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迷宮『狼王の領地』にて

遅くなりました

   八雲視点

 迷宮に潜った俺達の前に広がったのは広大な草原だった。上にはさんさんと降り注ぐ太陽の光があった。

「やっぱり毎回見ても不思議に思うなこれは」

「こういうのはの慣れよ慣れ」

 俺の疑問に隣りにいた美春が呑気なことを言ってきたので、流れる動作でコブラツイストをかけた。

「アダダダダダダダダダダダダダダダダダダダタ!!」

「お前はもうちょっと物事に対して関心を持て」

 そんなコントを挟みつつ進んでいくと、向こうの丘から黒い影が迫ってくるのが見えた。

「どうやら来たみたいだ。全員戦闘準備!」

 俺の言葉にシェルナ以外全員が武器を構えた。

 丘から現れたのは、迷宮の外でも草原に多く生息するグラスウルフの群れだった。


名前 グラスウルフ

レベル2000

スキル 群体共有・爪牙・俊足・草原迷彩

体力12596魔力2500攻撃6500

防御3000素早さ46529運1222


これが鑑定で見たグラスウルフのステータスだった。

「やっぱり狼系は素早いがグンを抜いて高いな」

「ここは任されてもよろしいですか?」

 アシュラが前に出てグラスウルフと退治すると言い出した。

「一人で大丈夫か?エキドナと荒太の苦手組でやってもいいぞ」

「元からそのつもりでした」 

「頑張らせていただきます」

「任せろ、ソッコーで決める」

 アシュラ、エキドナ、荒太が順に意気込んでいった。

「では、参りましょう!」

「はい!」

「おう!」

 掛け声と共に苦手組がグラスウルフの群れに突っ込んだ。

 アシュラは刀剣を中段に構えて、近づいてきたのから次々に斬り捨てていった。

 エキドナは変化させていた下半身を蛇に戻すと、独特の動きでぬらりくらりと交わし、交わしたときに蛇の胴体をスルリと巻きつけて、交わしきると締め付けて骨を砕いた。

 荒太はガントレットを瞬時に装備すると、グラスウルフに躍りかかると殴り倒していった。

「順調そうだな」

「そうね、でも統率しているやつが見えないのが気になるかな」

 それは俺も気になっていた。美春が言ったように狼系は統率するリーダーがいるものだ。でも群れを見る限りそういったやつが見当たらない。

「ここにいないなんてことはないはずだ。必ず群れと行動するのがリーダーだ」

 俺がこの世界に降り立ったときに始めて遭遇したグレーターウルフははぐれだったので別枠だったとしても、これはおかしかった。

「マリナ、そっちはリーダーを見つけた?」

「ヤクモ君が見つけられなかったら私が見つけられるわけないじゃない」

 俺の質問に首を横に振りながら答えるマリナ。

「美春」

「私も見つけられない。多分あれは先遣。必ず後続が現れる」

「だろうな」

 美春の確信を俺は肯定する。リーダーがいない群れなどいない、リーダーがいないならそれは群れでなく様子見かはぐれだ。今回は前者だと思った。

「全員戦闘準備。苦手組があれを掃討したら合流だ」

『了解』

 そうこうしていると苦手組が最後の一匹を倒した。それを確認してすぐさま駆け寄る。

「おう終わったぞ」

「どうでしたか?」

「私達もやるときはやるんだよ」

 苦手組の各々が感想を言っているうちに、俺達は3人を囲うように布陣を敷いた。

「それは後で聞くよ。まず傷を癒して息を整えて構えろ」

「どうしてだ八雲?」

「本命が……くるからだよ!」

 俺の声と共に丘からグラスウルフが次々と飛びかかってきた。

「せあっあ!」

 飛びかかってきたグラスウルフを抜刀術で両断すると、返す刀で横のを斬った。

 周りを見ると各々も武器で応戦していた。

「余裕のあるやつは索敵してリーダーを探せ!荒太達が復帰したらマリナとエキドナが中心になって索敵しろ!」

『了解!』

 それからもドンドン倒していくのだがグラスウルフの群れが止まらず、リーダーも見つからない。

「いつまで続くの八雲!」

 あきて疲れてきた美春が泣き言を言ってきた。

「泣き言言わないで手ぇ動かせ!いつまでも続かない、これはただの我慢比べだ!」

 実際はどうなのかはわからない。迷宮だから無限に湧いてくるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

