多重人格か優柔不断か
「スプリット」という映画を見て、書きたくなりました。会話劇で、サクサクと読みやすいように文字数もいつもよりかなり少なめで書き上げました。
A「なあ、、やっぱりファ○チキにしない?」
B「え、スパイシーチキン買いに来たはずでしょ」
A「さっき道路で拾った10円で所持金は合わせて180円。ファ○チキは180円だしこれは何かの縁に違いない。大いなる力が俺たちにファ○チキを買わせようとしてるんだよ!」
B「勝手すぎるよ、やってた宿題中断してまで、スパイシーチキンを買いに行こうって言ったのは君じゃないか。150円で安いし、僕の身体はスパイシーチキンを食べたくてうずうずしてるんだ」
A「俺の身体は逆にファ○チキを食べたがっている。それにファ○チキの方がうまいからそれでいいじゃんか」
B「ファ○チキとスパイシーチキンは味がそもそも違うものなんだから優劣つけれないでしょ、僕はピリピリするあの刺激が欲しいんだ、それを求めてここまで来たんでしょ!」
A「うー、屁理屈こきやがって。いつもならお前は優柔不断でなんでも俺に任せるだろ、主導権はおれがもってるはずだ」
B「『俺に任せるだろって』、それはいつも君が選択に迷った時だけでしょ、僕は選択を薦めることしかできないし、結局、僕の意見は参考にしてないでしょ」
B「そうして、決めきれず、後悔が残る選択をしてしまう。僕もそうだけど、君だって優柔不断だからね」
A「言っとくが、おれは後悔した選択なんてこれまで一度もない、どの結果も全部自分のためになってるんだ」
B「間違ったポジティブ思考だよ…」
A「それでもそんな弱気なお前の心を支えているのは俺だからな」
「って話が斜めに向かってる、ファ○チキかスパイシーチキンどっちにするかってことだったろ」
B「…そらしたのは、君じゃん」
A「おれはファ○チキがいい」
B「今日は譲りたくないよ……」
カウンター前で、ホットスナックを凝視している一人の男子中学生はそこから微動だにしない。それを見かねた店員が中学生に話しかけた。
「新発売のプレミアムチキンはいかがかしら?いまならちょっと安くなって165円。とってもおいしいわよ」
店員の温かい一声に、少年の固まっていた体と表情は徐々にほぐれていった。
「じゃ、じゃあそれ一つください」
多重人格、もしかしたら、自分にもあるんじゃないかな、、それはないと信じたいです。