表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

トラウマ日記

元に戻された折り紙のハート

作者: アーヤ

こんな人にはならないでね。

 土曜日のバスケの練習。夏にある市で行われる大きな大会のために、一年生は寄せ書きと千羽鶴をつくることになった。


 正直、一年生は三年とあんまりつながりないし、書くこともなかったけれど、頑張って絞り出した。

 そのおかげで、中身はペラくなってしまった。


 そして、先輩が練習している裏で千羽鶴を折っている途中、同級生の一年の一人が「鶴だけじゃなくて、ハートも折ろう」ってことになって、私はハートを折ることを押し付けられたから、隅に座って折り続けていた。


 アイツらとは気が合わないし、別によかった。一人の方が落ち着くし。誰かがやらないといけないし。


 そして、二十個ほど折り終わったとき、様子見に来た一人(ハートも作ろうと言いただした一年)が、こちらに来て、私の折ったハートを見てこう言った。


「これじゃない」


 そう言って、せっかく折ったそのハートを元に戻して、一枚の紙になった。


「ねえ、それも戻してよ」


 内心、状況が呑み込めなくて。でも、さっさとしないとウザがられるから、全部元に戻した。

 あー、惨め惨め。惨めったら……ありゃしない。


「私たちでやるから」


 そう言って、折り目の付いたものをみんなのいるところに持って行って。

「ハートも折ろう」って言った。


 それで、みんなから見えないカーテンに隠れて、座ったとたん。色んな疑問と怒りが込み上げてきた。


 ――は? あいつらの想定している折り方なんか知らないのに。


 ――私はあいつらの下僕か何かか?


 ――人に頼んでおいて、元に戻すなんてジョーシキないのか? 部下に頼んだ仕事をやってもらって、確認した瞬間に、全部デリートして消すようなもんだぞ。


 ――いや、そもそも何でその例えが出てくるんだ。これなら、私が部下で、あいつらが上司じゃないか。


 そう言えば、この前も私が体育館かどっかで落とした薬について「知らないか」って言ったら、みんな知らないって言った。


 だから「じゃあ、諦める」って言ったのに。


「諦めるんだったら、最初から聞かないで」って。


 あれも意味分かんなかったな。

 私には質問する権利しかないわけ?


 結構なご身分で。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

私は下僕でも何でもないので(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] めっちゃ気持ち分かる。 最初から折り方教えてよって思う。 なんなん!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