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軽くフィクション・飛  作者: 高岸げひら
3/5

(スキージャンプ・飯野佳那)

 人生の答え合わせって、きっと、人生の最後にならないとわかんない。

 だから、今はいろいろ考えずに、夢中に。


 そう、私の名字が飯野になったのは、まだおととしくらい。生まれた時の私の名前は『河座佳那』だった。

 かわざかな。

 川魚。

 ウチの両親が、私が生まれた時に、とにかくものすごーく考えて、沢山の名前の候補の中から、画数だのなんだのを考えて考えて、考えた末にたどり着いたのが、『佳那』っていう名前だったそうなんですが┅

「佳那の名前は、これ以上ないくらい、カンペキ。」

 お母さんの口ぐせだったんですが┅

 名字、変わったし。

 名字、変われば総画数も変わるでしょ。

 口ぐせ、だったはずが、ここ2年、触れてないし。

 今、私の名前は何パーセント、カンペキなんですか~?と問うてみたい。


 私が大成するしかないんですか~?

 ねえ。


 ま、離婚といっても、まあこんな話もあるのねっていう円満離婚だから、娘の私からしても、どこかリアリティーがないというか、あまり感情が伴わないというか。


 ま、そもそも、私が放課後にジャンプして、ジャンプして、日が暮れてもジャンプして、同世代の男の子にもあんまり負けなくなってきた頃に、お兄ちゃんは、それでもいつも大会では表彰台に乗ってるくらいの成績は残してたのに、突然ジャンプ、というかスキーを辞めて、サッカーチームに入って。

 そしたら、むしろサッカーの方が向いてたみたいで、なんかこう、めきめきと。

 そしたらそのうち、プロチームのユースから声がかかって、10番つけて、世代の代表チームにも選ばれて、チームでもトップチームに昇格して、昇格したと思ったら、地球の裏側の国にサッカー留学に行きたいとか言い出して。


 で、行くとなったら、お父さんも、「挑戦する息子を側で見守りたい」と、ついていくことになって、なんか、向こうのチームの球団職員としてついでに雇ってもらう話をまとめてきちゃって、お母さんとは、しばらく離れ離れになるから、一つの『ケジメ』として一旦離婚して、そのかわり、日本に戻ったらその日にまた籍を入れよう、みたいな話で、それまで佳那のことはよろしくなと涙ながらに空港でお母さんに頭を下げて、お兄ちゃんと飛行機で旅立ったのが2年前。

 ま、過保護だし、ちょっとイタイし、そこまでしなくてもって思うけど、まあ、二人がそれでいいのなら、いいよね。


 で、その時にお母さんの旧姓に佳那がついて、『飯野佳那』がめでたく(?)誕生したわけなのですよ。

 だから、『飯野さーん』と呼ばれて、すぐ振り向くことができるようになったのって、ホントに最近のこと。

 小中の同級生なんて、いまだに『カワちゃん』って呼ぶもんね。カワカナとか。ザ抜き。


 ね、あんまりない経歴でしょ?

 面白いか、面白くないかで言えば、きっと後者なんだろうけどさ。

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