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いざ洞窟&ボス部屋まで

第6話 いざ洞窟&ボス部屋まで


姉妹刀との試練が終わり目を覚ますと、ベッドの横にマリナが立っていた。なにやら励ますでもなく何かを確認するようにジッと見つめられていた。


「確認だけど、ヤクモ君だよね」


「はい、そうですけど」


「ホントに?」


「ホントに」


「ホントにホントに?」


「ホントにホントに」


「問題、私のスリーサイズは?」


「上から、??、??、??」


「私がヤクモ君の童貞を奪った場所は?」


「奪われてません!というか童貞じゃねぇし!」


なぜだ、なぜ童貞だとバレた!仕草とかわからないようにしてたのに。


「……うんその反応はヤクモ君だね。よかった傀儡にされていなくて」


「…………もしも傀儡だったらどうしてましたか」


「殺すに決まってるじゃん!!」


怖いーー!恐ろしい回答が帰ってきたよぉー!よかったあのとき姉妹に助けられて、傀儡にされていたらどのみち今日までの命だった!…………というか、


「なんで傀儡化のこと知っているんですか?俺も姉妹刀の中にいた偽物達が言うまでわからなかったのに」


「偽物?なにそれ、私は久々に出てきたライブラに教えてもらっただけだよ?」


そうか、魔剣ライブラは何度も偽物達と戦ったことがあるから偽物が使う能力がわかるのか。


「なるほどそういうわけか。いや実は、っとその前にシェルナはどこだ?」


先程から姿が見えないシェルナの居場所を聞くと、マリナは俺の胸を指差した。つられて見ると、胸にはシェルナが頬に涙のあとを付けて寝ていた。


「そうか、ずっと傍に居てくれたのか。……ありがとシェルナ」


俺は上半身を起こすと、シェルナを滑り落ちないように手で包み、優しく抱き締めた。


「んっ……う…ん……んぅん~……ヤクモ……頑張れ」


シェルナの寝言に苦笑した。


「んっんん!それよりも、早く教えてくれない?」


「あぁ悪い悪い」


いつしか2人だけの(シェルナは寝てるが)空間を作っており、マリナへの説明を忘れていたので、謝りつつ、試練での出来事を伝えていった。


「そう…………そんなことが起きてたの。よく助かったわね、今の結果聞いたあとに言うのはなんだけど、運がいいことで」


「ほんと、運がいいのか、最高に悪いのか」


マリナと話していると、シェルナがぼんやりと目を開けて、こちらに顔を向けてきた。


「…………ヤクモぉ~?」


「おう、なんだシェルナ」


「…………とりあえず、えいっ」


「そぉいっ!!」


シェルナは片手に初めて会ったときに持っていた大鎌を出現させて、俺の顔面に向かって振ってきた。


「なにすんじゃあぁあああああっ!なんとか生き残った俺を殺す気かっ!」


「……なんだヤクモの方か、姉妹だったら避けないから、試しただけだよ?」


「死ぬわ!今回は運が良かっただけで、普通なら避けれないわ」


実際俺が前に大鎌を見ていなかったら、ハリボテだと思っていた可能性がある。いや、実際そうだろう。だってこんな可愛い妖精がいきなり大鎌を出現させて、片手で振ってくるなんてわかんないだろう。


「可愛い…………ポッ」


おっと忘れてた、心覗かれてるんだった。でも本当のことだしいいっか、シェルナが顔を赤くしているがまぁ良しとしますか。


(あなた早く私達に魔力を流しなさい)


(いつまでも待たせるつもりですか)


