第14話 山を超え、新たな地域へ
翌朝、3人とも深い眠りにつけたおかげで出発前より元気に溢れていた。山の中腹から順調に上がっていく。谷の近くを登っていき、遂に尾根へとたどり着いた。巨大な山々が形成する長い山脈は、その部分に立つ者を圧倒する。3人は山々を見上げると同時に、山脈の向こう側の景色を見下ろして言葉を失った。ただただきれいな自然と被害が垣間見えない街がそこにはあった。
「いよいよ見えましたな。儂の村より栄えておるな…。」
「すごい、無事な地域ですね。電車も走っているように見えます。ゆっくり山を下りていきましょう!」
久々に接する近代文明に3人は興奮していた。…長老は触れたことあるのだろうか。そんなことを考えつつ慎重に急斜面を下りていく。摩子は子供らしく体力の底が見えない。どんどんと先に下りていった。僕は中学高校ではほとんど運動していないので、体力は皆無である。長老とゼーハーゼーハーしながらゆっくりと下りていくのであった。
山を下りると、頂上から見えた街が広がっているのが視線の先に見えた。僕たちはゆっくりと進み始めた。しばらく進むと舗装されておる道に出た。ずっと山道だったのでとても歩きやすく3人でスキップをしてみた。アスファルトを踏むタンッという音が心地よい。道路脇にはバス停らしきものもある。バスも走っているようだ。そのまましばらく歩いていくと街の入口にたどり着いた。すぐそこからは多くの店と人々、高い高層ビルが立ち並んでいる。僕たちはお小遣いを握りしめて懐かしい食べ物を売っている店をめぐり始めた。ずっと手製の保存食で旅をしてきたので、久々に食べる焼きそばやたこ焼き、パンケーキなどは格別でとても贅沢であった。僕たちは所持金は元からなかなかあったのだが、使う機会がなかったため、結構な額を持っていた。3人でたくさんの食事を楽しんだ後、宿をとって泊まることにした。
宿もしっかり整備されていて、とても居心地が良い。ふかふかのベッドで一夜を明かすのであった。