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膝枕とイジケリと砂漠と

遅くなりました

八雲視点


「穴があったら入りたい」

 俺は2階層で体育座りしていた。周りには他の面々が苦笑しながら俺をなだめていた。

「ごめんって八雲。私も悪乗りし過ぎた」

「ゴメンゴメン。でもヤクモ君があまりにも可愛らしく寝ているからつい……ね?」

『うんうん』

 荒田以外が首を縦に振る。心なしか苦笑も微笑みに変わっている。

「…………いっそ殺してくれ!」

 こんな空気耐えられない。

 それもこれもこんなことになったのは数分前に戻る。

      ●

「うっ……うぅん」

 俺は美春が来たのを見て触れたので、安心して眠気に負けて寝た。それからどれくらい寝たのかわからないが意識がだんだんと覚醒してきた。

「うん?」

 覚醒していくうちに自分の状態がわかってくる。自分の頭が柔らかいものの上に寝ていることに。

(……あれ?俺は草原にいたから柔らかいものなんてないのに?……草むらが盛り上がっているところに寝てたっけ?)

 そうな風に寝ぼけながら考えていくと段々と頭が動いてきた。

「………………まさか、美春か?」

「せ〜いか〜い!」

 突如頭上から聞き知った声が聞こえてきたので顔を向けると、サムズアップしてものすっごい笑顔を美春がいた。

「おはよう八雲」

「おはよう美春。とりあえず何をしているんだ?」

「そんなの見ての通り()()()()()()()()?」

「そうかみんなで…………みんなで?」

 俺はゆっくりと周りを見渡した。そこには俺と美春を囲むように他の面々とその枠の外に荒田がいるのを見た。

「………………よし死のう」

 俺は腰に差していた短剣を掴むと躊躇いなく首に当てて首を掻っ切ろうとしたらみんなに全力で止められた。

「やめろぉ!死なせてくれぇ!恥ずかしすぎんだろこんなのぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 羞恥心で顔から湯気が出るほど熱くなっている俺。もう美春には寝てるのをなんとか見せられるが他の面々にあんな安心しきった瞬間を見られるのはかなり恥ずかしい。

「大丈夫大丈夫だから八雲!みんなただ見てただけだし、何なら荒田以外膝枕しているから、もう手遅れなの!いろいろと!」

「むぎゃぁあああああああああああああああああああああ!!そんなこともしてたのか!もう嫌だぁあああああああああああああああああ!!」

 更に俺の顔が熱くなるのがわかる。もう穴掘りまくって埋まりたい衝動に追われる。

「そんなことより早くこの迷宮クリアするんでしょ?なら早く行きましょう」

「そんなこと?そんなことなもんかぁあああ!もう……グスン」

 色々な感情が巻き起こって涙が出てきた。

「ゴメンゴメンって。もういつも大人ぶっているくせにこんなところはまだまだ子供なんだから」

「ほっとけ」

 美春が呆れながら肩をポンポン叩いて慰める。それでようやく少しづつ気持ちが落ちつてきた。

「ふぅ…………ありがとう美春。ある程度落ち着いた。みんなもゴメンな待たせて」

 ここでみんなを見渡しながら一呼吸置く。

「だがしかし!寝ている俺にたいして代わる代わる膝枕したことにかんしては逆に謝ってもらいたい!流石に遊びすぎだろうが!」

『反省していまーす』

 まったく反省もしていない感じで返してくる。全員目を逸らして、口元は意地悪い笑みを浮かべていた。

「こいつら……もういい。次の階層に行くぞ。武器の点検はもう済ませているだろう」

『…………』

「……お前ら」

「ごめんなさい八雲!でも八雲も悪いのよ!あんなに気持ちよさそうに寝ていたら……ね?」

「そうよヤクモ君。あんなの見せられたら膝枕しておちょ……癒やしてあげたいって思えるのよ」

「おい、今おちょくるって言いかけただろう」

「そんなことより八雲!少しだけ時間頂戴。今すぐ点検終わらせるから」

 返事を聞く前に武器を抜いて点検を始める面々。

「……はぁ」

 俺は何も言えずにため息をつくとその場に座り込んで腰の愛刀を抜いて点検することにした。

 それからしばらくして全員の点検が終わり3階層に向けて走り出した。階段はすぐに見えてきた、その間に魔物からの襲撃はなくちゃんと討伐出来ていたんだなと胸を撫で下ろした。