「えっ?……もしかして」


いきなり頭に響くように声が聞こえてきた。しかもあの姉妹の声だったからなお驚いた。


俺はすぐさま、両隣に置いてある姉妹刀を持つと、魔力を流した。


すると、刀の中心からそれぞれの色である白と黒が溢れてきて徐々に大きくなり、刀全体を覆い暫くして霧散すると、試練で出会った姉妹が立っていた。


「お久しぶりです我らが神」


「こうしてお会いできるのを心待ちにしておりました」


「……俺との対応が違う」


姉妹がシェルナにすぐさま膝をつき、うやむやしく頭を下げていた。俺はというと、俺との対応の違いに愕然としていた。


「えぇと、『血銘』と『欲祓』だよね。私が作った刀の」


「はい!私達ごとき覚えていてくださりありがとうございます」


「それだけで私達は感無量です!」


「つきましては、私達姉妹刀は」


「我らが神、シェルナ様に仕えたいのですがよろしいですか?」


「えっと?」


「ちょっとまてやぁあああああああああああ!!」


いきなりの告白に、俺の絶叫が轟いた。


「なにいきなり主人交代使用としてんねん!俺は認めないぞ!」


「……バカが」


「あなたの意見など求めません」


「上等だ、どっちが上か決めようぜ、表でろやぁあ!!」


姉妹は冷めた目を向けてきて、イラッ、としたので、戦うことにしました。


俺と姉妹は宿の前の通りに出て、向かい合った。通行人はいません。俺達と女将さん達以外はすでに避難したようだ。


「てめぇらを助けたのは俺だろうが。試練だって突破したしよ、それをいきなりなかったことにして、シェルナを主人認定ってどういうつもりだごらぁあ!」


「試練に付きましては、私達が出した訳ではありませんし」


「確かに助けられたきっかけはあなたですが、きっかけでしかないのです」


「それに物は製作者と共にいたいのは」


「本能みたいなものですので」


「まぁそれもそっか」


「「納得しちゃダメでしょ!!」」


マリナとシェルナにツッコまれた。そっか納得してしまったら戦う理由が無くなってしまうか。危ない危ない、なんて策士だこの姉妹。


「いや、ヤクモがバカなだけだよ」


フッフッフー、シェルナの小言は受け流して、さっさと始めますか。


「おい、早く殺ろうや、そっちの口車に乗ってあげたんだからちゃんと審査しろよ」


「えぇ、任せなさい」


「シェルナ様に仕えたいのはほんとですが、私達はいつでも公平に審査いたします」


「マリナ、審判頼む」


「了解」


マリナが俺と姉妹の間に来たのを見計らって、


「……そんじゃ頼むわっ!」


俺はすぐさま姉妹に向かって駆けると、腰に差した長剣を居合い抜きみたく一閃した。


ガキッィン!!と音と共に、姉妹自身の刀で受け止められたので、俺は回転して薙ぎ払った。


「おっらぁあ!!」


力任せに姉妹を飛ばすと、指輪に魔力を流して、全力の六属性同時攻撃を放った。


「「っ!!」」


姉妹は驚きながらも、左右に別れて避けた。


俺はすかさず姉のメイに接近し、長剣を上段から振り下ろしたが、間一髪メイは自身の刀で受け止めた。


しばらく拮抗するも、背後からハラが来るのがわかったので横に逃げた。


「姉さん大丈夫ですか」


「なんとかね、あなたも無事みたいでよかった」


姉妹はお互いの無事を確認すると、ヤクモに向き直った。


「魔法合体“火旋風”……ふっとべぇええええっ!」


俺は隙を見て作った魔法を放った。放たれた魔法は突風に炎が纏ったようになり姉妹に向かった。


「「死を与えよ“死滅”」」


姉妹は避けるどころか、刀に魔法を纏わせて、同時に突風を斬りつけた。すると、猛威を振るうはずだった突風は、刀が当たり次第霧散してしまった。纏わせていた炎も消火されたかのように黒い煙となって消えた。


「っ!さすがと言うべきか、ならこっちも……魔法合体“樹水槍”」


樹魔法で作った槍なのだが、水魔法を与え続けることでずっと成長し続ける槍を作り、さらによく見ると水を噴射しているのでかなりのスピードを出していた。


姉妹は避ける素振りもなく槍の直撃を受けた、と思いきや、槍がいきなり十字に切り裂かれ、無傷の姉妹が現れた。


「そう簡単に行かないかぁ」


「次は」


「私達の番です」


姉妹はそういうと、消えた……のではなく低姿勢でヤクモの懐に潜ると、左右から刀を振り払った。


それをヤクモはバク転して避けるが、姉妹は切り上げ、突き、上段切り、薙ぎ祓い等々を怒涛のごとく繰り出し、ヤクモは避けたり、長剣で受け流しながら凌いでいった。


だが、いつかは限界が来る。最初にして最後に限界が来たのは長剣だった。姉妹のどちらかの刀を受け流したときに長剣は耐えきれず折れてしまった。


「しまっ!」


「貰いました」


「私達の勝ちです」


姉妹の刀が迫るが、俺は腰のナイフを投擲した。それをなんなく叩き落とすが、その間に俺は距離を取った。


「無駄なことを」


「すでに勝負は決しました」


姉妹は淡々と語ってくるが、ヤクモは薄く笑みを浮かべるだけだった。


「なにがおかし」


「なに、まだ勝負は終わってないってことだよ!」


俺は向かい合った指輪に魔力を流して、光弾を無数に放った。正面から見ていた姉妹には、さながら光の壁が向かってくるように見えた。


それを妹ハラが前に出て、斬激を四閃飛ばして壁に穴を開けたので、姉メイが素早く抜けてヤクモに接近すると刀を首もとに振ろうとしたが、地面から植物が生えてきて刀を止めた。


