地の王国到着!
遅くなりました!
だいぶ少ないですが勘弁してください
俺達が商業都市サコラを出発してから2日が経過した。その間にあの勇者共が追い付いてくることも、突如現れることもなかった。よかったぁ~!
現在目指している地の王国までは半日の所まで迫ってきた。そして今は夜。野宿中である。俺は勇者共の動向を考えていた。…………もしかしたら勇者共、そっちで張ってんのか?……それなら嫌だなぁ~。
「ホントにそれだとめんどくさいわよね」
肩に乗っかっていたシェルナが同意してきた。……はぁ~、また心読みやがったな。こいつ。
「だな、だとしたらさっさと光の王国に向かっちまえばいいわけよ」
「……それもそうね」
それから会話はとぎれ、静寂が辺りを包んだ。暫くすると肩の辺りから寝息が聞こえてきた。
俺はやれやれと思いながらシェルナを肩からそっと降ろし、手のひらに抱くと毛布、と言うよりはハンカチのような布を被せると、頭を撫でながらそっと太ももに下ろすと、起こさないように慎重にしながら寝かせた。
「たくっ、かわいいな。……なんとしても」
なんとしても解放させてやりたい。そう強く思った。
切っ掛けなんて小さな嘘のような、謙虚のような、見栄だったものが、いつの間にか本気になっていたなんて。
「こいつもだか、俺もなんだかんだチョロインだったわけかね」
何度思っても笑えない。自笑したいが、なんかできない。
「ホント、笑えなぇよ」
俺は上を見上げ、夜空に呟いた。
夜空には星が煌めき、俺達を見守っているようだった。
◇
「さぁ!向かいましょう!早く向かいましょう!早く向かって宿に入ってもお風呂です!」
マリナが朝からテンション高めである。久々の野宿が終わりを告げるのがそんなに嬉しいのかと言うほどに。
(それでも元Aランク冒険者なのかよ。野宿なんて日常茶飯事じゃなかったのかよ)
俺は溜め息を付きつつ、早くもディノソルに跨がり、出発しそうな雰囲気のマリナに促され、ディノソルに跨がった。
ちなみにシェルナは肩に座り、朝食の乾パンを食べていた。今も眠たそうに……ではなくほぼほぼ眠りながら食べていたりする。その証拠に今も横に倒れてきた。俺の頬に当たると、びくっ!と飛び上がり元の姿勢に戻ると、乾パンを食べ、咀嚼中にまた倒れるを繰り返していた。
俺はシェルナに気を付けながらディノソルを走らせ出した。
それからずっと走った。走りながらマリナと会話をし、シェルナは朝食を食べ終わったら、肩に寝そべりうたた寝を始めた。
半日走らせ、そろそろ休憩を取る頃合いになったところでそれは見えてきた。
商業都市サコラよりも城壁が巨大であり、城下町の広さも桁違い、何よりサコラと比べるに辺り一番違うのが、中央に見える城であった。
「でっけぇ」
俺はありきたりな感想が出てきた。だが、それ以外言える言葉を俺は持っていなかった。
「そりゃサコラは大きい都市だけど、国家には敵わないわ。それだけ九国、それぞれの女神を信仰し続ける国が大切ってことよ」
「「なるほどねぇ~」」
…………いやシェルナよ。お前も国持って信仰されてただろうが、何を知らなかったように答えてんねん。
「…………」
おいこら目ぇ逸らすなや。
「はは……うん?…………なんか混んでない」
マリナは俺とシェルナのやり取りで苦笑し、視線を王国城門に目を向けると、なにやら行列出来ており、混雑?渋滞?しているようだ。
「なんかあるの…………あぁ~そうだった。そういや忘れてたわ」
俺は行列を見ていて、見たことのある人物を見つけ、これが何の行列か察した。
「何を忘れてたの?」
「??」
マリナとシェルナが首をかしげながら聞いてきた。
「まずだ、俺達はなんでここに来たんだ?」
「大迷宮攻略のため」
「その前にサコラを出るきっかけは?」
「勇者達が迫ってきたから」
「勇者はなんで迫ってきたんだ?」
「それは…………あぁそういうこと。なるほどなるほど理解したわ」
マリナも気付いたようだ。横目でシェルナを見ると、シェルナもわかったのか頷いていた。
…………………ホントにわかったのだろうか?