「……マリナ戦線をあげるから合わせてくれ」

「オッケー!お姉さんに任せなさい!」

 主に群れが現れる前面にいた俺と、側面にいたマリナで群れが来る方に全員で移動出来るようにするために魔力を高めだした。

「「『双絶斬(そうぜつざん)』!」」

 二刀持ちの俺とマリナが前方に向けて、クロスさせた剣と刀で斬撃を放った。

 迫りくる群れを薙ぎ払い道が出来た。

「いくぞ!」

『おお!』

 俺達は戦線を押し上げていった。でも数回おこなったところで留まって戦うことにした。

「ダメだこりゃ。全員暫くここに留まるぞ!耐え抜け!」

「どういうことよ八雲!」

 意味がわからないと美春が講義してきた。

「このまま前進してもリーダーなんて見つからないし群れも減らないことがわかったんだよ!」

「なんで!」

「この群れに元々リーダーなんていなかった!いや……リーダーはいるんだがな!」

「言っている意味がわからないんだけど!」

「リーダーは次の階層にいるからこの階層では群れの討伐は不可能なんだよ!」

『っ!!?!』

 俺の言葉に全員が驚きの表情をする。

「ホントなの八雲!?だったら早く次の階層にっ……」

「さっき調べたら階層への階段は約2キロのところにある。そこまで行けるのか?今の状態で!」

『…………』

 俺の問いに誰も答えない。それもそうだろ、俺もどうやっらいいのかわからない問いだ。いや、無くはないが、1階層目からこれじゃ先が思いやられる。

「1つだけ策がある。今の俺たちならなんとかなるのが」

「なにそれ?」

「この場の最強を向かわせる。2階層に、リーダーとは一騎打ちでやってもらう」

「それでその最強。2階層に行く奴は誰なんだ?」

『…………』

「……私が」

「俺が行く」

 美春の声を遮って俺が答えた。

「ヤクモ君が!」

「八雲が!」

「「ご主人様が!」」 

「……」

 みんなが驚く中美春だけは仏頂面で暗い顔をしているが何も言わなかった。

「この場で階段の場所を把握しているのは俺だけだ。最強は美春だがこと探知も合わせたとなると俺が該当する」

「でも八雲、お前一人で倒せるのか?実力を疑っているわけじゃねぇ、でもお前は速さが足りない」

「知ってる。だが荒太と美春の合技で階段までの道を作ればギリギリ間に合う……頼めないか?」

 俺の公願に頭をかきながら渋い顔をする2人。

「あぁ~~っ!もぉ!これは貸しだからな!」

「なんか奢ってよ?」

 でも何かと引き受けてくれる2人が俺は好きだな。

「やるわよ荒太」

「おう!任せな、バッチリ合わせてやる」

「頼むぞ。みんなはフォローを頼む!」

「「「了解!」」」

 俺達を囲むように守る3人。その中央で魔力を高める2人。

「八雲方向は!」

「向こうに一直線!」

 階段を指差す。その方向に向かい合って武器を振りかぶる2人。

「「はぁああああああああああ!合技『海割り』!」」

 タイミングを合わせて振りかぶる。すると衝撃波が生じて直線状にあった障害物すべてを薙ぎ払った。

「突っ切る!」

 俺は脚に身体強化を集中させて走り出した。だがグラスウルフが直線状に、薙ぎ払いに耐えたのが立ちはだかる。

「邪魔だ。『乱切り』!」

 でもトップスピードを維持したまま切り刻む。

 ドンドン立ちはだかるがついに階段が見えた。でもその手前が一番密集していた。

「押し通る!『穿ち斬り』!」

 直線に斬る技で密集を突っ切って階段に転がり込んだ。

「どらあぁあああああああああああ!」

 階段を転げ落ちていくと踊り場のようなところで止まる。

「周りには……いないな。さっさと行って閉めるとしますか」

 俺は2階層に向けて走り出した。



迷宮戦はもうちょい続けます

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