「こんなことは想定内です」


「チャンスいただきました」


メイに隠れて近づいていたハラが、下段から俺の心臓に向けて突きを放った。


「『欲祓』!殺してはダメっ、気絶だけでいいのよ」


「わかっています、姉さん」


「当たらんからいいよ」


俺は向かってきた刀を回転して避けると、突風を起こし姉妹を飛ばした。


「……埒があきません」


「失礼ですが、腕の1つはいただきます」


姉妹はさっきまで向けなかった殺気をぶつけてきた。


俺はそれに気圧されてた……されてしまった。姉妹はその隙を見逃すことなく左右から接近すると、同時に腕に刀を振り斬ってきた。


(しゃあないか)


俺は避けようとせず、指輪に魔力を集中させて、ある魔法を発動させた。そうしていると腕は斬り飛ばされて地面に落ち、姉妹は後ろに立って、刀を突きつけた。


「「私達は勝ちです」」


「勝ちって言うより、引き分けかな…………“土塊牢”」


詠唱を口にした瞬間、姉妹の足下の地面が隆起した。姉妹は体制を崩すもその場から離れようとしたが、


「っ!なにこれ!?」


「動きません!一体なぜ」


姉妹は動くことができなかった。それもそのはず、姉妹には分かりにくい、靴がほんの僅かに埋まっていたので動けなかったのだ。そのまま姉妹は隆起した地面に呑み込まれていき、頭と腕だけを出されて拘束された。


「っっ~~!はぁ、なんとか引き分けたぜ」


俺は斬られた腕からの激痛に膝をついた。


マリナはそんな俺達の様子を見て手を上げると、


「両者戦闘続行不可能に付き、引き分け!」


判決が決まったとき、姉妹を拘束していた土塊がボロボロと崩れていった。


「まさかこんなことになんるなんて」


「そうですね、予想外でした」


姉妹は自分達の予想とは違う結果に驚きを隠せないでいるようだが、


「そんなことより腕持ってきてぇええええええええええ!!」


「「「「あっ」」」」


俺以外のみんなから間抜けな声が上がった。


えぇ~、姉妹はともかくマリナとシェルナも割る忘れるかな普通~、目の前で腕が飛んでいくの見ていたのに。


俺が肩を落としていると、姉妹が腕を持ってきてくれたので、ネックレスに魔力を流して癒魔法を使い、徐々に繋げていった。


数分して弱々しく握れるくらいに繋がると、姉妹に向き直って今回の試練の結果を聞くことにした。


「今回俺は、合格か?不合格か?」


「合格に決まっています」


「ところどころ至らないところはありますが、それは後々直していけばいいだけですので」


「よっしゃあああああああああああ!!」


合格通知に俺は拳を握り、天高く振り上げた。


「やったわねヤクモ!」


「おめでとうヤクモ君」


俺はマリナに喜びのあまりハイタッチしたり、シェルナは抱きしめてキスをした、おでこにだけど。


シェルナは顔真っ赤にして俺から離れようとしたが、俺が逃がさず胸に抱き続けると、さっき浴びたのより数段濃い殺気をぶつけられた。


「我等が神に何をしているのですか」


「恐れ多いことをしやがって、今すぐ人生の合格ラインを越えさせてやるのよ」


俺はシェルナを放して、弁明する前にマリナに助けを求めるように顔を向けた。が、いつの間にかマリナは消えていた。どうやら怪しい雰囲気に危機感を覚えて逃げたようだ。教えてくれてもよかったのに。


「くっそぉ~マリナめぇ、あっ、ま、待てお前らこれには事情というかなんというか、そう!俺達は一応将来を約束した関係なわけだから、別にいいと思うわけで」


姉妹の顔に影が入り、魔力が膨れ上がり、髪が逆立ってきた。幻覚か後ろに龍と虎が見える。……あれ?龍と虎って仲悪いはずでは?


そんな場違いなことを考えていると、とうとう姉妹がキレた。


「おこがましいだけに飽きたらず、婚約だと!」


「もう許しません、この世から存在そのものを消してあげます」


「すっ、すんませんでしたぁああああああああああ!!!」


俺は姉妹から全速力で逃げ出した。



「もうじばげありまぜんでした」


あのあと姉妹に追いかけられ逃げていたのだが、すぐに捕まり全身を浅く切り刻まれたのち、殴打の嵐を受けたため、顔は腫れ上がり、服の下はアザだらけになっていた。


「私達の主に任命されていたことをありがたく思いなさい」


「それさえなければ消していたものを」


俺が生き残れたのは、試練を越えて姉妹刀の主になっていたからだ。魔剣は主を殺すことや、それに属する傷を与えることができないようになっている。


だが、姉妹刀の中にいた偽物達は姉妹刀本人でないので、主に精神汚染や傀儡化を使用して殺すことができたようだ。


「ところでヤクモ君、あのとき魔法を発動したけど、なんで副作用に襲われていないの?」


いつの間にか戻っていたマリナが、先程の試練でのことを聞いてきた。よく見るとシェルナも姉妹刀も疑問に思っていたらしく聞きたそうにしていた。


「あぁそれは、俺が発動させたわけでなく、指輪の力を使った発動させたからだよ」


「でもあのとき指輪は、斬り飛ばされた腕に付いていたんだよ?それだとヤクモには指輪を使うことはできないはずじゃ」


「確かにそれでは使えないけど、俺が腕を斬られる前に指輪に魔力を流して、指示を出しておけば、あとは魔力による連結を維持しつつキーワードを言えば魔法が発動するって訳だよ」


