No.7
学園祭が終わって期末試験が訪れようとしていた。ディアブールはあいも変わらず全問正解。ネージュも成績はいい方であった。
「ディアブール様!もしよろしければご一緒に勉強会でも開きませんこと?」
ネージュは少しでもディアブールを知りたくて誘ってみた。
「我と勉強会?ネージュの成績はトップクラスだったはずだが?」
「あ、その、少しでも貴方様とご一緒したくて……」
手折るつもりは無い。ないのだが、ここまで好かれていてはディアブールの心も揺れるものである。
「良い、共に勉強しようではないか!」
そうして、放課後図書館で勉強会を開いた。案の定2人とも分からない所はなかった。
「ディアブール様は、どうしてチェリー様に?」
「……転生と言うことをさせられたのだ。」
図書館は静まり返っていた。静かな中で、ディアブールとネージュの声だけが響く。
「転生?ですか?」
「ああ、そうだ。我は前世、人を殺しすぎた。その罰を受けていている。」
「罰を?こんなに優しいディアブール様が?」
ネージュの顔は曇った。
「そんな顔をするな。我は罰を受けて当然なのだ。」
ディアブール自身も罰を受けることは当たり前であると認識していた。人を殺しすぎたのだ。
「でも、それはディアブール様が、魔王だったからでは?」
「?どういう意味だ?」
「光があれば闇もまた然り。ディアブール様と言う闇があるから光もあるのです。」
「……」
「本来のディアブール様はきっと、今私を助けてくださっているような優しい方なのでは?」
「この我が、優しい?」
ディアブールは笑った。この我に優しいなどと言ったのはネージュだけだったのだ。魔王でなければ優しい人だと言うネージュの意見がおかしく笑った。
「我は血を好む。我は残虐だ。お前以外にはな。」
「そんなことはありません。ディアブール様が魔王でなければきっと!優しい人のはずですわ。」
そんな様子を天界から見ていた。セレティアはうんうんと頷いていた。
「ディアブールは優しい。でも、魔王と言う役職がそれをゆるさない。そんな貴方を、私は……」
セレティアはディアブールとネージュを見つめていた。
「ディアブール、私のディアブール……。」
セレティアはそんな2人を天界から眺めることしか出来なかった。