VS美晴 中編
遅くなりました
申し訳ない
俺は飛んでくる美晴を待ち構えていると美晴から小さな呟きが聞こえた。
「“血流操作”」
「っ!“金ご”…ぐぼぉっ!」
防御スキルを発動する前に俄然に迫った美晴の右ストレートを顔面にまともに受けて、そのまま100メートル程壁を突き破りながら飛ばされた。
「がっ……ごぼっ……ぐぅ」
瓦礫に埋もれながら俺は癒魔法で傷を治した。
「くそ……よくやるなそんなこと。体壊れるだろう」
俺はそこにいるであろう親友に語り掛けた。
「そうね、でも八雲ならいいと思ったから」
それに当たり前のように返す美晴だったが、右腕が手から肘にかけて血管が破裂、血だらけになっていた。
「待ってるから治せ」
「ありがと……癒しをここに“聖療”」
美晴の腕が淡い緑色に包まれると、消えたら傷もまた消えていた。
「これでオッケー…ひひっ……“血流操作”」
「“瞬絶”“剛脚”!」
美晴はもう一度同じスキルを、俺は思考加速スキルと脚撃強化スキルの多重発動した。
美晴は今度は一撃ではなく手数の多さで勝負してきた。
拳のマシンガンを避けて、流し受ける。それを繰り返しながら合間に反撃をする。俺はそれを行った。
「くそ押しきられる」
だんだんと俺は美晴の拳を裁ききれなくなりかけていた。
「仕方ないか……“血流操作”」
俺は美晴が使ったスキル……水魔法の“血流操作”で血の巡りを速くした。
そこからはなんなく裁き、掴み取った。そのままジャンプして美晴の腹を蹴っ飛ばした。すごい勢いで壁を突き破っていく美晴。何度かの破壊音のあと止まったようだ。俺はゆっくりあるいていった。
「つっ……かなりいいの貰いまくったな。体中がいてぇいてぇ」
癒魔法で治しながら進むと、何個めかの壁の部屋に大の字で横たわる美晴がいた。
「よぉ、無事か?」
「減らず口を。やったの八雲でしょ?」
「ちょっと不味かったからな。それにこっち側には俺の……相棒があるからな、来る必要があったんだ。こい『死神の大鎌』」
呼ぶとどこからか、ヒュンヒュンと音がなり、次第に近づいて来て天井を破壊して俺の手に納まった。
「なら私も抜くよ……擬似神器作成『九頭竜』」
美晴が手を前に突き出し手のひらを向かい合わせると、その間に超多重の魔方陣が形成され目まぐるしく動き一振りの長剣を作った。
鍔がなく、持ち手には軽微な装飾しかされていなかった。なので必然的に眼は刀身に向かう。美晴の身長程の長さがある刀身、その刀身には9つの色の宝珠が埋め込まれていた。
「お前も擬似神器かよ。しかもなんだその妙に厨ニ心を掻き立てるデザインは」
「後で説明するね。八雲が生きていたらだけど!」
「っのやろぉっ!」
ガギッィィィンッ!!と衝突音と共に大鎌と長剣が激突した。その衝撃で地面には巨大なクレーターが出来上がった。
「うおっと!……“雷鳥”」
しばらく鍔迫り合いをしていたが俺が大きく後方に飛び魔法を放った。雷の鳥が美晴に殺到するが、長剣を前面に構えると、宝珠の1つ、黄色の宝珠が輝き雷鳥を消した。
「無効された!?……いや、あれは拡散されたように見えたが。考える前に試すか……“使徒権限”“炎蛇”“水犬”!」
「“使徒権限”!…消え去れ!」
俺は使徒権限の強化状態で魔法を打ったが、美晴もすぐさま同じく使徒権限を使い、また長剣の宝珠、今回は2つ輝かせて魔法を消した。
「防御が得意な剣だなっ!」
俺は魔法が消される前に飛び上がり回転しながら斬りつけた。美晴は元々防御姿勢だったのでそのまま受け止めたが、勢いがありすぎて後退させられた。
「八雲っ!やってくれるわね。剣よ、周囲に漂う残魔を吸収し変換せよ“残刃”!」
美晴は俺の魔法の残魔を吸収して三属性の魔刃を刀身から飛ばした。
「ちっ!刃に纏え“光纏”!……おぉぉぉらぁああああああああっ!!」
迫る魔刃に光魔法を纏った大鎌で受け止めた切り裂いた。
「魔刃スキルの三属性乗せかよ!大盤振る舞いだなぁ、おい!」