マリナ達は驚きに固まっていた。それもそのはずだ、確かに口で言う文には簡単そうだが、それを行うには精密な魔力操作が必要になるからだ。魔力を一点に集中させること、魔力をその場に留めておくこと、激痛に耐え魔力を漏らさないこと、キーワードを言うまでの忍耐力が瞬時に必要になるからだ。


それをこの世界には来たばかりで、まだ弱いヤクモが当たり前だとばかりにやったことにマリナ達は驚いた。


「すごいねヤクモ君、頑張っていたんだね」


「マリナ、それだと俺が今まで頑張っていなかったように聞こえるんだが」


「「「「そういっているのよ((だと思います))」」」」


俺は心底傷ついてしまった。みんなの本音が心に刺さる。シェルナもそう思っていたのか、以外にショック。


「ま、まぁなにはともあれこれでスタンピードを迎えるための準備も大詰めかな」


「これ以外に何かある?……あぁレベル上げ?それとも今から行って少し減らしてくる?」


「いやいやいや、それよりも重要なことだよ」


「「「「??」」」」


「それは……地形操作さ」


「…………はぁ?どよこと」


俺が満おじして言った言葉にマリナが訳がわからないと言った感じで呟いた。



「なぁ美晴、ホントに行かなくてよかったのか?」


「いいのいいの、なんか言ったらすれ違いになりそうだし」


私は隣で本を読んでいる荒太からの問いかけに、目を手元の本からそらさずに答えた。


2日前に魔力通信によって商業都市サコラにスタンピード発生の知らせを受けたので、近くの国にいる勇者や高ランク冒険者の出動が言い渡された。


私と荒太がいるキラリスは樹の獣国に都市1つ挟んで隣接しているので、応援要請があり、私と荒太以外に勇者は今現在出払っていた。


余談ではあるが、オタクグループはすでに樹の獣国に行っていたので誰よりも早く応援に向かっていったと思う。自分達の主人公イベントだと思って。


「荒太も主人公イベントに参加したかったの?」


「主人公イベントって、まぁ参加はしてみたかったけど、なんか聞いた話ヤバイみたいだからやめときたかったし」


「そうね」


国1つ滅亡の危機クラスだと城の兵士達が口々に話していたので、危ないと思ったし、それに


「この前調べたときに、今回スタンピードが発生したところがちょうどあの場所だったから、大丈夫かと思って」


「?……あぁそういえばそうだな、死の国がなくなったあと死神の使徒が多く現れるところが」


「えぇ、商業都市サコラの近くにある大草原ボノート、もしかしたら今回のスタンピード、使徒が現れたせいで起きたかもしれないから」


(いやそうだと八雲が一番可愛そうなんだが、訳もわからず飛ばされたせいで死ぬかもしれないって)


「あら、使徒が八雲だなんていってないけど?」


「人の心を読むなぁあああああああああああ!!」


荒太は逃げるか頑張っているはずの親友に心のなかでエールを送った。


「私は声に出すけどね。フレーフレーヤ・ク・モ」


「はぁ~」


荒太の苦労は続く。



「久々にイラついた。なんでかは……直にわかるか」


「なにいってんのヤクモ、あんたが始めたことなんだから手動かしなさいよ」


シェルナに怒られ、指輪に魔力を流して地魔法を使い地面に穴を作っていた。


後ろでは姉妹刀に教わりつつマリナが、死魔法の設置魔法を練習していた。


俺達はサコラを外壁の周りにスタンピード用の罠の設置を行っていた。


俺が言った地形操作とは、戦う前に周りの地形に色々仕掛けておくことなのだ。戦いは始まる前から決まっている、と誰かが言ったように準備からすでに始まっているのだ。


スタンピードの魔物共が仲間を増やしている然り、俺達のこの工作作業然りだ。


ギルマスのガナサルが言うには数日したら、近くの勇者や応援に応じた勇者が来るらしく、それまで持たせればいいと言われたが、俺は他のクラスのやつらには会いたくないのでさっさと終わらせたいと思っていた。まぁ荒太と美晴が来ているのなら待ってもいいのだが、あいつらは絶対に来ないとなぜか思っているとで待つのは却下である。


「でもヤクモ、魔物共が来るまでまだ時間なかったっけ?確かに3日から先っていってたから、あと2日以上はあるんじゃ」


「そんなギリギリにやったって間に合わないよ。それに俺さっさと準備をしておきたいタイプだし」


それに予想であるが、そんなに遅くはならないかましれない気がしていた。勇者補正のおかげで。(※ほんとは主人公補正)


