砂漠の魔物との戦闘
今年も一年よろしくお願いします
八雲視点
それから俺達は1時間もしないうちに次の階層に移ることができた。
どうしたかというと、それぞれの探知系の効果範囲ギリギリで点在して、意図的に重ならないように作った空白地帯で俺が探知系を使わずに待っていた。しばらくしてそれはやってきた。地面が揺れだすと俺はその場を飛ぶと地中から巨大なクジラ?が飛び出した。よくよく見ると口から巨大な牙が2本飛び出て、体は岩山のようにゴツゴツしている。どうやら岩を纏っているようだ。
「グゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンンン!!」
階層全体に響くかのような鳴き声をあげる。
「うるせぇな!だがこいつのどこかに次に行くための何かがあるはずだ!」
俺はそう信じてこのクジラ魔物に走り出した。すると、すぐに気がついたクジラ魔物は俺の方を向くと大慌てで地中に潜り始めた。
「っ!?逃がすか!」
俺は全力疾走してなんとか尾ビレに掴まることが出来たが、そこからは必死だった。
「〜〜〜〜〜〜っ〜〜〜〜〜っ!」
クジラ魔物が地中を進むため、俺は壁を押しつけられながら猛スピードで進んでいる感じでいた。砂だがある程度クジラ魔物の周りが柔らかくなっているとしてもとてつもない圧力がかかってくるのだ。
(このままじゃ手が外れる!その前に地上に上げてやる!)
俺は地魔法を使い、体の周りを砂が避けるようにした。これで圧力が軽減した。
「このままぶっ飛ばしてやる!」
俺は探知で地上がどっちの方向か探り、わかったら身体強化を腕に一束集中させて、遠心力でぶん投げた。
「グゥオォオンン!?」
いきなり体が引っ張られてあらぬ方向に向かうことに驚き眼を白黒させるクジラ魔物。そのまま地上に回転しながら飛び出た。それに追従して俺も地上に飛び出る。
クジラ魔物は地中に潜ろうとせず背中から落ちた。
「畳み掛ける!」
俺は直様駆け寄ると愛刀をクジラ魔物の首に深々と突き立てた。
「呪え、『呪怨縛鎖』『止血不可』」
俺は2刀に別々の魔物を使いそれをクジラ魔物に流し込ませた。
1つは『呪怨縛鎖』、呪いの鎖を浮かび上がらせて体を縛り、限定的に行動を制限するように改良した魔法だ。
もう一つは『止血不可』、これは文字通り傷口を癒やすことも塞ぐことも出来なくするようにする魔法だ。それを『呪怨縛鎖』に乗せて身体中にくまなく行き渡らせる。
もともとこの2つは死魔法の派生の呪魔法だ。またを拷問魔法とも言われている。
「このまま一気に切り刻む!」
俺は呪いを流した瞬間に飛び上がりクジラ魔物の体を切り刻み浅い傷を覆わせていった。
それは普通なら1秒とたたずに、いや意識せずとも勝手に治っているような傷なのだが、呪いのおかげで塞がらずにタラタラと血が流れていた。
「グワァア?」
クジラ魔物もいつも味わうことのない違和感に疑問の声を上げた。いつもなら痛いとも感じないものがずっと続く、それが体中に点在してしている。とてつもない不快感。
「グルゥアアア!」
その不快感を消そうとクジラ魔物が潜るでもなく(呪いで潜れないのだが)何度も跳ねて跳ねて俺を下敷きにしようとしてくる。不快感を与えてくる俺に、砂に潜れなくした元凶を潰そうとしてくる。
「そんなんじゃやられないよ」
だけどその程度の攻撃でやられる俺ではない。跳ね上がったら速度に任せてすぐにその場を離脱、離脱離脱離脱で当たらないようにして、見極める。衝撃をギリギリで耐えれて尚且次に跳ねるまでに刀で斬りつけられる距離。
「…………ここ!」
俺は盛大に砂を被りながらもクジラ魔物が飛び上がる前に浅くだが斬りつけた。
そこからはただの単純作業になった。跳ねて離脱して落ちて斬る、それの繰り返し、同じところを斬る時もあり、段々傷が増えて、深くなっていった。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」
俺はたゆまなく動き続けて斬り刻む。足元の砂がドンドン赤黒く染まっていく。
「グゥルオォオオオ……グゥルオ……グゥオー………………ギュオオ……」
血を流しに流していくとクジラ魔物の鳴き声が徐々に徐々に弱々しくなっていった。最後には飛び上がることもできずに横たわってしまった。
「終わらせてやるよ」
横たわったクジラ魔物の頭の上に立つと俺は刀を合わせて疑似神器にすると、思いっきり飛び上がり遠心力を乗せて頸を切断した。
クジラ魔物の瞳から光が消えた。すると首から分断された胴体が輝き出した。腹のあたりが波打ちだすとそこに空洞が出来て階段が出現した。
「はぁ~~~〜〜〜〜!」
俺は安心しきったため思いっきり息を吐き出してへたり込んだ。流石に疲れたからだ。俺は座り込みながら散らばったみんなに通信で終わったことを告げて座標も教えて待つことにした。
サンサンと照らす太陽モドキに照らされながら待っていると近くにいた奴から集まってきた。
「おつかれ~」
「おつかれ様です。水どうぞ」
「ありがとう」
先に来たのはアシュラだった。アシュラは攻撃系のスキルを伸ばしているので探知系は少ない。なので万が一を考えて俺の近くに配置していたのだ。
「かなりの巨体ですね。こんなのを1人で仕留めるなんて……流石です」
「まぁな……だが再生カを無くしてやっとだ。俺じゃなかったら負けるか引き分けだったかもしれないな」
「ちなみに私では?」
「アシュラじゃ戦う前に暑さでダウンだ。耐性系を上げろ」
「すみません」
そんなふうに雑談をしていると続々と集まってきた。
数分たつと全員が集まった。
「全員集まったな!漏れてるやついないな!さっさと次の階層に向かうぞ!」
『おお!』
全員の声に喜びの感情が乗っている。とうとうこの階層を抜けられらことに対しての、そして達成感にてだろう。
俺達はウキウキしながら少し涼しい階段を降りていく。
「これは期待できるな」
「そうね!もう暑いのはコリゴリだからね!」
そんなことを荒太とシェルナが言ってくる。でも俺はなにか嫌な予感を感じていた。
「……真後ろにあんな砂漠があるのにここまで冷気が漂ってくるって不味くないか?」
それは俺だけが感じている疑問じゃなくて、見てみると荒太とシェルナ以外不安そうな顔をしている。
そんな俺達を気にすることなくズンズン進んでいく荒太とシェルナ。それについていくけど耐性系に加えて魔法で暖房をしていく。
そして扉の前に到着する。
「「…………」」
来るまでの間に口数が無くなってしまっていた。それもそうだろう、扉に隙間があるわけがないのだが、扉から極寒の冷気が漏れ出ている感じがした。
…………ゴゴゴゴゴ。
俺が意を決して開けるとそこには白銀の世界が、上とは違う死の世界が存在していた。
「なんでだよ」
俺のツッコミが風にさらわれて溶けていく。
次回もよろしく!




