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せめて「母さん」と呼んでくれ!  作者: 苺雛 シュクリエ
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3.父、おののく

先週忙しくて投稿できませんでした。どこかで二話分投稿します。

 目が覚めると、見知らぬ植物に囲まれていた。天井も壁もツタに覆われていて一面緑色だ。窓はなく、ベッドサイドの水差しとペットベッドとも呼べないような大きな丸いふわふわのベッドにクマほどの大きさの黒い生き物が丸くなっていた。

 体を動かそうとしても動かない。まるで金縛りにでもあったみたいだ。

 もし、あの大きな生き物が襲い掛かってきたら今度こそ死んでしまうだろう。

(あれ、ということは私死んでない?)

 謎の生物による死の恐怖を感じていると、意識を失う前のことが思い出された。

(たしか、メロン犬氏と一緒にホームから落ちて、その時電車が見えて轢かれたはず……そんで落ちるときに誰かに背中を押されたような……まさか突き落とされた!?)

 晃は殺されるほど誰かに恨まれるような覚えはなかった。いつも教室の隅っこで読書かゲームをしている可能な限り人とコミュニケーションしない系陰キャなので。コミュニケーションをしなければ恨みつらみなんて発生しないのである。学校では晃は海中に漂う昆布みたいな存在だった。つまり大多数のものにとってあってもなくてもどっちでもいい者、そんな立ち位置を確立していた。

 自分が死んだ(?)原因を考えていたら、謎の生物に対する恐怖心が薄まってきた。謎の生物は一向に動かない。時々うなるだけなので寝ているのかもしれない。

 体は動かせないが意識はあるし、眼球だけは動かせたのであたりをもっと観察してみることにした。

晃は清潔なベッドに寝かされていた。左手側には謎の生物と水差しがあることを確認していたので、右手側を見てみた。

(なんで右手に点滴するかな……大多数が右利きなんだから利き手じゃない左側にふつうするだろ……う?え、なにあれ、点滴の先に風船みたいなのついてんだが!?え、私は今体に何入れられてるの?怖い怖い怖い!)

さっきとは別種の恐怖が晃を襲った。

右手の肘の内側に刺さっている針の先にはフウセンカズラのような緑色の球体の植物があった。晃の知っているフウセンカズラは小さくて可愛らしいが、それはバスケットボール並に大きかった。大きなフウセンカズラの実から緑色のチューブが伸びて晃の腕の中に入ってきている。

見たことないものを体の中に入れられている状況にパニックになっていた時、ノックの音とともにドアが開く音がした。


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