美晴の過去話1
すみません遅くなって申し訳ない。
まぁここから話すのは俺視点の過去話だ。
俺と美晴は家が近所の幼なじみだってことは知っているだろう。保育園の頃から知ってはいたが、本格的に知り合いになったのは幼稚園になってからだ。その頃仲良くしていた奴と遊んでいるとなにやら女子が揉めている声が聞こえてきたんだ。
「あっちいってよ!」
「なんでもできるんだからひとりであそんでいればいいじゃん!」
「こっちにきたっていれてあげないもん!」
「…………」
女子数人が一人に騒いでいた。言われている女子は俯いているだけだった。
(あの子ってたしか……)
「ねぇねぇ、あの子ってなんて子だっけ?」
俺は遊んでいた子に聞いた。
「ん?……あぁあの子はみはるちゃんっていうんだよ」
「みはるちゃん」
俺はそう言ってもう一度美晴を見た。見るとまだ揉めているというか、一方的に罵られていた。
「なんであんなにいわれたいるの?きのうまでふつうにあそんでいたじゃん」
「わかんない」
この子は原因を知らないらしい。だから俺は直接聞くことにした。だから遊びを切り上げて美晴と女子数人の間に割って入った。
「な、なによあなた!いきなりきて!」
「…………?」
女子リーダーがなにやら喚いているが俺は気にせず美晴に向き直った。美晴はわからずに首を傾げていた。
「おまえらにようはない。ようはこっち」
そう言って美晴を指差す。
「え?」
「なによ、そのいいかた!」
美晴は戸惑い、女子リーダーは憤慨した。でもそんなものは粗末なことなので無視した。
「ちょっとこっちこい」
「あっ、え…ちょっと!」
俺は美晴の手を掴むとさっきまで遊んでいた部屋に連れていき、マットが敷いているところに座らせた。
「おまえなまえは?」
「え………みはる」
「みはるはどうしてあんなにいわれぱなっしなんだ」
俺はなにも反論しようとしなかった美晴に問いただした。
「なんでって……いつものことだし、だまっていればおわるし」
「それじゃいつまでたってもよわいままだぞ。いいかえせばかてるだろ?…………というかいつまでそのキャラなんだ」
俺はどうして相手にたいして手加減というか、本来の自分で対応しないのかと言った。
「………………気づいてたんだ」
「そんな幼稚な喋りに付き合わされるこっちの身にもなれ」
その時やっといつもの美晴に戻ったなと思った。
この通り俺と美晴は保育園の前からの顔馴染み……幼なじみだ。保育園ではお互い知らないという体裁をしていた訳だ。
「で?どういうわけだ美晴」
「いやー、なんかイジケキャラしすぎたらナメられすぎちゃったよ」
なはははは、と笑う美晴。
「それよりさっきまでやっていた子供喋り、またやってよ。可愛かったし」
「ことわるっ!」
そんな風に話しているとこっちにやって来る人物達に気がついた。さっきの女子リーダーとその取り巻きだった。
「ちょっとあなたたち!なにたのしそうにしゃべっているの!」
「「…………めんどくさ」」
「なんですって!」
というかさっきから思っていたがなんだこのお嬢様風喋りは。
「八雲、この子風じゃなくて本当のお嬢様」
「何をバカな、現代日本にそんなものがあるか」
「かなりのお金持ちってことよ」
俺達が顔を見合わせて小声で話していると、それがムカついた女子リーダーがまたも怒鳴ってきた。
「あなたたち、わたしをどれだけなめくさっていますの!」
とまぁ、そんなことがあり周りと孤立した俺達。でもその方がこちらとしても楽なのでよかったのだが、しばらくしてそれが美晴の父親にバレてしまった。
その日いつも通り美晴を迎えに行くと、
「ごめんね八雲君。今日美晴風邪ひいちゃって、お休みするの」
美晴の母親がドアから顔を半分覗かせて答えてきた。
「……美晴のお母さん、これを美晴に。こちらをお母さんに渡すので後で見てください」
俺はバックに入れていた手紙を渡した。
「これは……ありがとね八雲君」
