第4話 僕、だけ?
体が痛い。意識が戻ったようだ。
「…まぶしい。」
目を開けると僕は高架橋の橋脚と非常階段との隙間に挟まっていた。どうやら高架橋の陰にいたことで灼熱の光を浴びなくて済んだようだ。しかし、周囲にいた人たちや立ち並んでいた建造物は見るも無残な状態になっている。鉄筋コンクリートの建物はコンクリートの骨格だけが残り、木造の建物は燃えた後のようで黒く焼け焦げた状態となっていた。あたりに人の気配はない。どうやら相当運が良かったようだ。…よかったのか?遠くを眺めても景色は同じだ。
「もしかして僕しかいないの…?」
これは困った。情報もない、生きる術もない、衣食住が何もない。どうすればいいのだろう。
「…スマホ。衛星通信…?」
数年前からサービスが始まっていた衛星通信。これでネットニュースを見ることができる。
[ノースアイランド連邦国とセントリカ合衆国の核ミサイル攻撃により世界各地が焼け野原に 世界滅亡まで猶予なし]
この記事はミサイル発射後の軌道想定から予測された情報を発信したものらしい。落下予想地点のマップは世界地図を赤い点で埋め尽くしていた。どうやら僕の地域だけでなく世界各地がミサイル攻撃を受けて破壊されてしまったようだ。
「…世界滅亡、かぁ。」
ひとり残された現実にボーっと立ち尽くす。
「でも待てよ、もしかしたら同じように助かっている人がいるかもしれない。」
なんとか生きていればいつか会える時が来るかもしれない。僕は厳しい道のりを行くことを決めた。