雑談しながら準備をしていると、外壁からギルドの受付嬢が慌てた様子で走ってくるのが見えた。


「どうかしましたか?」


「はぁ……はぁ……ヤクモさん達、至急ギルドに集まってもらっていいですか。大変なことが起きました」


ただ事であるようなので、マリナに受付嬢を背負ってもらい(俺が背負うと言ったら全員に睨まれて止められた)すぐさまギルドに向かった。


ギルドに着くと、ガナサルの他に今回の防衛戦に参加する受付嬢全員と残っている数少ない冒険者が集まっていた。


「どうしたんですかガナサルさん」


「来たかお前ら、よしこれで全員だな。今回急遽集まってもらったのは他でもない、今日スタンピードを確認しに行った偵察隊からの情報で……明日にでも魔物共が押し寄せて来るらしい」


ガナサルからの情報に周りは騒然となった。すでに憶測で示唆されていた時間ではあったが、あまりにも早かったからである。


「規模はどれくらいですか?」


「……ざっと見積もっても3万てとこらしい」


冒険者の質問にガナサルがためらいつつ答えると、ギルド内に静寂が訪れた。誰もが理解したのだ、援軍の到着を待たずに負けてしまう、蹂躙されてしまうことをわかってしまったのだ。


誰もが諦めうなだれている最中、八雲とマリナだけが勝つ糸口を考えていた。


(どうする、どうすれば勝てる)


(私達の死魔法をギルマスに言って作戦を経てて貰ったとしてもそれは、やめときたかったし私達が死んでしまったら終わりになってしまう)


(だからといって話さずにいるのも無理だろう。だが3万もの大軍は多すぎる)


(なにか手はないの!?)


俺とマリナが諦めずにいると、ガナサルは集まった面々に重々しく切り出した。


「お前ら、もう諦めよう。幸いなことに朝方に避難は済んで、都市に残って居るのは俺達を含めて数人だ。無理矢理連れて逃げるぞ。今から出ればなんとかスタンピードに巻き込まれずに街に到着出来るだろう」


ガナサルに同調するように残っていた冒険者達も頷き、受付嬢達も頷いた。


「すまない、ほんとはこの街を守りたい。だけど無駄にお前達の未来ある命を散らしなくはない。弱い俺を許してくれ」


『ギルマス』


『ガナサル様』


ガナサルが深々と頭を下げると、さっきまで口を閉ざしていた冒険者と受付嬢達が涙を浮かべつつ呟いた。


「ヤクモ、マリナ、お前達にどんに残らないといけない理由があったとしても今回ばかりは」


「「あぁーー!!そっか!」」


「うぉっ!どうしたいきなり」


「そうすればいいのか」


「やっぱりそうするしかないよね!」


「だな、幸いなことに必要な情報は全部あるわけだしな」


「今使わなくていつ使うのってことよね…………っとと、ごめんなさいいきなり叫びだして、話し合ってて構いませんよ」


「…………いや話し合うもなにも、なにか打開策が浮かんだのか?だったら教えてくれないか」


俺達もガナサルやみんなに教えて手伝ってもらいたいのだが、こんな突拍子もない作戦に付き合わせるのは酷だと思っていた。だってその作戦て言うのが……


『えぇえーーーーーーーーーーーーー!!!』


全員が絶叫して固まってしまうくらい簡単で、最難関なことなんだから。



「俺も焼きが回ったもんだ、こんな作戦に付き合うなんて」


「そういわないでくださいガナサルさん、それを言ってしまえば俺ではなく俺達ですよ?あの場にいた全員に焼きが回っていたんですから」


「確かにな」


俺、ガナサルは隣にいる副ギルマス兼受付嬢チーフのテレナと笑いあった。


賑やかな雰囲気かと思いきや、我前には魔物の大群がゆっくりと向かってくるのが見えていた。


周りにはヤクモとマリナ以外の全員が揃っていた。だが全員の顔は大群を前にしても怖じけるどころか期待に満ちていた。


「まったくこんな負けにかけた方が勝率が上の戦いだってのに、誰も逃げようとしないなんてどうかしてるぞお前ら」


「それを言うならここよりもあの子達の方が何十倍もどうかしてますよ」


「まったくだ」


ハッハッハッ!と盛大に笑い出すと釣られて周りも笑いだし、最後には集まった全員が笑っていた。


戦場に置いて異彩を放っていた。


「ハッハッ…………おっと到着したみたいだな」


いつの間にか数十メートル先に虎型の魔物が迫っていた。


「てめぇらいいか!俺達の仕事は足止めだ。一匹でもいいなんとしてもあいつらのところに向かわせるなぁ!」


『おぉう!』


『はい!』


意気込み魔物共に向かおうとした矢先、魔物共がなにかを感じ取ったかのようにゴロナ森林に目を向けた。そして少しずつゴロナ森林に向かい出した。


「あいつら動き出したか、てめぇらヤレヤレ!ただし死ぬんじゃねぇぞ!」


俺は叫びつつ先頭に立ち魔物共に向かっていった。


(頼むぞヤクモ、マリナ。この戦いお前達に掛かっているんだからな!)



