巨獣要塞トータス発進
遅くなりました
八雲視点
「いいか!今から俺達は1時間、時間を稼ぐ」
俺は今動ける兵士達の前で声を張り上げている。傍らにはサンちゃん、ようやく起きたアシュラがいる。本来兵士達を束ねる将軍は先頭で聞いている。
「1時間、短いと思うかもしれないがこの1時間はお前達が今まで味わった1時間より何万倍も長く感じる、必ずな…………だが、これを乗り切れば全員が生き残れる、生きて家族に会える!ならばやることは!生き残れ!守りきれ!最後まで諦めるな!意地汚く、恥も外聞も気にせずただそれだけを遂行しろ!考えるのは自分だけにしろ!わかったか!」
『おう!』
兵士達の眼はまだ不安の色がある。だけど演説する前よりはまだマシになった。演説前は絶望して、心が折れてるやつと、折れかけているやつが少しはマシになった。
「第1関門クリア、次だ……美春達も配置についたか?」
「はい、合図があればいまスグにでもばじめられるとこことです」
「了解」
なんか久々にアシュラの声を聞いたかもしれない。
「全員配置につけ!」
兵士達が事前に知らされてあった場所に向った。だが、向かうと言っても一定間隔で、建物の壁を背にしゃがみ込むとこれから起こることに緊張を高まらせていく。
「やれ、美春!荒太!」
「今日の一番見せてあげるよ!」
「これが終わったら寝る!」
2人が一気に魔力を開放して地魔法を発動。都市が揺れていき、次第に揺れが大きくなっていく。城壁の周りの地面に亀裂が走る。城壁を囲うように亀裂が走ったら一段都市側が浮かんだ。それと呼応するように四方に亀裂が走ると亀のような脚が出現した。
脚が立ち上がろうとする態勢になると脚と脚の間から顔が現れた。それは亀だが見ようによっては竜のようにも見えなくない顔だった。
「巨獣要塞トータス!」
「俺と美春の最高傑作壊せるものなら壊してみろ!」
都市を背に乗せた巨獣亀が一歩前に進む。それにより周りには大きな振動と風圧が生じてトータスに近づこうとしていた軍か吹き飛ばされて陣形がめちゃくちゃになる。
「そのまま歩き続けろ!俺は攻撃に移る!」
俺は揺れる地面転ばないように走る。走って城壁までたどり着くと城壁を登り都市の外側に降り立った。
「魔法による遠距離で減らす!」
俺は魔道具にありったけの魔力を注ぎ込んで魔法を発動させた。
すでにトータスの脚に取り付いてよじ登ってこようとしている相手を優先的に攻撃した。片方の脚がある程度終わったら魔法を設置した後、別の脚に向けて走り出した。
「俺だけしかこの距離を攻撃出来ないってどういうことだよ。サンちゃんとか他の奴らは……ちくしょっ!これならもっと別の作戦考えときゃよかったぜ!」
俺は悪態をつきながら全力疾走する。続々としがみついて登ってきている敵兵を迎撃していかないと上に到達されてしまう。
「上まで来られると動力部のところにいかれるから何としても阻止しないといけないからな!」
俺はなんとか走り回りながら敵兵を攻撃していく、それでもこの図体なので走る間に攻撃したとこからすぐに敵兵が取り付いて登ってくる。念入りに1つだけを攻撃していると他からどんどん登ってくる。
それに走り回るので体力もどんどん無くなっていく。そのせいで間に合わなくなって来ることが多くなって、とうとう脚を登りきり上にまで到達する者がどんどん現れてきた。
「ここまでが限界か」
俺はすぐに攻撃するのを止めると城壁に向かって走り出した。
敵兵も追ってこようとしているが、歩く振動でまともに立つことが出来ず、四つん這いで慎重に進んできている。俺の真似をして走ろうとすると1歩目でふらつき、2歩目で倒れて、さらに振動で落とされる。それを見せられた他の敵兵はそうならないようなゆっくりと進んで来ていた。
俺はそれを尻目に城壁に着くと、ジャンプして上から入った。
「おかえり〜、意外と早かったね」
そこにいたのは美春だった。だけど美春以外誰もそこにはいなかった。
「収容は済んだのか?」
「あと少しって感じ、ほぼほぼ完了だよ」
「よし、なら俺達も向かうぞ」
「うん」
俺達は街の中央に向けてまっすぐ走っていった。
ある敵兵視点
俺達はフラつきながらもなんとか城壁まで到達することが出来た。
遠目からだが俺達を足止めしていた勇者が城壁を飛び越えているのが見えた。だからこれからが本番だ。俺達はなんとしてもこの城壁を乗り越えて、勝利を掴まなければならない。
「全隊構え」
隊長の声で各々が武器を構える。俺も槍を構える。
勇者からの攻撃はまだ来ない。いつ来るかわからない攻撃に心礎が飛び出そうなほど緊張して、爆発しそうなほど高鳴っている。
ここまでこれたのなら覚悟を決めるしかない。そう思って深呼吸をすると、
「突撃!」
隊長が号令を出した。それに従い俺達は城壁に向けて走り出した。
攻城兵器なんてない。だから己の武器で突破するしかない。でも俺達なら出来る。そう思い武器を振り上げて城壁に叩きつけ…………られず素通りして倒れてしまった。
「は?」
ありえない光景に呆然としてしまい、本来なら勢いがついた上体を戻さないといけないんだがそれが出来ず倒れてしまった。
でもそれは俺だけでなく、隣のやつも後ろのやつもそうだったようで俺の上に倒れ込んできたり、後ろの方も勢いを止めることができずに俺達前列を踏みながら進んでいき城壁の前に入っていった。
それを見た更に後ろは立ち止まってしまい、その後ろもどんどん立ち尽くしていった。
「何が、どうなって……」
もう何がどうなっているのか理由が分からなくなってきた。
そのまま俺達は浮遊感に襲われながら落ちていった。
とても遅くなりました。
次はもっと早く書けたらイイです




