掘って掘って当たって、また掘って掘って
遅くなりました
八雲視点
俺の目の前には先程まで障壁の外で奮闘していたバカ2人が転がっていた。まぁ俺が意図的に中に入れないようにしていたせいなのだが。アシュラはちゃんとすぐに保護はしている。
「そんなことより外はどうなふうになっている?探知系をあまりしていないから外の様子がまずわからん。直接見続けていたお前らの見解を聞きたい」
「うーん、なんだろう。危険は危険だけど……」
「国が占領される……ということはありえないかな、どれだけ守る方が少ないとしても、城壁と合わされば本隊が戻ってくるまで持たせられだろうっていう量かな?」
「なかなか厳しいな…………一直線に戻るか」
『いやいやそんなこと無理だよ!見てみなよ外の敵の量!』
俺が提案したことをすぐさま否定してくる。全員で。
「誰がこのまま一直線に行くか。一直線に行くのは地面からだよ」
「掘るの?確かにこのメンバーだったら早いと思うけど、ここから城壁までどれくらいの距離よ?それでどれくらいの時間で行くのよ?」
「確か……約3km、時間にして10分」
『無理!』
またも速攻の否定。
「こんなヘロヘロな状態で出来るわけがない。万全でも出来るかわからないギリギリのラインなのに、八雲も無理ってわかってるでしょ?」
「出来る出来ないではない、やるんです!」
もとからコイツらには拒否権なんてない。
「俺も手伝うから、それにこれをやらないと王都が陥落してしまう。それだけは絶対に防がないといけないんだよ」
それが今回の戦争の最低条件。王都が陥落してしまえば何もなくなってしまう、近くの都市に避難出来たとしても、それは王族や高位貴族まで、他は王都に残してしまう。そうなれば王都を奪還出来たとさても復興などは絶望的だ。
それを懇切丁寧に美春達にも説明する。
「ふーん、まぁそれなら仕方ないかな。よし頑張りますか!」
「倍速でな」
「…………うん?」
俺がいった言葉に、何を言っているんだ?といった感じの顔を向けてくる。
「今説明しただろ?」
「うん」
「その分時間使っただろ?」
「うん」
「だからその分倍速でやらないとなってことだよ」
「…………うん?」
説明したにも関わらず美春は首を傾げる。周りを見ると他のみんなも首を傾げていた。
「説明されたのになんにもわかんない。どうしてそうなるのかが」
「まぁそんなことはどうでもいいから、さっさと坑道を掘っていくぞ。こうしている間にも、倍速が3倍、4倍と増えていくぞ」
「ぃよぉおおしっ!やるわよぉおおおおおおおおおおおおおお!」
「まかせとけぇええ!最速記録を叩き出してやるぜぇえええ!」
急かされやるのは嫌なようですぐさま足元の地面を掘り出した。当然魔法を使っての掘削作業なので異様なスピードで進んでいく。
これがこの世界の普通なのかと思いアシュラちゃんを見ると、アングリと口を開けて呆然としていた。
「アシュラ、これがこの世界での普通なのだとずっと思っていたんだが、違うのか?」
「こんなのが普通だったら復興作業は1週間で終わりますし、城壁だってもっと頑丈になります。戦争なんて起こそうとは思えないくらいに」
「そりゃもっともだ」
俺とアシュラがそんな会話をしていると、穴の中からひょこっと美春が顔を覗かせた。
「どうした?」
「でっかくて硬い岩に当たった。壊せなくないけどかなり音が響くから迂回になると思う」
「お前らで迂回を選択か。見てみるか」
そう言って俺は穴に飛び降りて進んでいく。後ろから美春とアシュラもついてくる。しばらく行くと、壁の前に立つ荒太がいた。
「荒太!それが例のか?」
「おう、これだ。多分何かしらの鉱石なんだと思うんだが、収納しちまうとここが一気に陥没してしまうから突貫しようとしたけどかなりムズい。やろうにも時間がかかりすぎる」
「確かにな……かなり硬いな音も出るから、迂回するしか……でも時間かかるからなぁ」
俺が腕を組んで悩んでいると、美春が提案してきた。
「これって鉱物何でしょ?結局」
「あぁ、説明には世界で五指に入る硬さだって書いている。だから悩んでんだよ」
「熱で溶かせられないの?」
「それも考えたんだが、どうやらこの鉱物は熱を通しにくい感じなんだよ。だから鉱物溶かす前に俺達の周りが火の海に鳴っちまうよ」
「メンド…………下から行くことはできないの?」
「どうやら下の方が横から行くより遠わまりになる。だから横から行くほうがいいんだが、どちらにしても遠いんだよ」
流石の俺もこんなものが地中に埋まっているなんて考えもしなかった。このままじゃいつかは地上の奴らにバレてしまう。障壁が壊される心配はないが、俺達がいない、もしくは攻撃してこないと思われるやいなや行軍を開始するだろう。そうなる前に進みたいのだ。
「何かねぇかな」
「…………いっそ地上進む?」
「は?」
美春が何やらおかしなことを言い出した。
「そんなことしたらバレるだろうが、バレないようにするためにこうしてるんだから」
「確かにバレないようにするのは必要なことよ。でもそれよりもバレないで向かわれる方がダメでしょ?だったらいっそバラして、戦闘少なめで一気に駆け抜けたらいいじゃない」
「………………ありか」
とある軍兵視点
「…………うん?」
俺は行軍中にとある違和感に襲われた。
「どうした?」
「なんか揺れていないか?」
隣を歩いていた古馴染みが声をかけてきた。現在俺達はでっかいドーム状の障壁を破壊するために行軍しているのだが、行軍による振動とは別の振動を感じた。
「そうか?それよりも歩き疲れたぜ。まぁ戦闘に参加しなくてよかったな。死傷者多数、指揮官も何人も殺られたらしい」
「ヤベェな。この数相手に数人でそれをしたんだろう?マジヤベェ」
ゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴ……。
「……なぁ、やっぱり揺れてねぇか?」
「あぁ、そうだな。なんだ?地震か?」
「それにしちゃ規則的でもねぇよな。まるで……」
俺が何かが上がってくるようだと言う前に地面が盛り上がり前のめりになって、手をついて膝立ちになると、後ろ側の地面が弾け飛んだ。
「はぁああぁ??」
「はぁあああああぁあああっ!?!何だこりゃぁあああああああああああああああああああ!!」
古馴染みが俺の襟首を掴んで急いで引きずって遠ざけてくれる。
「何が起こりやがった!いきなり地面が爆発したぞ!?!」
「俺にわかるわけ無いだろっ!それよりも逃げるぞ!なんかの魔物かも知んない!」
「わかった!」
俺は立ち上がり古馴染みと一緒に走り出そうとしたとき、強力な突風が吹いて舞い上がった土塊が周りに向けて降り注いできた。
「逃げろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺達は脇目も振らず走りまくった。
そんななか、なんとこなしに後ろを振り向いた俺は爆発した地面の中から数人の人影が飛び出してくるのが見えた。
次回もよろしく