「ぬぅおおおおおおおおおおおお!!」


「はぁああああああああああああ!!」


俺とマリナは全速力の森林マラソンをしていた。なぜなら止まったら最後魔物の大群に飲み込まれてしまうから。


ズッドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


後ろからものすごい足音と地響きを伴って魔物共が迫って来ており時間が経つに連れ数も増えていった。


「うぉおおおお!!おいどんどんと増えていっているぞ!あいつらちゃんと引き付けているのかよ!?」


「無駄口叩く暇あったらさっさと入り口探す!」


「くそー!なんでシェルナのやつ肝心なところを忘れるかな!」


俺とマリナは迷宮の入り口を探して走り回っていた。


俺達が思い付いた作戦は、シンプルに迷宮に行きダンジョンコアを破壊することだった。そうすれば迷宮から溢れた魔物共は半日の間にすべて消え、残った森林から連れてきた魔物共を安全に倒していけばいいという作戦だった。


あのギルド内で思い出したのは、マリナとの約束を果たすためにシェルナが迷宮に赴いた、ダンジョンコアのあるボス部屋にまで到達しているということだった。


本来なら発見されて間もない迷宮を攻略するなんて無理な話だが、ダンジョンコアを破壊するための最短ルートを通るだけならなんとかなると思ったからだ。


ガナサル達もこの事を聞いて、この作戦に賭けてくれた。


最初迷宮までは特に問題もないと思っていたのだが、まさかの事実!シェルナが空を飛んでいって見つけたので、地上からの行き方がわからないと言いだした。


仕方なくシェルナに空からナビをして貰いながら歩いているとバッチリオークの群れに見つかった。それから追いかけっこが始まり今に至る。


「シェルナ!あとどれくらいなんだ!」


「うんとねぇー、あとちょっと」


「それさっき聞いた!」


「シェルっちお願い!もっと分かりやすく!」


「分かりやすく……あと5秒後」


「「ウソッ!!」」


いきなりの時間指定で驚いていると、すこし開けた場所に出て我前に今まで探していた迷宮の入り口が現れた。


「よっしゃー!突撃!」


「もっと緊張感持ってよ~!」


「待って、2人とも待ってよ~」


俺がすぐさま迷宮に突っ込んでいくと、慌ててマリナが来て、遅れるようにシェルナが飛翔してきた。


後ろからの地響きが聞こえなくなったので振り向くと、魔物共は入り口の手前で止まっていた。


「ヤクモ君!危ない!」


「えっ?……ちょっ、あぶねぇ!」


走りながら後ろを確認していたとき、マリナが警告を発してきたので、どうしたのか?と向くと、コウモリ型の魔物が迫っていた。


「そいつはジャイアントバットっていって、牙に毒を持っているの、だから噛まれたらだめ!」


「まじかよっと!」


ギリギリ上半身を反らしながら避けると、先程まで顔のあったところをジャイアントバットが歯を、ガチッ!とならしながら通り抜けた。


「死ね」


後ろからマリナが死魔法を口にしたようだ。上半身を起こしているとジャイアントバットが地面に落ちる音が聞こえてきた。


「ふぅ~助かったよマリナ」


「いいの、それよりもシェルっちここからどう向かえばいいの」


「うんとねぇー、こっちだよ」


そういうとシェルナは奥に飛んでいったので、俺とマリナはそのあとを追っていった。


洞窟内はそこかしこに光る苔があったので、魔法で照らさなくてもよかった。


しばらく走っていたのだが洞窟内は静かだった……静かすぎるくらいに。魔物に遭遇することも、普通は聞こえるはずだと言っていた唸り声も聞こえてこなかった。


「……なぁシェルナ、前来たときもこんな感じだったのか?」


「………いいえ、もっと魔物達が蠢いて居たわよ。明らかにこれは」


「以上事態よね」


ただならぬ雰囲気に俺達は一度戻るべきかと思い出した。だが戻ったとしても出入口には魔物共が塞ぐように居るので、攻略するしか脱出の方法はなかった。


それから階層を順調に降りていった。やはりというべきか、階層を降りても魔物にはそうすることはなく、通るところだけ観察しても魔物の痕跡があまりないことがわかった。


憶測なのだか、痕跡は有りはするのだが階層を降りるに連れ減っているように思えた。


「減っているというより、魔物が生まれていない?生まれてもすぐに消えている?」


マリナも辺りを確認しながら来ているようで、俺よりも深く考えていた。そのなかで気になる言葉が聞こえたので聞いてみた。


「魔物が生まれていないってどういうことだ?生まれてもすぐに消えているっていうけど、迷宮は意識的に魔物を生んだり生まなかったり出来るのか?」


「あぁ言ってなかったっけ、迷宮は最深部のボス部屋、そこにあるダンジョンコアが各階層に魔力を流して、それを魔物にしているんだよ。だからみんな早くコアに制御装置を着けて管理しておきたいの。そうすれば迷宮での死亡をかなり押さえられるし、いろいろな実験ができるんだよ」