そう言って俺の頭を撫でてくれる。
「んっ……ではまた」
俺は保育園に歩き出した。
そのまま保育園が終わるまで遊んだ後、もう一度美晴の家に寄った。
「ごめんくださーい……ごめんくださーい……」
何度も声掛けとノックをするも反応がない。しばらく待っても来ないので中庭にバレないように向かった。
そこからリビングを窺うと予想通りの光景が見えた。
「言ったか、脅かせやがって!いつまでもあんな奴とつるんでいるからこうなるんだ!」
「うっ!」
そこには顔を真っ赤にして怒鳴り散らしながら美晴のお母さんを殴り飛ばしている男、美晴のお父さんと、倒れるお母さんとそれに寄り添う美晴、美晴の横に正座している小学生位の女の子、美晴のお姉さんがいた。
「美晴、なぜお父さんを困らせるんだ。なんで家に害のなすことばっかりするんだ!答えろっ!」
「やめっ…おとうさ…ぶっ……げほっ!」
今度は美晴が殴られ、後ろのテーブルの脚にぶつかる。
「おまえもなんか言え!」
「がっ!」
「げぼぉっ!」
お姉さんも殴られ後ろに飛ばされ、倒れるお母さんはお腹を蹴られ吐きながら丸まった。
「はぁ…はぁ…はぁ…ちっ………くそがぁああああああああああああああああああああああああああ!」
俺はすぐさまバックに入れていた爆竹(なんで持っているかは受け付けない)を塀に向けてぶん投げた。
パンっ!!と甲高い音がなった。俺はすぐにその場から離れる。角に身を隠すと同時に俺がいた場所の所にある窓が開いた。
「…………なんだ?」
さっきとうってかわって落ち着いた口調、でも目は射殺さんばかりにギラついている。
「誰か入るのか?入るなら出てこい!」
怒鳴るが当然俺は出るわけがない。
「くそっ、どこかのクソガキか!くそっ!くそっ!くそっ!!」
悪態をつきながら窓を閉めて戻っていく。
でもこれは俺が狙っていた展開だった。美晴やお姉さん、お母さんが出てこなくてよかった。
俺はもう一度さっきいた場所に戻って中の様子を窺う。
どうやら疲れた親父さんは部屋に戻ったようだ。リビングにはボロボロの3人が残っていた。
「大丈夫ですか」
「っ!……八雲君」
「「……八雲?」」
俺は親父さんが開けっぱにしていた窓を静かに開けて中に入った。俺が声をかけると虚ろな眼を3人が向けてくる。俺はすぐに救急箱を取りに行った。
「ちっ、包帯がないか。消毒薬も少ないしバンソーコーも少しだけか」
俺は箱や容器の中身を確認したりしていった。その間も親父さんの足音に注意しながら行動する。
「おばさん、いろいろ買ってきますけど、何か欲しいのありますか?」
「ごめんね?私は大丈夫だから、2人から聞いて」
「2人とも、何かあるか?」
「私は特には」
「私も」
お姉さんも美晴も欲しいものがないらしい。俺はチラリと台所を横に見てから頷いて静かに出ていった。
「急がないとな」
俺は足早に近くのハッ◯ードラッグに向かった。そこで俺でも買える物を買っていった。
「ちっ、重いなぁ」
俺は背中の身長大のリュックを見ながら汗を拭った。
これはなるべく音を立てないように頑張って、このために筋肉もつけていたりする。
「でも早くいかない夜になっちまう」
すでに空は朱らんできていた。俺は美晴の家に急ぐ。
そろそろ着く頃になると、家から車が出ようとしていた。俺は直ぐに路地に身を隠した。なぜなら美晴の家で車を運転出来るのは1人だけだからだ。
「俺が戻って来るまでに身なりはちゃんとしていろよ」
外なので声は抑えているが温度はかなり低かった。そう言うと車で俺の横を通りすぎながら出ていった。俺はバレないように身を低くしていた。そしてスピードを上げながら通りすぎる車。どうやら気付かれずにすんだようだ。
俺は足早に家に向かった。玄関からでなく庭から入る。
「買ってきたよおばさん」
俺は返事を聞く前に手当てを始めた。
美晴の過去について八雲視点での回想でした。
次は美晴視点を書こうかと思うのでよろしくお願いします。




