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再会は突然に

遅くなったぜぇ~

ごめんだぜぇ~

目を開けると白く輝く天井が映り込んできた。そしてまず始めに一言。

「ここどこ?……私はだ~れ?」

最後は冗談だが、ここが見覚えのない場所なのは本当だ。一体どこなのか眼だけを動かして周囲を確認していると、奥の壁にある扉が勢いよく開け放れた。そこにはとても見覚えのある幼なじみが満面の笑みで立っていた。

「起きてんだろ八雲ーー!」

「ぶべぇ!」

中に入った美晴は俺にジャンプしてきた。俺は避ける暇もなく飛び膝蹴りを腹に無防備な状態でめり込ませた。

「み……はる……てめぇなに……してぐれぇっ!」

「八雲八雲!やっと起きたわね、遅い遅い!今まで何してたのかさっさと教えなさい!さぁさぁ早く早く!」

「ちょ……おま……そのまえに………おり…ろっ……ぐえっ」

ベッドに横になっている俺の腹の上で飛び跳ねるので今にも吐きそうになる。もう顔が青白くなりだしたころに救室者達が現れてくれた。

「そのくらいにしてやれ美晴。八雲がヤバいことになりだしてるぞ」

「あの~ミハル様、もうお許しを、ヤクモ君が限界なので」

扉から顔だけを見せて荒太とマリナが言った。

「うん?……2人がそう言うなら仕方ない、後日訓練や諸々でぶちのめせばいいか。よかったね八雲、許しもらって」

「うっぷ……ぁざっす……おぷっ……」

俺は吐き気を堪えて久々に見る親友2人を見て、

「…………頑張ったな荒太」

「っ!ありがとう八雲。……頑張った、頑張ったんだ俺」

労いの言葉に荒太がうつむき、声を滲ませながら頷いた。

「えっ?私なんか迷惑なことしてた?」

そしてなにもわかっていないで天然で訪ねてくるバカ。

久々に揃ったトリオに自然と口が緩む。そんな俺達に気を効かせたのかマリナ達は退出してくれたので近況報告をすることになった。

「とりあえずそっちの立場を教えてくれ」

「りょーかい」

「まかせろ」

それから俺は勇者達、美晴達の現在の状況を教えてもらった。

「いやーそれで大変だったのよ?2週間の訓練が終わるやいなやオタク組はすたこらと樹の国行っちゃうし、他のみんなも他の国々に引き向かれるし、というか誰もここに残ってくれないし、私達は残っているとなんか知らないけど王様達が他の王様に怒られるし、マジ意味わかんなかったんだから!」

簡潔に纏めるとこんな感じのようだ、でも美晴と荒太以外残ってあげなかったって、それは悲しすぎやしないかい?

「そうなんだけどな、ちょっとこの国いろいろ厳しいところがあるわけなんだよ八雲」

「どういうことだよ荒太」

「いや実はな……」

それから俺は荒太からこの国に()()()()()を聞いた。

曰く、光の女神を絶対に信仰しろ

曰く、他の女神の加護があった場合罰を与える

曰く、光の女神の加護がなければ入国不可能

等々めんどくさい制限があったらいしのだが、召喚されたクラスメイトの大半は光の女神の加護を持っていなくて、2週間経過しても手に入らなかった者が多かったようだ。

そのせいで街に出て買い物をしてもぞんざいに扱われ、王城でも陰口のオンパレード、そんなことされては出ていくのは当たり前なのだが、加護があってもめんどくさかったらしい。