「そうなのか。となると、いまこの迷宮はダンジョンコアが正常に作動していない?」


「そうなるね」


だとしたら、魔物になる魔力はどうなっているのだろう。3人の頭に嫌な予感が流れ出した。


「マリナとシェルナはどう推理する?」


「私?私わね、ダンジョンコアが壊れているかな。迷宮が大量に発見されていた時代にはそういうのが多々合ったって本に書いてあったから」


「私は以前に制御装置がつけられていてそれが壊れかけているかな。ここに迷宮が合ったのは何人かは知っていたはずだから、以前に極秘で調査されてそのときにつけられた装置が壊れかけているからというのがいいかな」


「もののみごとに3人ともバラバラだな。しかも俺の推理が一番悪質だ。俺はボス部屋のボス魔物がダンジョンコアを食べたかして力を吸っているなんだ。だってよボス部屋にあるんだろ、強くなるために取り込んでいるかもしれないからな。これが一番当たってほしくないなぁ」


「「ホントにね!」」


後ろから2人に叫ばれつつ、走り階層を降りて行くが、やはりというべきか魔物は出てこなかった。


5階層に降りると、薄暗い洞窟から一変して日が差し込む森林に変わった。


「あれ?!いつの間にか外に出ちゃった?道間違えたのかな?」


「大丈夫よヤクモ君、迷宮では普通のことだから。階層は一定間隔で地形が変わるようになっているの。だからここはまだ迷宮の中よ」


「まじかよ、すげぇな異世界、どんな原理でこうなっているのか知りたいもんだ」


木々の間から差し込む日の光は幻惑や幻覚の類いではなく擬似的太陽が出しているもののようだ。先程の洞窟の濁った空気とは違い、木々が光合成をしているみたいなので、森特有の空気が満ちていた。それでも、


「魔物どころか虫すら見当たんないのはどうなんだ?迷宮にいる虫もダンジョンコアが作っているのか?」


「ううん、虫は自然に発生するはずよ?それでいないとなると、虫も微量ながら魔力持っているから、原因に吸収されたのかもしれないね」


虫すら吸収するとか、どんだけ暴食なのか、貪欲なのか。


「そんなに吸収したら普通はパンクするもんだが、魔物はそこんとこはどうなんだ」


「それは暴発か進化のどちらかしかないよ。今の状況では暴発の方が嫌程度だけど、進化していたらかなりヤバイかも」


そうかもな、これだけの魔力をかき集めて進化したらとんでもない怪物が出来上がってしまうからな。


「暴発はどんなことが起きるんだ?」


「ボス部屋に魔物が溢れかえります」


うわぁ~、それはそれで嫌だなぁ~。扉開けたら魔物が雪崩のごとく飛び出してきたら戦闘どころじゃないからな。


「それでも言い方だと思うよ?部屋がいっぱいになっても出現し続けたら外側が潰れてミンチになっていって、それが溢れてくるんだから」


「「シェルナ嫌なこと言わないで!」」


シェルナが言うから想像しちゃったじゃないか!鳥肌止まんないよ、マリナも両腕擦っているから想像したんだろうな。


でもたしかに溢れ続けたらそうなるものだな、ボス部屋って内側から開かないものなのかな?ゲームとかでは開かないけど、現実になってもそうなのかな。……わっかんねぇや、考えるのやーめた。


考えつつ森林の階層をシェルナの案内に従い進み、順調に次の階層に降りていった。


それからも最深部のボス部屋まで魔物は現れず、何事もなくたどり着いた。


「移動に疲れた」


「確かにここまでほぼノンストップだったからね」


「私は飛ぶだけだったから疲れないよ~」


「「……」」


シェルナにジト目を向けつつ俺とマリナは最終点検をすることにした。


「……マリナ持ち物どうだ」


「特に問題はないかな、ヤクモ君は」


「こっち問題なし、それじゃ最後にお互いのステータスを確認しあうか」


「わかった」


2人でステータスプレートを出し、魔力を流して声を会わして出した。


「「せーのっ」」


名前 朧八雲


職業 勇者・錬金術師


レベル 573


スキル 錬成・錬金術・死魔法・思考加速・並列思考・直列思考


不眠・痛覚耐性・精神汚染・傀儡化・下位死霊召喚・怨


霊化


体力34623 魔力58000 攻撃41300 防御50000 素早さ32160


運75000


加護 死神の加護




名前 マリナ


職業 剣士・双剣士


レベル 821


スキル 剣術【帝級】・双剣術【極】・思考加速・並列思考・直


列思考・斬撃耐性・打撃耐性・自動回復・空間切断・多


重障壁


体力89000 魔力75000 攻撃105000 防御101000


素早さ150000 運61000


加護 死神の加護




「う~ん微妙なところだな」


「これは、Aランクなら大丈夫だけど、Sランク以上となるとダメかも知れないね」


強くなったつもりでいたのだが、まだまだと実感していた。多分だが心のなかで、死魔法があればなんだって余裕だろうと、慢心していたんだろうな。だからレベルも中途半端になってしまったんだろう。


