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美晴の堪忍袋の緒はいつも突然切れる

遅くなって申し訳ない

しかも少ないのでご了承を

そんなこんなで俺達は『ゴーレム迷宮』を踏破したあと他の迷宮に毎日潜り、毎回極小確率の強力ボスを引き当てて倒していった。

それでも毎日続けるとさすがに疲労が溜まる。なので今日から3日は休日にすることにした。なのでキラリスの城下を3人で歩いていた。

「あそこ焼き鳥が美味しくて、あっちはたまごが美味しいの!そんでそんで……」

「おい美晴。さっきから食べ物ばっかりじゃねえか。他にないのか他に」

「すまない八雲。俺も食べ物しか紹介出来るのがないんだ」

「荒太でもっ!?いったいどうなってんだよこの国は!」

俺の叫びに苦笑する美晴と荒太。

「実はな、この国娯楽がないんだ」

「娯楽がない?どういう事だ」

「実は……」

荒太が言うには、飲食店や屋台、武具屋や雑貨屋は許可されているものの、娯楽すなわち合法の賭け事や占い、イベント等は禁止との事。どうやら昔からの決まり事らしい。

「また決まり事かよ。もう鎖のガンジ絡めより酷い、簀巻(すま)き状態みたいな感じだな。それで住民は納得しているのか?」

「そこはほら、洗脳並の幼少からの刷り込みで大丈夫みたいよ」

「俺達みたいな外からの出身者が例外。だから旅人や商売人は居座らない、永住したくない、立ち去りたいと思わせてるわけ」

「パネェな」

俺はあきれや驚きを越えた畏怖(いふ)尊敬(そんけい)が滲み出していた。

なぜなら普通はどれだけ宗教をやって加入者が多岐に渡っても、加入しない人だっている。だけどこの国はそんな人がいない。でもいないとしても不平不満もある、でもそれすら感じられない。そんなこと100年200年で出来るわけがない。とても途方もない年月と信仰心がそれを可能にしたんだろう。

そんなことを思っていだが、俺は当初の目的観光案内をできる限りやれと2人にいった。

「とりあえずお前らがオススメする店に連れてけ」

「おう」

「なら最初は私から。!近くだから早くいくよ」

せかす美晴に手をひっばられながら俺と荒太はついていった。

それからも俺達は買っては食い、買っては食うを繰り返していった。そうしていたら半日が過ぎていた。すでに回るところは終わって、お腹もいっぱいだったので休憩していた。

「あぁ食った食った。さすが娯楽なくしていただけの事はある。普通の定食でもかなりうまい」

「だろ?あそこのお店はお気に入りでもあるんだ」

「確かにわかる。美晴の屋台巡りは以外と楽しかった。特に焼き鳥か旨かった」

「ありがと。あそこの屋台群(やたいぐん)かなりオススメ。小腹すいた時とか」

そんな風に雑談に花を咲かせていると3時の鐘がなった。この世界は鐘で時間を決めているのだ。

「もう3時か。そろそろ王城に戻るとするか」

「そうだな」

「…………うんそうだね」

俺がそう言うと2人は了承してくれたが、美晴は浮かない声で返してきた。それは最近の王城での出来事が関係している。

そんな風に落ち込んだ美晴を連れて王城に戻ってきた俺達。顔パスで入り廊下を歩いていると奥から官僚が2名歩いてきた。

「…………厄災勇者が」

「……迷惑勇者だろ」

する違い様に小声だ聞こえるか聞こえないかの音量で言われた。俺達にはガッツリ聞こえるが。でもこんなことにいちいち怒るわけにもいかずスルーした。なぜなら、

「……見てあの子、また両脇に男をはべらして」

「……あれで歴代最高の勇者なのよ?世も末ね」

「……しっ、聞こえるわ。いきましょ」

曲がり角の所にたむろしているメイド達が、

「……ちっ。また迷宮、迷宮迷宮迷宮迷宮。申請書出すこっちの身にもなれっての」

「……しかも毎日毎日いって、全部別の場所だからな」

「……あぁ別の場所だと申請書を再発行しないといけないからめんどくさいのにな」

すれ違う官僚達が、

「ちっ、あいつ戻ってきたのか」

「また明日から訓練だとよ」

「庭がまた荒れるな」

庭師達が、こっちを睨み付ける目線があちこちから刺さる。このところ俺達……とも言えなくもないが主な原因が俺が来たことだ。俺が来たというよりは美晴のストッパーが現れたことで王城の勤務の者達の溜まった鬱憤(うっぷん)が決壊したのだ。それが現在の聞こえる陰口だ。

「あいつらも聞こえるから言ってるんだろうけど、あからまさすぎるだろ」

「だな。でもあいつらもそれが分かっていて、しかもなにも言い返さないからいってんだろ?」

俺と荒太は苛立ちを押さえながら呟いた。

「そう言わないでよ2人共。全部私が悪いんだから仕方ないよ」

美晴は自嘲気味に呟いた。

「私はこれくらい元の世界でも言われてたし慣れてる。それにまだ()()()()()()()()()()()()()()

「あの事?」

「…………」

美晴の言葉に荒太が疑問を覚え、俺は少し俯いた。

「荒太、いつか話す。それまでその疑問は取っておいてくれ」

「?あ、あぁわかった」

荒太は疑問を抱えながらも了承してくれて美晴ははにかんだ笑顔を向けた。

でもその時俺は考えるべきだった。その時懸念したことがどうしてまだ来ないと思ったのか。彼らの鬱憤がなぜ()()()()()()にすぐに向かないと思ったのか。俺は後になって後悔した。

それから少したったある日、俺達は迷宮攻略をしたのちに王城に戻ってきた。廊下を歩いているといつものように陰口が聞こえてきたのだが今回聞こえてきたのは美晴が聞いてはいけないものだった。

「またあんなに泥だらけで汚い」

「本当に野蛮ですね、淑女としての嗜みはないのですかね」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

美晴の家族を悪くいった……いってしまったのだ。

不意に美晴が脚を止めた俯いた。俺はすぐさま()()()()に移るが、訳がわかっていない荒太は困惑気味に首をかしげた。

そんななか美晴がおもむろに口を開いた。

「ちょっとこの国消すわ」

それは軽い口調だったが覆すことが極めて困難な死刑宣告だった。



次回、美晴キレる。八雲抑える。荒太慌てる。

こうご期待

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