第8話 トライアンドエラー
火起こしの練習を始めてから数日、日課ができた。朝起きて食料採集、昼過ぎまで火起こしの練習、午後は生き残った同じ境遇の人がいないか探索、そして暗くなったら寝る。単純だが、やることはすべて理にかなっていると自負している。1人で生活していて怖いのは体調不良だ。食事が偏ったり睡眠が足りなかったりすると、人は簡単に体を壊す。だから僕はしっかり食べて早く寝ることを第一に過ごすことにしたのだ。
さて、今日も火おこしを練習する。最近、煙が上がるまではできるようになった、もう少しで火種を完成させることができそうだ。
「よぅし、今日こそ火をつけてあったかいスープを作るんだ!」
やる気を高め、取り組む。そう、インスタントのスープは家から持ってきていた。しかし未だにお湯を手に入れられていなかったため、飲めていなかったのだ。真夏とはいえ、あったかいものはそれだけで心休まること間違いなし。僕の火おこしを頑張る理由の1つだ。
木と木を擦り始めて数十分。今日は煙が大きく上がり始めた。
「これはいい感じ!?いけるんじゃない?」
1人で興奮しながら必死に手を動かした。黒い火種がみるみるうちにたまっていく。
「いいぞ、いいぞ。火が付きやすいものに移して…。」
枯草のフワフワした塊が落ちていたのでそこへ火種をのせてフゥフゥと息を吹き込む。
……ボボッ、ボボボッ!
遂に火が付いた。
「やったぁ!火が付いたぞぉ~。よし、焚火をしよう。」
小枝を集めて作っておいたところへ火のついた枯草を落とす。小枝に火が付くのを確認すると、一目散に鍋と水を持ってきて火にかけた。
「やっと火が付いた。これでいろんなことができるようになるなぁ。あきらめずに続けることはやっぱり大事なんだね。」
独り言をつぶやき、自分を鼓舞しながら水を煮沸する。
数日間に及んだ火起こしとの格闘はこうして幕を閉じたのであった。