あいつはいつも遅れてやってくる。というか遅すぎる
遅くなりました
「勇者達を突貫されて俺はかなり削られたが、あちら側は勇者達だけを削られただけ。なんも痛手を負っていないのと同じだな」
確かにあちらとしては虎の子の勇者を失ったのは痛いだろう、だが制御が出来ない戦力を持っていたとしても自身に傷を負いかねないからあちら側としては万々歳だったかもしれない。あわよくば男勇者達わ殺して女勇者達を襲おうとも思っていたかもしれない。
「流石にどこまで考えているのか分からないが、あまりこういう考えをしていかないほうがいいんだよな。引っ張られるから」
俺は警戒を向けながらも保護している勇者達に視線を向けた。
「まだまだ回復には時間がかかるし、回収用の人員がまだ着かないな?ならそれまでもたせないとな」
俺は愛刀を中段に構えて敵軍を見据える。
「ふぅー…………こい!」
それが合図だったかのように敵軍が雄叫びとともに殺到して来た。
『おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
突撃してくる敵軍に逆に俺から突撃していった。
「ぶっとべぇええええええええええええええええ!」
魔力を纏わせた愛刀で迫る前衛をぶっ飛ばした。
『がぁあああああああああああああああ!』
『ぬぁあああああああああああああああ!』
前衛が吹き飛ばされるなか、中衛は躊躇しつつも突撃してきた。
でも倒れている前衛がいるので来るまでに時間がかかるので、逆に俺から突撃していく。
「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
構えず、ダラリと腕を下げ、刀身を下に向けながら走る。前衛を越えるのに四苦八苦している中衛に向かって、前衛を足蹴に飛びながら襲いかかる。
俺の正面にいた兵士を一刀両断すると、驚いて動きが止まっている両側の兵士の首を両腕を振るって切断した。
「っあ!…き、きさま!」
「やっちまえ!」
驚愕よりも仲間を殺されたらことでの怒りで俺に斬り掛かってきた。
俺はそれに眼もくれず、姿勢を低く、相手の脚の間をすり抜けて剣を振るう前衛群を抜けて、剣を抜く準備をしている中衛あたりに入り込み、兵士を斬り殺し始めた。
「あっちに逃げたぞ!」
「いや!こっちだ!」
「あっち…いや、あっち!?」
「くそがぁあああああああ!ちょこまかと動きやがって!」
そんな怒号があちこちで飛び回っている中、俺は斬っては離脱、斬っては離脱をしまくりながら相手戦力を減らしていった。
(動け動け動け!動いて斬り殺しまくれ!止まったときが死ぬ時だ!幸い切れ味が落ちることはない。体力もまだまだ続く!斬って斬って斬りまくれ!)
俺は返り血を浴びまくりながらも走りまくり、兵士の命を刈り取りまくった。
だけど血は着実に地面に浸透していっていた。
「っ!?……くそ!」
ぬかるんだ地面で足を滑らせて動きが止まってしまった。
俺はすぐに片脚に力を込めて離脱しようとしたら横から剛槍を振るわれて吹き飛ばされた。
「がはっ!」
空中を舞う。かなり疲れていたので意識が飛びかける。朦朧とする意識の中、魔力で空中に力場を作ってそこを足場に飛び回って、意識の回復を待つ。
(くそっ!周囲の警戒は怠っていなかったのにいきなり薙ぎ払われた!死角からの気配遮断……魔力も使っていない。使われていたら死んでたな。くそ、頭が回らない……槍のやつも見失った!)
ふらつく意識の中の不意に頭上に影が指した。何も考えず真横に全力で逃げた。
そのせいで地面に叩きつけられたが、敵軍からは抜け出せた。こちらに走ってくる足音は聞こえるが俺は走り出した。
逃げるのでなく敵軍に向けて。
敵軍からは驚いた雰囲気が漂ってくるがお構いなしに前にいた奴にタックルを決めた。タックルをかますついでに周りを両断した。
「はれ?」
「なん、で」
両断された者達はいきなりのことで思考が追いつかず困惑しながら意識を失くしていった。
「やれぇえええ!」
「討ち取れぇえええええ!」
思考が回復した者達はすぐに武器を俺に向けてきたが、俺はタックルしたやつを盾代わりに攻撃を防ぎながら敵の腕だけを切り飛ばしながら進んだ。
「ぐぎゃあ!」
「う、うでが!」
「助けてくれ!」
腕を斬られた者達はすぐには死なない。鮮血を撒き散らしながら近くの仲間に助けを乞う。中には腰に抱きついて引きずり倒す者もいる。
そうなるとすぐに俺に敵は雪崩込んでこれない。
浴びた血で手元も濡らすので武器を持ちにくくなる。
それを横目に見ながら俺は盾代わりの兵士を密集地に蹴り飛ばすと、すぐさま別の者にタックル、両断、腕の切り飛ばしを繰り返した。
それをし続けることである種の移動空間を作ることに成功した。
周りが阿鼻叫喚している中、俺は出来た空間にて体力回復、魔力回復、バフ付与をすることにした。
「ふぅーー……強化、強化、強化。回復、回復」
周りを警戒しつつ、ゆっくり丁寧に作業をする。
そこで警戒網にあの気配がかかった。
「来た!」
俺は振り向きざまに一閃。相手はそれを空中で防御して弾かれた。
「ようやく現れたな。さっきの仮を速攻で返してやる!」
「舐めるなよガキが!」
「来いよ槍やろう!」
今度は不意打ちなんて絶対食らわない。純粋な戦闘で俺に勝てるわけがない。
それからの戦闘は数合打ち合って終わった。
昔誰かが言っていた、「達人同士が戦うと長引くことなんてありえない。長引くのは未熟者、達人がほぼ一瞬で終わってしまう」と、だから数合打ち合った俺はまだ未熟者なんだろう。
「ふぅーー……これだけで疲れてたらわけないな」
俺の額から大粒の汗がダラダラ流れている。それだけ集中していたんだろう。息も乱れる。
「これで要注意人物はいなくなったか?」
俺がそんなことを考えていると、俺を囲んでいた敵軍が後退した。
それを見たので俺は姿勢を低くして、愛刀を構えて警戒を最大限にした。
そうした瞬間、敵軍後方から矢が降り注いで来た。
「ちっ、くそっ!」
俺は地面スレスレをジグザグに走りながら、当たりそうな矢だけ斬り落としていった。
敵軍に迫ると、敵軍は槍だけを前に突き出して来た。上は矢、中と下は槍で突かれる、なので槍が届かないところを走り出した。敵軍に近ければ矢が飛んでこないのでこの位置を維持する。
(このままだとイタチごっこだな。だがそれでも負けない、負けないが勝てもしないから……そろそろ来てほしいんだがな)
俺はずっと動きながら意識をある方向に向けていると、その隙をあの槍使いが察して近づいてくる。
でももう遅い。
「チェックだ!」
そういった瞬間敵軍後方から爆発が起こった。
「な、なんだ!……ぐぺっ!」
槍使いがいきなりの爆発に驚いて固まった槍使いに回転蹴りを顔面にみまった。
「やっと来たか。あいつら!」
俺は嬉しい声をその爆発方向を見ながら言った。
今年もあと少し
頑張って行こう来年




