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戦闘後とお叱りと過去話の手前

遅くなって申し訳ない。

何度も書いておるけど、どうか見捨てないで!

「みなさん大丈夫ですかっ!?」

空を見上げていると聞いたことのある声が聞こえてきたのでそちらを向くと、瓦礫の山を越えようと悪戦苦闘しているサンちゃん王女がいた。

「おうサンちゃん。今終わったとこ~」

俺達は倒れながら手を上げてヒラヒラと振った。そうしているとサンちゃんが瓦礫を越えてこちらに走って来ていた。

「いったいミハル様はどうしたのですか!?どうやったら街が半壊しているんですか!?どうして最強種のイノゼクトがやって来ているんですか!!?!!」

息継ぎせず一気に言ったサンちゃんに俺達は拍手を返した。でもそれだと味気ないのでボケでもしようかと口を開きかけたときそれが見えた。

「あぁ?ちっ、“光壁”」

「“風壁”」

「“炎壁”“土壁”」

俺が荒太を、荒太が美晴を、美晴か俺とサンちゃんにそれぞれすぐに展開可能な魔法を展開した。

そこにサンちゃんに付き添ってきていた騎士の握る剣が振り下ろされた。

「なっ!」

「くそっ!」

「確実に殺せ!」

隊長らしき騎士に指示され何度も剣を振り下ろす騎士達。でも剣が通るわけもなく何度も弾かれる。

「へ?はえ?何で私殺されそうになっているんですか?しかも騎士のみなさんに」

いまだに状況が読み込めないサンちゃん。ちょっとマヌケののようだ。

「元々殺す計画があったって訳だよサンちゃん」

「…………」

この騎士達の迅速すぎる動き。どこかの貴族が美晴を消すように計画を練っていたか、この気にやってしまおうと考えたどこかのバカが突発的に起こしたかだ。

「なんかこのメンツを見ると後者っぽいがな。まぁ、なんとかするか」

「そうだな。今の状態じゃ無理だが」

「もうちょい回復するまで待ちましょ。コイツらならそれくらい持つでしょ?」

俺達はそんな話をしながらも攻撃が防いでいた。そんな俺達の様子を見ていた騎士隊長が喚き出した。

「なぜだ!?なぜ我々の攻撃が!初級魔法なんぞに防がれるのだ!!」

「た、隊長。これ以上は……」

「なんだ!私に意見するつもりか!そんな暇があるなら手を動かせ、この役立たつが!」

「ぐっ!」

頭に血が昇りすぎている隊長が意見しようとした部下を思いっきり殴り飛ばした。これで他の騎士達もなにも言うことが出来ず剣をまた振りだしたが、さっきより力が乗っていない。顔にも諦めがこびりついていた。元気なのは隊長だけ。

でもそれも長く続かなかった。なぜなら、

「「「よいしょっと」」」

俺達の回復が終わったからだ。ある程度だけどな。そこから制圧には1分もかからなかった。

「はぁ何でこんな奴等に怒ったのかワケわかんなくなってきた」

美晴が大きなため息をつく。

「それは俺も聞きたい。何で怒ったんだ?説明されずに遠ざけられていたんだが」

荒太が疑問を聞いてきた。

「そうだな、それは俺が……」

「ちょっと待って貰えますか!」

俺が話そうとしたとき隣からサンちゃんが口を挟んできた。

「「「どうした(の)サンちゃん?」」」

「お話は全部ここから少し行った場所にある叔父様の自宅に向かいましょう」

「サンちゃん?少し行った場合って…………」

「周りに何もないんだけど?」

美晴と荒太がもっともな質問を言う。だってここから少しの場所にというか、俺達の周りには瓦礫しか見えないからだ。

「それはそうでしょ?ここから少しとは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「「「………………」」」

サンちゃんが笑顔を向けて話してくる。でも笑顔は口が笑っているが目が笑っておらず、薄く開けられた瞼から覗く瞳には俺達に冷や汗を流させ黙らせるくらいの圧力があった。

「では場所はわからないでしょ?私に着いてきてください」

「いや、私わか」

「りょーかいサンちゃん!」

「イヤー、俺達わからないからどうしようか迷っていたんだ!ありがと!」

美晴になにも言わせないように俺と荒太が美晴の口を手で押さえると、ちょっと冷や汗を流しながらサンちゃんに着いていくことにした。そして少しサンちゃんから離れながら、

「いいか美晴!今のサンちゃんに歯向かうことやそれっぽいことするなよ!」

「そうだぞ!あれがみえないなのか?あの背中から沸き出す暗黒のオーラと鬼の形相が!」

小声で捲し立てるように言った。

「いやいや、見えるからこそ話しかけた方が……」

「「このおバカが!!」」

バカなことを口にした美晴の頭を俺と荒太が殴った。小声とはいえ、そんな騒ぎをしているのにサンちゃんはこちらを見ようとしない。

「ぐっ……胃が痛い」

「大丈夫か八雲!」

いろいろなことが頭をよぎり、さらにこれから起きるであろうもろもろで胃がキリキリいいだした。荒太が心配してくれる。

「お三方?」

「「「っ!!?」」」

前を歩いていたサンちゃんがいきなり止まってこちらに声をかけてきた。

それにビクッと驚く俺達。油が切れた機械のようにギチギチとした動きで首だけ振り向くサンちゃん。振り向いた顔は笑っているがものすんごい作り物感が漂ってくる。正直怖すぎて顔を背けたい。

