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向かうバカどもと待つ説教者

遅くなりました

「はぁ疲れた……どうせ八雲のほうにはバレてるだろうから早く行かないとね」

 ヨロヨロと立ち上がって歩き出そうとしたとき上の木から葉っぱがゆらゆらと落ちてきていた。私は落ちてきた葉っぱ、その上の方を見ると飛び降りた荒太とアシュラちゃんと視線があった。

「「「あっ」」」

「へぶっ!」

 避けようと思ったら流石に疲れていたのか脚がもつれて荒太とアシュラちゃんの真下に移動してしまった。なので必然的に潰されてしまった。

「……重い」

「すまんすまん、美春なら避けられると思ったからよ」

「ご、ごごごごめんなさい!」

 謝りながらおりてくれる2人。

「こっちだって必死だったのよ。こいつなかなか強かったし。もう膝ガクガクよ」

「珍しいな。そんだけ強かったってことかこいつが」

「そうそう」

 私は癒魔法で身体を癒してから立ち上がった。

「そんなことよりさっさと八雲のところに向かうわよ。こんだけ暴れたんだからあっちにもバレてるし、八雲だって首をなが〜〜くして待っているし、来ること前提で何かしら始めているだろうから」

「そうだな、早く行かないと八雲がイラつくし、タイミング間違えると八雲が負ける」

「そういうとこあるからね。でも何個か逃げ道とか作っているだろうからちょっと遅れていかない?」

「おっ!いいねぇ!俺たちの苦労……苦労、苦労?」

「苦労……か。私達って苦労していないか。いっつも八雲に苦労しかかけてないし、ここで更に苦労かけたら」

「そんなことをしてしまったらとんでもないことをさせられてしまうのでは?」

「「…………」」

 いつも賑やかな私達がかなりヤバメの顔で固まってしまったせいで、アシュラちゃんも引き攣りめの顔で固まっている。だってそれほどヤバメの案件です。これ以上酷くならないと思っている八雲のお叱りが、バージョンアップしてしまうかもしれないんだから。

「こ、ここここんなところで油売っているのはダメね!早く行かないとね!何してるの荒太、アシュラちゃん!黙ってないで行くわよ!」

「お、おおう!そうだな!そうだよな!こんなところにいては八雲に行ってやらないとな!」

「そそそそそそうですよ!早く行ってあげないと行けないですよ!ヤクモ様が首をながーーーーーくして待っています!」

「「おっしゃあーーーーーーー!」」

 私達3人は我先にと森を突っ切るコースで自然と駆け出していた。軽めに木に当たるくらいなら気にせず、最短を突っ切ることにした。

「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおせっきょうはいやだぁあああああああああああああああああ!!」」」

 私達の戦いはここからだ!


八雲視点


 黒煙が上がる森を見つめながら俺は苦笑を浮かべながら立ち上がった。

「あいつらは絶対に来てくれるからな。ならあいつらが到着するまで時間稼ぎと、ヒットアンドアウェイで敵を減らしていけばいい。これくらい常識だ」

「やってくれる。だがまだそのお仲間が来るまでまだ時間がかかる。それまでに殺してやろう」

「舐めるな!」

 俺は立ち上がると混乱する敵軍に走り出した。

「馬鹿が!てめぇらそいつを串刺しにしろ!」

『おう!』

 流石は正規軍。混乱しながらも指示に従い俺に槍を突き立ててくる。だが急すぎた。突きつけられた槍の機動は読みやすい。だから槍の上を飛び越えて敵軍の中に入った。

「ぶっ飛べ!」

 俺は掌に魔力を圧縮すると、意図的に暴発させた。生じた衝撃波で俺の周りの敵兵を吹き飛ばした。

「もういっちょ!」

 出来た空間で更に愛刀に魔力を纏わせて振り抜き、前方の敵兵を盛大に吹き飛ばす。左右から迫る前に刀を振って吹き飛ばしていく。俺の周りの空間がどんどん広がっていく。

「ちっ!弓兵、撃て!」

 すかさず弓矢で牽制してくるけど、刀を振るって撃ち落としていく。

「おらぁっ!」

 槍使いが一瞬の隙を見逃さずに素早く接近してくる。

「馬鹿が」

 いままで煮え湯を飲まされた相手が愚策を犯したのに俺は悪態をつく。

「それはてめぇだ!俺とてめぇの実力は拮抗している!満身創痍のてめぇなんかなぶり殺せるんだよ!」

「それが……馬鹿だって言うんだよ」

「へ?」

 突き出された槍を余裕を持って脇にそらすと首を切り落とした。

「あれは集団戦の最中に、気配を紛れ込ませることが出来たから通っただけで、正面からお前ごときが俺に勝てるわけがないだろ?」

「た、隊長!」

 槍使いが殺されたことで動揺が広がる。それだけあいつが軍隊内でそれなりの実力者、信頼があったことがわかる。まぁそれがなかったらあんな作戦たてたりしないか。味方を盾にして、それに味方に当たるかもしれない隙間から攻撃させるなんてことを。

「これで対抗者が一人減った。他にいるかもしれないが、流石にあいつらがやってくるだろう。ちょっと休むか」

 俺は胡座をかいて地面に座り込んだ。

 それに驚いた軍だったが、好機と思い突っ込んでくるやつ、まだ危ないと思って弓矢を射るやつと分かれているが、攻撃を仕掛けてきた。

 でもそんなんで討ち取られるわけがない。射られた弓矢が俺に到達する前にいる弾かれて落ちる。

「物理防御障壁!魔法隊撃てっ!」

『はっ!』

 弓矢が効かないと見るや、すぐさま魔法に切り替えて攻撃してきた。

「判断はいいみたいだ。いい指揮官だな、それでもまだだぜ」

 迫る魔法も俺に到達する前にいる弾かれてしまう。

「二重障壁だと?それほどの魔力がまだ残っているというのか」

 どうやら俺が保有している魔力量を見誤ったらしい。

「これでも伊達にあいつらについていっているんだ。なにせあいつら、最強勇者なんて影で言われているんだから」

 確かにあいつらは問題児だ。手が付けられなくて全員でフォローに回らないといけない。

 だが、それが許されるだけの実績と実力がある。

 レベルが低いときに行った、ランクC迷宮の二人一組(ツーマンセル)による最速タイムでの攻略、それからも1週間に1つのペースでの迷宮攻略、俺との3人で撃破したSランク魔物、そのどれもが普通なら、いや、勇者であっても不可能に近い偉業ばかりなのだ。だから奴らはまだまだなのだ。

「情報の精査くらいちゃんとしてから来やがれ」

 そんなこんなで軍が俺を攻めあぐねていると、軍後方で爆発が生じた。

「後で説教だな。あのバカども」

「「「おりゃああああああああああああああああああ!」」」

 遠くからあいつら、あの愛すべきバカどもの雄叫びが聞こえてきた。

 周りの軍はいきなりの襲撃に慌てている。

「まぁ……気長に待つか」

 俺は二重障壁の維持に集中することにした。

次回もよろしくお願いします

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