大迷宮での戦い
大迷宮攻略開始!
「ハァアアアアアアアアッ!」
「ぐぅおおおおののッ!」
マリナは魔剣を抜き、気合いのはいった連撃を相手にして魔物に叩きつけた。それを受け、魔物―――マリナに変身した人型は変な叫び声をあげながら一方的に斬られていった。
「何か変な構図だな、マリナとマリナが戦って、片方がすんごい弱いって…………はっ!本物はどっちだ!? 」
「…………あのヤクモ様、それはちょっとひどいというか危ないというか」
「やめときなさいアシュラ、このバカは何度やっても懲りずにやり続けるから、もっともっとひどいめにあってしまえばいいのよ!」
「そうですね、それにもう手遅れですし」
俺は茶化すのに気付かなかったのだが、あとで聞いたところ、マリナの眼光がこちらを捉えていたそうだ…………あのとき、早くにいっておいてくれればよかったのだ。
「それにしてもあの魔物、真似るだけでなんも強くないんだな」
今マリナが戦っている人型なのだが、資料によるとコピーしたやつを可能な限りコピーするらしいのだが、可能な限りやっても一方的である。
「そりゃそうよ、あぁ見えてマリナは元Aランク、Bランクの人型何かに負けないわよ。ついでにコピーの限界も合わさっているから」
「シャッ!」
ズバッ!
とマリナの雄叫び後、人型の首が切断された。駆け足で近づいていくと、マリナは俺を睨んでいた。なんで?
「好き勝手言ってくれたわね」
「………………さ、さぁなんのことやら」
「ちょっとこっちき……待てや!ゴラァアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「なんで聞こえてんだあああああああ!のぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そこから俺とマリナのおいかけっこが始まった。
「なにやってんよあの2人は、ねぇアシュラ」
「はは、私はなんとも、でも上下関係があるのにあんなに楽しそうなのは初めて見ました」
「ふーん…………まっ、私達が常識知らないからだと思うけど、……いい関係だと思うわ」
シェルナが、身体強化と魔法による弾幕を放ち出した俺と、同じく身体強化及び魔剣での魔法迎撃をしだしたバカ2人によるおいかけっこを微笑ましそうに見ていた。
「おぉおおおおおおお!くんじゃねぇえええええええええええええええ!!」
「一発殴らせやぁああああ!チェストぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ふんぎゃああああああああああああああああっっっ!!!」
とうとう弾幕を突破された俺は、魔剣を力強く握り締めたままの右手ストレートを顔の中心を貰った。
さらにマリナは振り抜くとき、肘に風魔法のブースト、身体強化の右手一点集中、離れ間際の爆破魔法の設置、かけれるだけのデハフ効果を土産として与えた。するとどうなるか、
カチ……カチ……カチ……チーン、ちゅどぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっっっ!!
「ヤ……ヤクモーー!!」
「…………」
「ふっ、ふはははははははっ!ざまぁ見なさい!私をバカにした罰よ!」
「……………………お、おぼえてやがれ」
俺は大の字にうつ伏せで、体中黒く煤けて、クレーターの中心に倒れていた。負け犬の遠吠えを加えて。
「さぁシェルナっち、アシュラっち、こんなやつほっといて先に進みましょ!」
「いままで付き合ってきたなかで、かつてないほどの笑顔ね」
「私もこんな清々しい笑顔、初めて見ました」
声から察するに、シェルナとアシュラがマリナの特大の笑顔にドン引きしているようだ。ざまぁ!
「“設置型爆裂地雷”」
なにやらマリナがボソッと呟いた。俺が倒れている地面に魔法陣が浮かんで消えた。…………どしよ?
「「…………」」
「どうやらヤクモ君、動けないみたいだから、先に行っているわね?動けるようになったらついてきて」
…………もう何にも言えねぇよ!こいつなんだ、なんなんだこいつ!ここまでするか普通!
