いきなり落っこちて登って無茶を言われた
遅なりました
美春視点
「うん?」
私はたくさんの振動と音で目を覚ました。どうやら八雲が久々にバカをやったせいで気絶していたようだ。
「あぁ、首痛い。変に転がったせいかな?荒太〜、起きて」
私は横ですごい体制になっている荒太を揺さぶって起こす。
「う、うぅ……ふがっ!あ、あれ?……美春おはよ」
「おはよう、まぁそんな時間じゃないと思うけど、それよりもなんか外でやっているみたいなのよ。アシュラちゃん起こして早く出ましょう」
アシュラちゃんは女の子がしてはいけない格好になっているから早めに起こしてあげたいし、外からは絶え間無く振動と音が聞こえてくる。嫌な予感がするから早めに出ておきたい。
八雲がなにかしているか、なにかしようとしているか解らないけど、こうゆう隔離されたとこは出たい。嫌な思い出が浮かんでくる。
「八雲も知っているんだから早く出してくれていればいいのに」
入れられたときは外の景色が見えたから隔離されているとは思えなかったけど、こんな真っ暗だとダメだ。
「それより美春、これってどこに穴開ければいいと思う?」
「うん?……あぁ、間違えたら落ちるかもか…………勘でこっち」
「よし」
質問もせずすぐさま地魔法で穴を開けようとしたとき、さっきまでとは違う衝撃が響き、ゆっくりとだけど落下しだした。
「あら?」
「うん?」
「きゅ〜〜ん」
未だに気絶しているアシュラちゃんをほっといて今起きている現象を考える。
「……落ちてる?」
「……そうだな」
一泊置いて、
「衝撃!!」
「はぁっ!!」
荒太の言葉に私はすぐ魔力の膜で全員を包んだ。その直後に強い衝撃が響いて、足元がヒビ割れていきベヒモスが砕けた。その残骸が降ってきた。
「…………退かすわよ」
魔力を動かして瓦礫を退けていく。
「このまま退かしていっていいのか?まだ外から断続的だが音が聞こえるぞ?」
「仕方ないでしょ?どれくらいいるつもり?魔力も有限だから終わるまで持つかわからないわよ?それに八雲の手伝いに早く行きたい」
「まぁな。無事がわかっているとはいえ、俺達がどうなっているかわからないまま敵と交戦するのは不安だろ」
そういうことで決まり、荒太が未だに気絶しているアシュラちゃんを背負うと、魔法で上の瓦礫を一気に吹き飛ばした。
「おまえら!こっちから登ってこい!」
上の方から八雲の声が響いてくる。そっちを見ると崩れた城壁がいい感じの足場を作っていた。
「荒太!」
「先に行く!」
アシュラちゃんを背負っている荒太を先行させる。
だが敵もそれをみすみす見逃すはずもなく攻撃が飛んでくる。
魔法は対になる魔法を当てて相殺、矢や投石は剣技で弾いていった。
「ここまでくれば……キャッチしろ八雲!」
「ちょっ!?おまっ!」
荒太が背負っているアシュラちゃん背負っているのから、投擲するように持つとぶん投げた。
それを八雲がメチャクチヤ慌てて飛び出しそうになりながらも、ギリギリで踏みとどまりながら飛んでくるアシュラちゃんを待って、衝撃を吸収しながら優しく受け止めた。
「危ねぇだろうが!何してくれとんだ!」
八雲が怒声を飛ばしながら隣に着地した荒太を見る。
「でもよ、早く登らないと美春も登ってこれずにケガするかもしれなかったろ?そうならないようにこうしたんだ」
「だとしてもだ、女性を投げるなんて男としてダメだろ?それも気を失っている
「まぁまぁ八雲。荒太に後でちゃんと謝らせればいいじゃない。それよりこれからどうするの?反撃に出る?それとも防衛固める?」
「そこなんだよなぁー」
ここで珍しく八雲が頭を抱えた。こういう切羽詰まったときは即決即断で決めていくのが八雲だ。それを悩むと会うことは、
「もしかして、どっちもだめなの?」
「いや、そうじゃない。どっちをとったとしても多分ここの防衛は負けだ。つまり、やるだけ無駄ってことだ」
「えぇー」
「そ、そんな!どうにかなりませんか!」
八雲の答えに流石のサンちゃんもいつもの狼狽を通り越して、焦燥が滲み出る狼狽をしながら詰め寄る。
「どうもこうもない。たとえ今から防衛を固めたとて相手はまだまだ増える。だからいつかは突破される、それをされたくなくて打って出たとしてもだ、どちらにしても数の差で圧倒される」
「そ、そんな……」
サンちゃんにも、言われなくてもわかっているんだろうな。だからこそ食い下がりたい、信じたいんだろうな。
「だからさっさと逃げる準備をしろ。トンズラこくぞ」
「…………え?」
「さっすが」
だからこその選択肢の3択目を八雲は開示した。
「こ、ここから逃げるって、どうやってですか。この都市には百人単位の人がたくさんいるんですよ!そんな人数どうやって……ま、まさか」
「そこで自分達だけ逃げるだのなんだの言わないあたり、かなり好感が持てるよ」
「私達だけ?……そんなのダメです!みんなと一緒に……」
「それが出来るのか?」
「う、うぅー…………でも、お願いします」
ほんとにサンちゃんは為政者に向いていない。でも一番ついていきたいって思えるからたちが悪い。
「まっ、元々ここにいる全員で逃げる算段はつけている」
「ホントですか!」
八雲の言葉にとんでもない勢いで食いつくサンちゃん。もうキスする距離にまで近づいていた。
「近い近い近い!」
「ご、ごめんなさい。つい興奮してしまって」
顔を真赤にしながら慌てて飛び退くサンちゃん。ちょっと慌て過ぎじゃない?
「それよりどうするの?全員で逃げるって言ってもここにどれだけの兵士がいると思っているの?それにケガ人だっているのよ?どうするの?」
私は疑問を矢継ぎばやに質問した。
「それを解消するのは……」
八雲がいきなり私を指さしてきた。
「?……私?」
「そう、あと荒太も合わせた2人に頑張ってもらう。やってもらうのは………………をしてもらう」
「えぇーめんどくさいんだけど~」
「仕方ない」
「はあー…………仕方ないから頑張ってみるわ」
盛大にため息をつきながら了承することにした。
次回も遅くなります