「…………」
シェルナが盛大に視線を反らした。
「はぁ~……つまりスタンピードを俺達が予想外の速さで解決しちゃったから今もまだ城門での、受付?に時間を食っているわけだよ」
「…………なるほど」
本来なら、1ヶ月から半年はスタンピード鎮圧に掛かるらしいが、それを俺達は数日で終わらせてしまったわけなのよ。
しかも、俺達伝令よりも先についてしまったから余計に達が悪い。
「もしこんなところ知り合いに見られたら」
「逃げてきたって思られるわね」
その通りなのだ。なんとも嫌な予感がしてくる。なぜなら今乗っているのはディノソル、止まることができないヤンチャ竜なのだ。
嫌だなぁ嫌だなぁと思いつつも、城門はどんどん近づいてきた。それにともない行列の謙遜も聞こえてきた。案の定、
「一刻も早く入れてくれ!すぐそこまで魔物が来ているんだ!」
ーいえ来ていません。
「そうよ!勇敢な冒険者達が命懸けで足止めをしているの!」
ーいえ呑気に騒いでいます。
「いつまで待たせるんだ!さっさと俺達を中に入れろ!」
等々と城門でものすごく揉めているようだ。そのせいか誰も俺達に気が付かないようだ。
参ったなと思いつつもディノソルを止めることができない俺達。迫り来る城門。混雑しまくってる行列集団。
そしてとうとうそのときがやって来た。そう俺達のディノソルが行列集団に突っ込んだのだ。
いや、突っ込んだというのはちょっと違う。正確には行列集団の最後尾に突っ込みかけたので寸前でディノソルをジャンプさせ、着地の瞬間にディノソルを空中で回転させ、無理矢理止めたのだ。
そして辺りでは悲鳴が上がり、周囲に広がっていった。すると横に俺と同じようにしてマリナがディノソルを止めた。
そして当然のように下敷きになったものもいるが、すぐさま魔道具を発動させ、地面を流動、下敷きになった者をディノソルの脇に寄せると、癒魔法を浴びせた。そのお陰で死者は出さなかった。
「…………はっ!貴様ら!いったい何をしているんだ!」
ディノソルを止めただけですけど?なにか?
そんな風に首を傾げると門兵寄ってきて苛立ちながら叫んできた。
「一歩間違えば死人が出ていたんだぞ!」
「……だって渋滞していたし、避ける気なかったし」
口答えされたのが嫌だったのか、さらに叫び続けてきた。
(どうすっかなぁ~これ。このままじゃ中に入れないかもだな)
(まぁ私達やっちゃったもんね~。収まるまで待つ?)
(それが妥当)
「ちょっと門兵さんいいかい?」
横から白髪の老人が声を掛けてきた。
「……なんだあんた」
「いやなに、この子達の事についてだ。……今回のこの事故なのだが、あんたらにも非があると思うのじゃよ」
老人が俺達を庇ってきた。
「どういうことだ」
「なに、あんたらがあたしらを早く城下町に入れていれば、こんなことにはならなかったんじゃといっているのじゃ」
「なに~」
門兵が老人にガンをつけながら迫っていった。だが老人はどこ吹く風のごとく、カッカッカーと笑い受け流していた。
「なぜなら、この渋滞はかなり前から起きておった。このものだちがくるまえからの。」
まぁそうだろうな。スタンピード発生が数日前だったはず、この人達が移動したのもその辺り、ならここには2、3日滞在兼居座っていたはずなのだから。
「それなのにあんたらはいつまで経っても入れてくれん。だから今回のことが起きたんじゃ。……あんたら、これよりもひどいことが起きたら」
責任が取れるのかのぉ?と老人は首を傾げた。コテンとした表情だが、目は笑っておらず、獲物を狩るような鋭さだった。
「ぐっぐぅううう」
門兵も唸ることしか出来ないようだ。
それから老人がいろいろと話し合い、と言うよりは一方的な言い合いで俺達の騒動を有耶無耶に、尚且つ行列全員を城内への通過が許可された。
そして俺達は目的地、地の王国ラルスに到着したのだ。
次は頑張ります!
次回もよろしくお願いします!