「あぁー、ヤクモ?多分2時間くらいかけたら消せると思うから、頑張って」
「すみません主様、私にはどうすることも出来ません」
頬を掻きながら苦笑するシェルナ、本当に申し訳なさそうにしているアシュラ、ありがと。なんとか心が救われたよ。だが、
「ここまでやられてなにもしないですむか!“転送”」
「あははははっ!、バカね!私が転移魔法対策をしないと思う?当選する、ヤクモ君が転送仕掛けた時点で高速爆破するようにしてあるわ」
俺はその説明を聞いて驚くより、笑った。予想通りと。
「?何がおかしいのよ?ボロボロ君、大丈夫?」
「ふっふっふー、そんなことわかりきっているし、それ込みの転移………だからな!」
ヤクモの半径5メートルを中心から横に広がり、縦には10メートル進み、そして、俺は一気に転移した、マリナの上空に、出現した。あとは落下するか、当たるかだな。
「きゃああああああああああああああああ!!」
「なははぁーー!!自分で撒いた種だ!うけとれやぁああああああああああ!!」
「「…………」」
「ヤクモ君のバカぁアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
ちゅどぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉん!!
さっきの爆破魔法以上の、部屋を揺るがすほどの爆発が起きた。シェルナとアシュラは結界を張って守られていたものの、俺とマリナは違う。全身ボロボロになり黒焦げでなく、真っ黒になり大の字に突っ伏した2人がクレーターの中心にいた。
「「…………」」
「……フッ、行きましょアシュラ、無駄であっけど、哀れで悲しいよ事件だったわ」
「あの……えっと、いいんですか?」
シェルナが嘲笑混じりに頷いた。なんだあいつ、全体俺が意識あることに気づいているのに、気づかないふりしてやがる。
くそったれ~、意識はあるのに、体が全然動かない。こうなったらアシュラのパンツでも。
「死ねっ!」
「ぐぺらっ」
シェルナが俺の頭に両足キックをしてきた。いつもならちょっと仰け反るくらいなのだが、地面に挟まれ痛い。
「自業自得よ変態、なにアシュラのパンツ見ようとしてんのよ、恥を知りなさい」
ぐぅの音も出ない。くっそー、毎度毎度読まれるのに、対策が一向にできない、どうすりゃいいんだまったく。
「さっさと進むわよ!まだまだ階層はあるんだから」
ちなみに説明を忘れていたが、今俺達は第20階層のボス部屋にいる。さっきの人型がここのボスであったのだ。
10階層からここまでは普通に階段を降りてきてやって来ていた。どうやらあの罠は初見殺しであとは普通の大迷宮と変わらない……らしい。マリナが言うには。
「マリナ、立てるか」
「ヤクモ君こそ、立てるの」
「…………」
「…………」
「ぐっ……と、行くか」
「そうね……と、行きましょ」
俺とマリナはなんとか立ち上がり、フラフラとシェルナとアシュラを追っていった。
◇
「ふっふっふっ、あやつは能力抜きではボス最弱、だが次からは勝てると思うなよ!」
「…………なにバカなこと言ってるんだ美晴、バカなの?バカなんですか」
「なにおう!このやろう!」
私は私にバカだと発言してきた荒太の襟首を掴むと、思いっきり振った。荒太も対抗してそれからがっぷり四つの状態になった。
「バカって言わないでよ!それになんで八雲消息たっているのよ、この前起きた事件、いったいなにが起きたのよ!はぁああああああ!」
「し・る・か・そんなこと!俺だってなそろそろあいつの自由ぷりの被害者として気持ちのダムが決壊寸前なんじゃ!どぉらああああああああああ!」
私達の力は拮抗し続けた。
「八雲も八雲よ!いきなり追い回されたら大迷宮への横穴見つけて、そこに入ったらすぐに入り口崩すってバカなんですか!」
「だいたいそれも勇者が大迷宮攻略のせいで入れなかったところだから、回り回って俺達が悪い」
「しるかぁあああああああああああああああ!!」
