はお役御免と再びなり終焉を迎えた。


 だが、それでも諦めなかったのが加茂家と土御門家だ。明治の世になり、明治政府に食い込んだ。


 これからの世は、人の闇が濃くなると予見した当時の加茂家当主が、隠れ住んでいた斎木家と鬼頭家を巻き込んで、陰陽省となるものを設立した。現在の陰陽庁の原型である。

 そう、星見の土御門家の力より、魔を祓う斎木家と魔を斬る鬼頭家の力を取り込もうとしたのだ。


 その歴史を知る、ばぁが言うには斎木家の中で意見が別れて大変だったらしい。

 鬼頭家はというと、ばぁと鬼頭がこの場所から動かないと言い張ったために、この地に留まることを条件なら協力する意向だったそうだ。


 流石その歴史を生きた人から話を聞くと真実味が違う。因みに、ばぁは江戸時代の人だ。鬼頭家の長命な理由は勿論鬼頭にあるわけで、定期的に鬼頭の血を混ぜられている鬼頭家は不老に近い。

 死なないわけではない。その死も鬼の血が入っていることで起こることなのだが、それはいずれ説明しよう。



 それで、先程加茂家当主から出てきた『新参者』という言葉が、この里に陰陽庁が作られることになったのが原因だ。長きに渡って京の都で陰陽師たちをまとめていた加茂家の方が、この地ではよそ者に当たると。

 怖い。怖い。機嫌を損ねようものなら、小一時間ぐらい拘束されるところだった。


 一時は歴史に名を刻んだ由緒正しき加茂家は、土御門家に呑まれながらも生きながらえ、今も昔の栄光を取り戻そうと必死なのだ。……そうだ。

 私にはただ単にプライドが高い、ババァにしか見えないけどね。




 そして私は鬼頭に片腕で抱えられて、霧の中を移動している。 


 結界の境界に沿って歩いているのだ。


 で、何故私が鬼頭に抱えられているかと言えば、結界は山の中腹に設置され、足場がとても悪いからだ。

 山道でもなく獣道でもなく、ただの斜面を歩くのだ。里山として人の手がある程度入っているものの、霧が出ている周辺は結界の効力により近寄れない。だから自然のままだったりする。唯一整備されているのが、里と外部を繋いでいるいくつかの車道のみ。

 というのは建前で、私の着ている着物袴は、ばぁからのお下がりなので汚したくないというのが本音だったりする。


 鬼頭は行く手を阻む草や木の枝を切りながら進んでいる。

 私が結界に施されている『迷いの霧』の効力を解除しているから進めている。


「あ! あった!」


 結界の異変となる原因の場所を特定できた。霧の所為で、かなり近づかないとわからなかったけど、黒いモヤが出ているところを見つけた。


「黒竹になっている」


 周りはクヌギの木や松の木、ヒノキや杉の木が生えているなか、不自然に一本の竹が生えている。

 普通であれば青々とした竹が生えているのだが、黒竹のように真っ黒の竹が生えていた。


「何があってこんなに穢れているのだろう?」


 この竹は結界の触媒として用いているものだ。この地に鬼頭とばぁがこだわった理由。それがこの竹が意味するところになる。


 この地には龍脈と呼ばれる力の道が流れているのだ。それもかなり表層に近いところを流れている。その力を竹が吸い取り、結界を展開している。


 だが、その龍脈の力を吸い取る竹が穢れ、力を吸い取れず、結界の一部がたるんだようになったと思われた。


「この竹はやはり駄目になっている。うーん? 外部からの干渉? この結界内で?」


 私は鬼頭の肩を叩いて、地面におろしてもらう。落ち葉や枯れ枝を踏みしめ降りた地面は、霧の湿気により滑りやすい。


「うぎゃ!」


 っていうか、ズリっと足が前に滑った。


「真白。足に力を込めろ」

「わかっているよ」


 鬼頭に背中を支えられ、地面に頭をぶつけることはなかった。あぶない。あぶない。


 黒竹の近くに寄って、何が起こっているのか視る。黒いモヤに阻まれて見えにくい。だけど、竹の黒い節のところに、わかりにくく何かが刺さっている。


「これなんだろう? ガラスか鏡か」


 地面を見ると枯れた枝や落ち葉にまぎれて、鋭利に尖った欠片が散らばっていることに気がつく。


 その一つが反射して私の姿を映し出した。


「鏡か。鬼頭、この辺り一帯を燃やしてくれる?」


 私が振り返ってみると、大きく頷いている鬼頭と視線があう。そして鬼頭の後ろに下がった。


 それを確認した鬼頭は手のひらを上にして青い炎を浮かべる。そして地面に投げ捨てるように青い炎を解き放った。

 一気に広がっていく青い炎。炎は広がっているものの、枯葉や枯れ枝は焼いてはいない。

 鬼火の炎は穢れた黒き竹と謎の破片を燃やしていった。

 

 「真白!」

 

 が、突然黒竹の一部の節が膨張し、辺りに爆音を鳴らしながら爆ぜたのだった。




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