「うらぁああああああああああ!!」
切り裂いた直後飛び上がっていた美晴が長剣を振り下ろしてきた。俺はそれを石突で受けると、大鎌を斜めにして滑らせながら刃の付け根で引っ掻けて飛ばそうとした。
だが美晴はそれを察して、空中で回転、遠心力で長剣を引くと今度は横薙ぎに斬りつけた。俺はそれを膝を曲げ、上半身を反らして避けながら、通過した腕に脚を絡めて、逆上がりの要領で上体を起こすとさらに脚で組み伏せようとした。
でも美晴は逆に組み伏せようと長剣を手放し片腕で脚を固定、片腕で俺の喉元に腕を巻きうつ伏せに組み伏せようとした。だからすぐに風魔法で体をぶっ飛ばして距離を取った。そのおかけで、2人共至近距離で暴風を食らい傷だらけになった。
「やってくれるわね八雲!そんな無茶なことして、痛くないの?」
「その言葉そのままそっくり返すぜ!いきなり組みに来やがって、腕折るつもりだったろ!」
そうなのだ、あのまま組んでいたら確実に美晴の腕は片方、最悪両方折れていたのだ。だから俺は危険度外視で距離を取ったのだ。
「あっちの世界ならまだしも、こっちの世界ならすぐに治る。だから大丈夫」
「それでもだっ、ボケッ!」
俺はフェイントも無しに美晴に殴りかかった。美晴はそれをノールックで握って受け止める。
「お前女だろ!…少しは体大事にしろ!何度言わせるんだ!このボケナスッ!」
「……うっさい!」
美晴は俺の拳を捻ると顔面に掌打をぶちかました。
「ぶべぇっ!……っのやろう。くたばれっ!」
仰向けに倒れる体が直角になったところで固定、後は腹筋で勢いよく上体を起こすと頭突きした。
「てめぇこそくたばれ八雲!」
美晴もタイミングを合わせて頭突きをかましてきた。
ゴツンッ!と重々しい音が響く。両者額から血を流す。
「ってぇな……ぬぅおっ!」
「仕切り直すからあっち行って」
またも美晴に無造作に投げられ大通りに落ちていく俺。軽業師のように着地すると回りを見渡した。当然のごとく遠巻きに人だかりがある。どうやら今日も今日とていつもの喧嘩だと思っているようだが、今回に限っては違うため悩まされる。今から避難は難しい。
「仕方ない、ここは一発ハデにいくか」
癒魔法で傷を即座に治すと、腰を落として半身で構えた。
俺のいつもと違う雰囲気に辺りがどよめく。勘のいい奴と、常連見物人は異変に気がついたようだ。そんなタイミングで美晴が現れた。
「はぁああああああああああ!」
空中で一回転しながら落下してきた美晴は、遠心力の乗った長剣を振り下ろしてきた。
俺は即座に大鎌を呼び寄せると真っ正面から受けた。ガギッィィィンッ!と音と共に衝撃が地面に伝わり足元が陥没、周囲にヒビが広範囲に広がる。
「ぐぅおおおおおおおおお!」
「ぐぅううううううううう!」
拮抗する俺と美晴。しばらくそのままの後に、美晴が鍔迫り合いの長剣を固定して空中でまた回転、俺の背後に回り込んだ。俺はそれを見ないで前方にダッシュ、置き土産として拳大の超高温の炎の玉と、それより大きい水の玉を浮かせて、ゆっくり近づいていく仕様にしていた、美晴が着地と同時に触れあうとように。
スタッ……ダッ!
ジュッ……ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンンンッッ!!
そして美晴着地と同時に触れあう2つの玉。美晴も見向きもせず限界強化した体で駆け出した。美晴が数十メートル離れたとき膨大な水蒸気が発生、水蒸気爆発(いわゆる水爆)が起こり城下の半分を破壊…………するはずだった。
「なにしてんのっ!?八雲!」
「ちょっとした実験だ」
俺が多重に多重を重ね掛けして円柱の結界で爆発を包んだのだ。結界がかなり破壊されたが何とか押さえ込み、蒸気が天高く登っていく。俺はそれを結界が収束させてルービックキューブの形にした。
「さぁ美晴、最終ラウンドだ」
俺達の戦いの終盤が見えてきた。
次回も遅くなるやもしれん
だが見捨てないでね
よろしくお願い!