「加護があると、なぜだかわからないけどマナーや礼儀作法をみっちり教わるわけ、そのせいで訓練がはかどらないはかどらない、嫌気がさしてバックレる奴等が続出したのよ」

どうやらこの国は、加護があるならこの国に留まり貴族になるのだから今のうちに貴族としての振る舞いを覚えろ!と行った感じのようだ。そりゃ嫌われる。

「ていうことはお前ら残ってんだから貴族なのか?」

「そうゆうわけなのよ~」

「実際かなりダルいんだわ。そんなストレスがあったせいなのか美晴がやらかしてな」

「………………何があった」

俺は長い沈黙の後恐る恐る聞いた。そして帰ってきたのが美晴との大乱闘とのことだ。どうやら礼儀作法とかによる鬱憤(うっぷん)を荒太を使って消費していたようだ。

「まいったよ、さすがに手加減されていたと思うけど何度死にかけたか」

荒太がそう言うと美晴が違うよといってきた。

「何が違うんだ美晴?」

「だって私手加減なんてしてないもん」

「「は?」」

なにやら不穏なことを言い出した。

「あのときはすんごいムシャクシャしてたからそんな余裕考えてなかったと思う。だから今も荒太が生きていることがすごいと思う」

「…………よく死ななかったな荒太」

「よく生きれたな俺」

どうやら紙一重だったみたいだ。良かったー、親友が親友を殺していなくて。

「……で、癇癪(かんしゃく)の被害が街の傷痕って訳なのか?」

「あぁ、あれでも直ったほうだよ。まえまでクレーターが乱立してたからな」

どうやら美晴の攻撃を交わしていると壁や道路に、クレーターを数えきれないほど作っていったようだ。それも先週から直し始め、クレーターは全部修復、来るときにみた傷痕は直しきれていないものだったらしい。

「こっちはある程度近況報告したから、次は八雲の分を聞かせてもらおうかっ!」

肩に手を当てて眼を輝かせながら聞いてくる美晴。そんな光景に溜息をつきつつそれでも聞きたそうな荒太。そんな2人に俺はこれまでのことを話し出した。

異世界転移直後に真っ暗闇だったこと、死にかけたこと、シェルナとのこと、次にこの世界にきた後街に向かいその後にマリナに出会い、それからいろいろ騒動があり、スタンピードが発生してベヒモス討伐に向かって、ギリギリで勝てたことを話す。

そこまで話すと興奮した美晴が乗り出してきた。

「ちょちょちょっと待ってよね!なんつう修羅場(しゅらば)くぐり抜けているのよ!ちょっと死にかけたことあるとかどゆこと!やっぱり普通の旅してないジャーン!」

「ちょ、止めろ。はくぞ!そんなに揺らす……うぷっ……」

「ハイハイ美晴、一旦ストップ。八雲がお前に嘔吐(おうと)するぞ」

美晴が体を強化して俺の肩を揺らすので胃液が込み上げてきた。だがギリギリのところで荒太が止めてくれたので惨事は防げた。

「うぷっ……うぅー……そんで続き話すがいいか?」

それに2人が頷くと俺は話を再開した。

ベヒモス討伐後、次の街に行くとき勇者に遭遇しかけたと話すと、

「そいつらってオタク組か?」

と荒太が聞いてきたので、そうだぞと言った。

「この国にいたときそっち側にいくと言っていたのを聞いたからもしかしたらと思ったが………あぁすまん。続き話してくれ」

なんとかギルマスのおかげで気づかれずになんとかなって街に向かえたこと、街についてオークションに参加してアシュラを買ったこと、それが原因で大迷宮に追いやられたこと、そのまま攻略していってエキドナにあい仲間にしてこと、最終階層でボスの帝霊亀と死闘を繰り広げたことを話した。

「そんでなぜか勇者達の近くに転移させられてなんとか誤魔化して街を抜けて、道中いろいろあったけどなんとかこの国に到着と行った感じかな?」

「ほへぇ~いろいろ苦労したね八雲。私らも頑張ってたけど倍くらい違ったかな?」

「確かに、俺らはまだ味方が多々いた方だからな」

「いやいやそれでもそっちの方がば……大変なことしてるんだからお互い様ってことで」

「「おい今バカなことっていいかけなかったか?」」

「さぁ知らんな……ってあぶねっ!いきなり飛びかかってくるなや!そしてなんで拳を握りしめてんだ?」

「いやーちょっと不快なことを言いかけられたから」

「こいつと同列に言われかけたから」

美晴と荒太が片方をを握りしめて片方をワキワキしながらこちらににじみ寄ってきた。

「いいぜ、久々にやってやらぁあっ!」

「「上等じゃオラァアアアアアアアッ!」」

俺達は三つ巴の取っ組み合いをそれから始めた。それは激化して城下にまたたくさんの傷痕を作っていくが、そんな3人の顔はとても晴れやかで、楽しそうに笑っていた。

そして八雲はあることを、美晴と荒太は同じ事を相手に心の中で投げ掛けていた。つまり、

ただいま

と、

おかえり

を言っていた。これでようやく3人の異世界転移後のことが始まりを告げたのだった。

次回もどうかよろしく

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