「な、なんでもないよサンちゃん!美晴に肩を貸しているから遅くなっているだけなんだ!」

「そうそう!心配しなくてもどこにもいきやしないからさ!」

「むぐっ、むぐむぐぐ、むぐぐむぐむぐ!」

俺が弁明して荒太と口を押さえられたままの美晴が追従する。

「…………なら早くしてください」

ため息をつきながらまた前を向いて歩き出した。

それを見て俺達は安堵の息を吐く。そのあとまた見られないようにささっと歩き出した。会話はするが。

「どうするんだ八雲!俺このまま着いていっても嫌な予感しかしないんだが!」

「言うな荒太!俺だってそう思っている。だが今回起こした事が事だ、何かしらの罰は受けなきゃならない」

「それなら全部元凶のこいつに任せられないのか!」

そう言って荒太は美晴を見る。

「確かにそうなんだが、ほら見ろ。こいつにそんなこと出来ると思うか?」

横を見ると、そこにはヨダレを垂らして背負われている美晴がいた。寝ているため当然引きずられている。俺達の今の状態だと負担がめっちゃある。

「「無理だな、はぁー…………おっくうだな~」」

俺達は晴れ渡る青空を見上げた。

「それで?どういうことなのか説明していただきましょうか?」

正座して座る俺達の前に脚を組んで座って笑っているサンちゃんがいる。俺達は俯き、暗い顔で汗がダラダラ出ている。あの陽気な美晴ですらだ!それだけ怖い圧があるわけなのだ。

「荒太様」

「すみません。俺には何がなにやらわからないです。隣の二人がいきなりバトり出したので理由はこちらに。あの魔物については後悔ないです」

早口に捲し立てる荒太。早く視線を外して欲しいのだろう。

「美晴さ…」

「八雲に聞いてください」

「…………」

サンちゃんを遮って言う美晴。こんなことにスキルを使いやがって、悪どいやつだ。

そう思いながら横目にジト目を送る。

「では八雲様!諸々お願い出来ますか?」

「…………はい」

めっちゃ笑顔のサンちゃん。でも薄く開けられた瞳から深い闇が見ているが如くの黒目が見える。だから二人ともあんなに早口だったのか。俺は心の中で二人に謝った。

「まずどこから言えばいい?」

「まずは城での経緯(いきさつ)を」

「そうだな、まずいつも通り美晴が陰口が耳に届いてきたわけだ。まぁいつまのように俺達にたいしての悪口だったんだが」

「ちょ、ちょちょちょっと待ってください?」

サンちゃんが戸惑ったように聞いてきた。

「陰口?悪口?って誰が誰にですの?」

どうやらそこかららしい。

「えっとね、王城にいるメイド、文官、騎士、貴族が言っているんだよ」

「……あのバカども!何を考えているのそんなことをお三方に聞こえるように言うなんて!」

俺達に対しての怒りとは別の怒りをかもしだすサンちゃん。

「サンちゃんサンちゃん」

「何でしょうか美晴様」

「さっき言った人達ね、私達には聞こえないだろう小声で言っているからね?陰口って言ったでしょ」

「え?でもさっき言っていたと。聞いていたのでは?」

「そっ、私達には聞こえちゃうの、どれだけ小声でもね。だからあまり攻めないで上げてね?」

「…………本来なら聞こえないとしても、噂は立ちます。そこから聞かれてしまっては我が国は終わってしまいます。だから美晴様が庇ってもなりません」

サンちゃんは毅然(きぜん)と言った。多分だがそれが王族としての責務、いろいろ大変なのだろう。

「うーん……そっか、なら後はそっちが決めてね。私はもうなにも言わないや」

美晴もいろいろ納得したのか引いた。

「ありがとございます。それでは話を戻して、悪口のところでしたね」

「そうだね。まぁ、俺達は日常的に言われていたんだけど、今回聞こえてきたのに美晴が怒った」

「正確には怒るように洗脳された。体と頭は激怒したように動くけど、心はどうでもいいって思っている」

荒太の言葉を俺が知っている情報で訂正した。

「「洗脳って?」」

サンちゃんと荒太が聞いてくる。俺は美晴に視線を向けると、元々こっちを見ていたのか視線があうと頷いてきた。

「えっとな、荒太には話していたと思うが美晴はかなり……いや異常なほど多才だ。勉強しかり運動しかりな」

「あぁ、わかるがそれは努力の結果なんじゃ」

「確かに努力の結果だ。でもそれは正しい努力じゃない。支配によって起こったものだ」

「だからそれがわからないのです。あの美晴様が洗脳され、支配されていたなどと」

サンちゃんが心配と困惑が混じった顔を向けてくる。

「美晴の家がただそうだったってだけだ。どこの家庭もそこの世界がある。美晴の父親がその世界で独裁者だった、それに誰も逆らえなかった。というわけさ」

そう俺が話している間も美晴は俯いたままだが、若干震えているように見える。あの頃を思い出しているのだろうか。

だから軽く肩をポンポン叩いた。そうしたら美晴がこっちを見てきたので、

「大丈夫だ、大丈夫だから。ここにあいつはやってこないんだ」

「………う……ん……そう………だよね」

「……もっと詳しくお願い出来るか?」

荒太がためらいがちに聞き、隣のサンちゃんも頷く。

俺は隣の美晴を見る。美晴もこっちを見ていたので、その視線に頷く。

「わかった。話すが……」

「「が?」」

「次で話す」

その言葉に俺以外がずっこけた。


美晴の過去が明らかに!

久しぶりにシェルナとマリナが出るかな?

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