八雲の怒りと迷宮に向けて
遅くなったというより足骨折してしまいました
「おい美春、それでいいのか」
私が納得しないでも話を終わらせようとしたとき、八雲が不機嫌さを実らせて話に入ってきた。
長い付き合いだから八雲がなんで不機嫌なのかはわかっている。でも、
「八雲、私は気にしないからさ……ね?」
「…………美春がいいなら」
とても不本意ながらも納得した八雲はトリートメントに戻ったけど、場の雰囲気はとても落ち込んでしまった。
その雰囲気を察していて、しかもその雰囲気を作ってしまった自覚からラースさんが落ちこんでしまっている。それは自業自得だからいいんだけど、八雲が不機嫌すぎてなかなか場の空気が回復しない。でも八雲の手は狂うことなく、丁寧にサンちゃんの髪を整えていく。こういうときは手元が狂ったりするものだと聞いたのだけど、八雲は手以外の全部で不機嫌を出して、手だけはトリートメントに集中しているというなんとも器用なことをしていた。
「…………これで完成だ」
八雲がぶっきらぼうに言ってサンちゃんから離れた。
八雲が離れるとカーミラさんがズイズイとサンちゃんにより、髪をマジマジと見出した。
「ナンデスカコレ……私がやるよりも何倍も綺麗……負けた」
カーミラさんが膝から崩れ落ちた。
「年期の差です」
八雲が自信満々な顔で威張っている。ウザい。でも少しは機嫌が良くなったみたいだ。
「じゃ……今日の予定もあるし一旦解散で荒太のところに行こう……そろそろ泣くかもだからな」
『あっ』
荒太のことすっかり忘れていた。
その頃荒太はと言うと、
「みんな……まだかなー」
膝を抱えて演習場の草むらに体育座りで待っていたそうだ。私達が駆けつけても今度は荒太の機嫌がなかなかなおらなかった。
「と言うことでいい時間にもなってきたことだし、今日の予定を決めるとするか」
八雲が仕切りながら話し合いが始まった。
「まず近くのAランクダンジョンを最短で攻略する。そのあと小さくてもいいから盗賊共の討伐、こういう流れで行きたいんだがどうだ?」
「いいんじゃない?それで」
私は特に反対することがないから気楽に答えた。
「俺はAランクのあとにランクが下がってもいいからダンジョンにもう一度入ったほうがいいんじゃないかなっと思ったんだが」
荒太が意見を言った。確かに言い分としては有りだと思った。
「それもいいけど、ダンジョンに向かうか、探すかはダンジョン後になるから、一度ちゃんとダンジョンについて話さない?」
マリナさんがさらにもっともなことを言った。
「確かにな。今回行こうと思っているのは迷宮『狼王の領地』だ」
「えぇ〜狼?可愛いから攻撃出来ないよう」
「はぁ?何いってんだその心構えで…へぶぅあっ!」
私が頬杖をつきながらからかうように言った言葉に、八雲が真顔でしかも真剣に言ってきたので、八雲の隣に瞬時に移動して飛び膝蹴りを叩き込んでやった。
叩き込まれた八雲はトリプルアクセルを決めながら床に突っ込んだ。ちゃんとテーブルに行かないように角度を考えてやったから当然だ。
「何しやがる美春ぅ〜」
「あんたがデリカシー無いことを言うからよ」
「…………悪かったよ」
私が少し不機嫌なのが伝わったのかぶっきらぼうながらも謝ってくれた。
「謝れば良し」
私は機嫌が少し良くなったので自分の席に戻った。
「いつつ……と言うことで話を戻すが、挑戦するのは『狼王の領地』、全50階層になっているAランクダンジョンだ。主だったのは狼系だが、様々な種類がいて状態異常系が多数いるようだ。それに狼系だから素早いから逃げづらい」
「うへぇー」
「ちょっと苦手です」
「私も狼が苦手です」
荒太が嫌な顔で呟き、アシュラさんとエキドナさんが挙手で意見を述べた。
(というかアシュラさんとエキドナさん。なんか久々に見た感じがするんだけどなんでだろう)
「しくしく。なんか悲しいことを思われているけど、私達ほんとに今まで空気だったねエキドナちゃん」
「そうだね。一緒に頑張って来たけど全然表に出てこれなかったねアシュラちゃん」
私が不穏というか変というか、そんなことを思っているとそれを感じ取ったのか、アシュラちゃんとエキドナちゃんがダバーと涙を流して慰めあっていた。
「あー……その……どうしてかは聞いてもいいか3人共」
早く話を進めようと戸惑いながら八雲が聞いた。
「俺としては群れで来るような奴らの対処が面倒くさいだけだ」
「私は素早い相手が苦手です」
「私は捕食対象だから怖い」
「……ちなみにだが捕食対象とは誰のことだ?」
「そりゃもちろん私のことだよ。だってヘビだからね」
まぁ3人の言い分はわかったかな。エキドナちゃんにかんしては、エキドナちゃんが捕食者だと思うんだけどね。
「言い分はわかった。でもそれを克服、もしくは対処可能に出来るようにするのが今回の予定だ。だから頑張ってくれないか」
「……まぁ八雲が言うならな。やってみるよ」
「私も頑張ります」
「私も」
どうやら3人は納得したようだ。
それからちょっとした下準備の話をしたあと、道具を取りに解散、門の前に集合して、迷宮に向かった。その間はみんなで和気あいあいと話しながらいくと、八雲が話しかけてきた。
「ありがとな美春」
「なによあらたまって」
「いやな、俺のパーティーって喋ることが大体戦闘の事や、今からいく地形の事だとかが多いからさ、こんなに楽しい道中ってなかったから」
「……そっか、よかったね!でもそんなこと言うと後ろにいるそのパーティーの人たちが(神一柱も合わせて)怒っちゃうよ?」
「え?…………ひっ!」
私の言葉に八雲がギギギギッと首を動かすと、後ろには魔力を立ち昇らせる3人と一柱がいた。
「悪かったわねヤクモ。私達といて楽しくなくて」
「そうねヤクモ君。女性相手に言っていいことじゃないわね」
「流石に私も感化できません!」
「私も流せないかな?」
4者4通りの言い分があった。それを聞いた八雲はと言うと、
「ひぎゃぁああああああああああああ!」
話を聞かずに一目さんに逃げ出していた。いつもどおりだな。
『まてやゴラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
そんな八雲もをものすごい勢いで追いかける3人と1柱。ものすごい速さだなぁ。
その後すぐに八雲は捕まってボコボコにされていた。それから顔をパンパンに腫らして誤っていた。
「ごべぇなざあい。ぶがぐはんぜいじます!」
キレイに土下座してようやく許されていた。
「ほら行くわよ八雲。いつまでもメソメソ泣かない。あっ、マリナさんそっち持ってもらっていいですか?」
「わかったわ」
私とマリナさんは八雲の両肩を持って引きずりながら連れて行くことにした。
そんなこんなで等々つきました。
「迷宮到着〜」
『イェーーーーイ!』
「うぅー」
「頑張っていきましょうね!」
『オォーーーーー!』
「ぅおー」
私達と一柱とボコボコにされた奴と一緒に意気揚々と迷宮に突撃した。
順調に回復中
次から迷宮『狼王の領地』です