「さぁ締まっていくぞ」

『おう!』

 階段を降りていく俺達。

 次の階層に降りた俺達の前に広がったのは何も無い砂漠だった。

「………………なんでだよ」

「あでっ」

 ちょうど近くに来た美春の頭を引っ叩いた。

「なんで叩くかな?」

「夢じゃないか確認しただけだ」

「そういうのは自分の頬を引っ張るんじゃないのかな?」

 そんな軽口を言いつつ俺達は砂漠に向けて歩き出した。

 それから暫く歩いていたのだが、

「……何も無いしここにまで来るまで魔物にも遭遇しないなんてな」

「そうね、これって忍耐を試しているのかな」

「マリナ、こういう風な感じの迷宮は他にもあったりするのか」

「そうね、聞いた話だとマグマの川が流れている階層、暴風が吹き荒れている階層、土砂降りで一寸先が見えない階層とかを聞いたことはあるかな」

「ならこの階層も納得か」

 それから俺達はときにバラバラに、ときに小陰で一緒に休んだりしながら広大な砂漠から階段を探していた。探していたのだが、

「はぁ……はぁ……はぁ……あつい!そしてなにもない!どうなってんじゃあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 俺の絶叫が木霊する。それに答えてくれる者は誰もいない。後ろにいる全員が喋る気力すら奪われた顔で俯いていたからだ。

「水を……その前に小陰を……水、水水水水水水!」

 このとき俺は水に取り憑かれていたと思う。ボクシング選手が減量で水を摂取しないで闘志を燃やす奴、砂漠で遭難した奴が水筒から落ちた水滴に縋る奴の気持ちがなんとなくわかった気がする。

「いやいや八雲。その2つは全然違うことだから一緒にしちゃうだめ」

「なぜわかっ」

「普通に声に出してたから」 

「はっ!」

 急いで口を隠したが意味ないことがわかったのでゆっくりと手を下ろした。

「それより早くしないとな」

 俺は何回目かもわからない地魔法で砂を動かして屋根を作り、影が出来たらその中心に窪みを作って固めて、水魔法で水を作って満たしていった。大きさは小さめのプール並だ。

『ふはぁーーーーーーーーーーー!生き返るぅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!』

 みんなが飛び込まずにゆっくりと浸かっていって気持ちの良い息を吐いた。

「もうやってらんない。何なのここ!こんなに見つからないなんてありえる!」

 水の上にプカプカと浮かんだシェルナが怒り出した。まぁそうだろう、身体強化で暑い中走り回り、くまなく探し回り、探知でも探し回っていたのに見つからない。

「確かにな、こんなに探し回っても見つからないなんておかしいな」

 そうなのだ、俺達全員で探し回っているのに見つからないなんておかしい。

「まるで階段が逃げ回っているみたいだな」

「そうかな?」

 俺の疑問を美春が否定する。

「どうゆうことだよ」

「階段が逃げ回っているっていうより、私達が階段から逃げ回っているみたいかなって」

「俺達が?逃げ回っている?………蜃気楼か?」

「だがよ、蜃気楼なら探知でわかるんじゃないのか?」

「だったら、()()()()()()()()()()()()()?」

「あっ!」

 確かにそれなら見つからないのも頷ける。視覚は蜃気楼で、探知は階段自体が移動してしまえば見つけることなど不可能に近い。

「だがそうとわかればやりようはある。ちょうどここには魔物がいないから大々的に出来る!」

 俺はすぐさまみんなにある作戦を伝えた。

「なるほどそれいいかも」

「まぁいいんじゃないか」 

「「「賛成 (です)!」」」

「よし!なら早くやってこんなところさっさと抜けちまおう!」

『おーー!』



 


そろそろ年末

体に気をつけて頑張って次いってみよう

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