はぁ~こんな気持ちで倒せるのやら、死ぬ可能性の方が高いのに、それがまた高くなった感じだな。


「でもここまで来たならやるしかないよ。ほんとに危なくなったら……ちょっとした奥の手を私が使うよ」


「「奥の手?」」


シェルナはなにやら決意に満ちた目で俺達に頷いてきた。


俺は嫌な予感がしたので、マリナに待っていてもらいシェルナを連れて前の階層に戻った。


「マリナは気ずかなかったみたいだが、シェルナお前……本体の力を使おうとしているだろ。女神共にバレるかもしれないのに」


「うっ……うん、まぁそうだね、だって2人が死ぬのは嫌だし、また1人になるのは嫌だし」


「……俺達が死ぬより1人になりたくないの方が本音だろ?」


ビクッ!とシェルナの体が痙攣したように震えた。俺はそれを見つつ、ガシガシと頭を掻きながらシェルナに、ベシッとデコピンをくらわせた。


「あいたっ」


「本音知ったくらいで俺もマリナもお前を嫌いになったりしないよ。それにすこしは俺を信頼してくれてもいいと思うわけよ。シェルナは、見た感じ心を開いているようだけど、自分でもきずかないうちに人とある程度距離を取っているんだよ」


「そんなこと!……そんなこと、そんなこと、そんなこと…………」


最初否定しようとしたシェルナだったけど、何度も呟くうちに自分でも分からないようだった。


「だから提案なんだけどさ、いまこの際使える使えない別にしといて、今回使おうとした奥の手を、女神共にバレなくて俺でも使える位のを教えてくれないか?」


「はぁあ~~!なにいってんのよ、そんなおいそれと使えないから奥の手なのに、あんたバカぁ!」


ごもっともな意見で、だけどそれしか方法がないんじゃどうしようもないわけだし。奥の手を使ったら女神共にバレる、だったらバレない程度のやつを使えばいいと思うわけだからして……


「封印されている間に私がそれを考えなかったと思う?当然考えて実行したわよ。だけど無理だったの。奥の手の実験のせいで何人か使徒を消されたわ」


まぁそうかも、シェルナだっていろいろやって来ただろうと思っていたが、嫌なことを思い出させてしまったか。それはそうと聞きそびれていたが、


「奥の手ってどうなの?」


ズコッ!とシェルナが空中で転けた。


「いつもなんなのよあんたは!ちょっと空気が読めないんじゃないの!?……私の奥の手って言うのは、」


俺はシェルナの奥の手を聞いて、1つ試してみたいことが浮かんだ。


「シェルナ例えばなんだが、俺が……」


「…………いいかも、それならお姉様達にバレないかもしれない!」


よ~し今回もなんだかんだ乗りきれるかもしれないぜ!


俺はシェルナと戻りながらアイデアを出しつつ、試行錯誤をしていった。



「どうやら俺達が魔物を引き付けておく必要はなかったみたいだな」


「そのようですね」


魔物を引き付ける役目をしていたガナサル達は、迷宮の前に来ていた。


迷宮の前には魔物が陣取って……おらず、大量に居たであろう足跡のみが残されていた。


その光景を見たガナサル達は、何が起きているのかわからなくなった。


迷宮の魔物が消えるのはわかる、ただ迷宮の魔物に統率された森林に生息する魔物までもことごとく消えてしまうのは訳がわからなかった。


しかも足跡を見ると、迷宮内にも森林にも戻った形跡がなく、佇んでいたらいつの間にか消えていたというのがしっくりくる光景だった。


「何がいったいどうなっているのやら」


「少なくとも、迷宮内にいる彼らが最も危険ということだけが判明しただけですね」


ガナサルがぼやくと、隣にいたテレナが淡々と告げてきた。それを聞き、ガナサルはまた盛大に溜息を吐いた。


「仕方ない、一旦都市まで戻る。ここにいると魔物共みたいに消されるかもしれないからな」


ガナサル達は辺りを警戒しつつ、渋々戻り始めた。


(とにかく頼むぞお前ら。最後の希望はお前らだけなんだから)


暫し迷宮出入り口を見たあと、ガナサルは都市に向けて仲間達の後を追った。

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