犯罪予備軍
"殺したい"
その言葉が自分を闇の方へと追い込んでいった。
きっと十数年間生きていれば誰しも一度くらいは考えることなんじゃないのか
ぶん殴りたい、死ねばいいのに
声に出して言わなくても思うことくらいはあるだろう
一度も思ったことがない人は、たぶんどこかおかしい人か神様に選ばれた人なんじゃないだろうか
人は愚かな生き物
誰が最初に言ったかは知らないが、そう思うようになってきた
殺したいと思うのは愚かだからだと
きっと人間だからこういう感情があるのだと言い訳している自分がいた
「お前ほんとミスばっかりだよな。少しは考えたら?」
上司は呆れたように言ってすぐに去っていった
会社は中小企業の自動車部品工場
仕事内容はいたって簡単、物を機械にセットして起動レバーを叩き、機械で加工され終わった物を次の機械へと運んでの繰り返しをして製品へと加工されていく
あと数年したら人がやらなくてもいい仕事だろう
そんなつまらない仕事をしながら黒い感情と私は戦っていた