プロローグ
「お願いします! ここから出してください!」
何度目の懇願だろう。
「もうこれ以上、苦しめないでください! こんなこと、間違ってる!」
一体、いつまで続くのか。
喉はかれ、大声で擦り切れて血でもにじんでいるのではないか。指の感覚は既に失われている。
しかし、何としてでも助けなければならない存在が間近にいる。手の届く場所にいる。この事実だけが、何度も奮起して相手に呼びかける力となっていた。
「おい! 聞こえてるんだろう!?」
声は闇に吸い込まれる。声だけでなく、精神力もじりじりと、削られていく。
このままでは自我が奪われ、闇と同化し、二度と抗うことができなくなる。そんな予感が今にも的中しそうでいる。ほんの少しの気のゆるみが命取りで、ふと、なぜ自分がここにいて、何をそんなに急いでいるのか、わからなくなっていることが……。
「お願いだ、どうか……」
あの子に……。
「手を……出、す……なっ……ううっ」
泣いてはいけない。自分が泣いてどうする。そんな暇はない。
けして、ないのだ。
ひさしぶりの長編です。
大昔に書いてパソコンに放置してたのを手直ししました。
実は「完全に完結」している訳ではないんですが、別にここで完結にしても問題ないやろってとこまでは完成しているので、できるだけ早いペースで投稿していきます。
いろいろ胸糞悪いシーンがあったり、ご都合主義なとこがあるのでご了承くださいm(__)m