私はもう愚痴を言って、さらに叫んでストレスを解消するように頑張りました。愚痴合戦はかれこれ2時間以上かかりました。
「はぁ……はぁ……はぁ、今日はこのくらいでいいでしょう」
「今日は?まだ続けるのか?」
「はぁ~?あたりまえでしょ?」
なにを言っているのだこの親友は。
「八雲が到着するまで毎日やるに決まっているでしょ?」
「………………られるか」
「?なんて?」
「やってるれるかぁああああああああああああ!!!そんなにやりたいなら今この場で、八雲が到着するまで立ち上がれないくらい、再起不能にしてやらぁああああああああああああああああ!!!」
「上等よ!やれるもんならやってろやぁ!ぜらぁああああああああああああああああああ!!!」
その日、私と荒太はかつてないほどのぶつかり合い、キラリス城の中庭から城の城壁及び城下町の3分の1を破壊するまで続いた。後にこの事件を二大勇者暴風事件と言われ続けていくのだが、ほんとの理由を知るものは誰もいない。本人達と親友1人を除いて。
「「しゃおぁらああああああああああああああああああああ!!!八雲のバッキャロゥウウウウ!」」
当の本人達はそんなこと露しらず争い続けるのだった。
補足すると、キラリス王女様がこの2人以上に八雲の到着を待ち望み、後始末に多忙を費やし、20連勤の徹夜をプラスしたわけであり、
「あぁ、またあの2人は……稟議書が……被害書が……前のがまだ捌けていないのに………誰か………ヤクモ様……おだずげぐだざい~……ウワァアアアアアン!」
中庭の脇で泣き崩れる王女が目撃されていたが、今では王城の名物となっていた。
◇
「なにやら美少女が俺を読んでいる」
「「それよりこっちに集中しなさーーい!」」
「ゴァアアアアアアアアア!」
ミノタウロスが斧わ振り下ろし、マリナとアシュラを叩き潰そうとするも、2人は横に跳び避けた。
現在俺達は40階層まで下がっていた。今はまだボス部屋ではなく、ボス部屋の扉を守護するミノタウロスと戦っていた。今は1頭だが最初は扉の両脇、つまり2頭居たが、すこし前に倒していた。このミノタウロスももう時期倒せる。
「ブモォオオオオオオオオオオオオ!!」
「っと、こっちにも来たか」
どうやらミノタウロスは、マリナとアシュラに攻撃が当たらないと見るやいなや、後方でのんびりしていた俺に向かっていった。だがそれは切れる選択肢のなかで最悪だった。
「あぁ~、これでも強いのに、やっぱ本能のままに生きていても、力量差……大きすぎるとわからないもんなのかな、マンガ見たく」
「ブモォオオ!ブモォオオオオオオオオオオオオ!!」
ミノタウロスは一撃必殺の力で斧を振り下ろした。俺はそれを、二刀で受け止めた。
「ブホッ!」
豚みたいな驚きかたをした。顔は牛なのに。
「『死裂十字』」
俺は受け止めた斧を脇に逸らすと、死魔法を付与した十字斬撃をミノタウロスに放った。
「ブモォオオ………」
浅く皮膚を切り裂いただけだが、ミノタウロスは絶命した。
「チートだねこれ。戦った気がしないよまったく」
「お疲れ~ヤクモ君。今回も綺麗な状態で終わらせたね~」
綺麗な状態とは、傷が浅いのばかりと言う意味で俺達が最近使っている言葉だ。傷一つないって意味ではない。勘違い去るなよ、諸君!
「なにやってんよヤクモ、何もないところに指なんかさして」
なんでこういうときには心を読まん。俺がバカ見たいじゃないか!
「「バカなんだから仕方ないじゃない」」
「ぬがぁあああああああ!タイミング!」
「はははっ」
俺の絶叫にアシュラが苦笑で返してくれた。やさし。
「はぁ~もういい。さっさとミノタウロス回収して次に向かおうぜ」
「「「はーい」」」
俺はとぼとぼ項垂れながら、マリナは俺の肩を優しく叩いて励ましながら、シェルナは俺の頭に乗ってだらけながら、アシュラは微笑みながら後ろから歩きだした。
さぁ頑張って、次行ってみよう~。
いろいろはしょりましたが後々間のところかけたらいいです。
まだまだ続く大迷宮、後ご期待!




