イントロ6
激しく降る「雷雨」。今日の予報では昼まで雨だったようだが、この感じだと夕方まで続くようだ。大きく広がる砂利と白線の「グランド」。この激しい雨により今日は「泥沼り」に色濃く変わり、白いラインは泥水で消され、人間の「足跡」でさえも消した。
その地上から見える、学校の校舎三階。一番右側の位置する「窓」が私の教室だ。
校舎内では外とは違う「暖かい温度」と「心血良い環境」だった。こんなにも充実とした勉強しやすい平和なはずなのに、私の教室の中では他のクラスとは違う、ガリ勉の生徒まで変わる「別世界」の部屋だった。凍り付いた空気、眼球の血管が唸る響く驚き、そこは「血」も「涙」も無い「惨劇の世界」だった。計画的に行った「共謀」。無関係な者が良い方向に移る「同行」。そして嘘と閃きの残酷な「裏切り」。ここは本当にあの平和な日本なのか分からない。・・・・・私は、その舞台の「被害者」になった。
誰も助けてくれない。誰も信じてくれない。ここの教室では「正義が悪」。友人は言った、自分はもっと「自信」を持ち「自己主張」をし、人と「ふれあおう」と。・・・・・それが「間違い」だった。
カッ!!・・・・・ゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・
元々は「人見知り」の自分。元々は「喋らない」自分。・・・・そんな人間が「頑張って変わろう」とするから。
「あんた・・・・・マジでキモいよ。」
カッ!!・・・・・ゴロゴロゴロゴロ・・・・
私は・・・・・地獄へ落された。
あれ?・・・・私なんで廊下走ってんだろ。誰かに掴まれている・・・・。痛いんだけど。そうか。「君」が連れ出してくれたのか。ありがと・・・・・・でも。もう「遅いよ」。もう少し早く来てくれれば「助かった」のに。遅いよ。遅いんだよ・・・・いつも「急に」現れて・・・・それより離してよ。私の「右手」を。ねぇ?聞こえてる?・・・・どこ連れてくんだよ・・・。離せよ・・・はなせよ・・・
「離して!!」
「!?」
私の手を掴んでいた「青林檎の髪型」した男子は私の「右手」を離した。彼は驚いた表情で見ている。雨の冷え切った湿気が正面玄関の出口から「冷気」が漂ってくる。今日は本当に寒い。天気まで私を「冷たくする」。彼は少し目を開き眉間に力入れているのが分かる。初めて彼の顔をハッキリと見た。以外と「美男子」で肌は「白く」髪の毛の「青林檎色」がよけい光って見える。彼はそのまま下駄箱に背中を寄せ、しゃがみ込んだ。
正面玄関では「私」と「青林檎君」だけ・・・・。時刻は分からない。この冷え切った廊下は誰も通ってこない、この空間にいるのは私と彼だけ。・・・・・沈黙が続く。
「じゃぁ。戻る?」
「いやだ・・・・・。」
あの教室には戻りたくない。二度と戻りたくない。「嘘」と「貶す」と「裏切り」の世界に戻りたくない。あそこには、邪悪しか無い。その「邪悪」が私を変えた。もう・・・・誰も話したくない・・・・。チカの無い世界なんて耐えられないよ。
「よっしゃ!行くか!」
「え!?。」
「え。じゃねんだよ!待たせてんだよ!あいつらを。」
「なに言っ・・・・きゃっ!!」
彼はそう言い。再び私の右手を掴み無理矢理、正面玄関まで連れてかれ傘を開きこの雨の中、国道まで歩いた。何処へ連れてくの?誰を待たせてるの?・・・・恐いよ・・・。
彼の手は力強く握っていた。私を離してたまるかぐらいの強さが右手に伝わる。普通こんなに掴まれてる時って「痛い」はずなのに。私の手を掴む彼の手は「温かく」「優しく」「痛み」の無い感じだった。
どれくらい歩いただろう・・・・。そんなに学校から離れてない気がする。初めてだな「無断」で学校を出たの。出たっていうか、「誘拐」か?きっと今頃学校内は私達「二人」の行方を捜している。捜す?捜すわけないか。私のことなんか・・・・。あそこの鉄筋コンクリートの建物におるのは「魔物」だけ。これで一ヶ月の成績表は赤点確定だ。不良なちゃったよ・・・・。今この光景を見てチカはどう思うかな。この「魔物」しかいない世界・・・・まもの?。じゃぁ「この人」は何?。魔物でもない、裏切ってもない・・・・・私を助けてくれてる。それにこの「甘くて」「優しくて」「爽やかな」香り。いつもこの人がおる時だけにする不思議な匂い。
やっぱり。あの時、助けてくれたのは・・・・・あなただったの?。
「おい!着いたぞ。」
「え?・・・・ここって・・・・。」
彼に無理矢理連れてかれた「その場所」は、
私とチカがよく二人で通った、「珈琲レストラン」だった。
どうして、ここに連れてかれたの?なんでここなの?・・・・誰がここで待っているの?
「なにボケッとしてんだよ!入るぞ!」
店内に入ると、そこは外の世界とは別世界。暖かい室温に、できたて珈琲の香ばしい匂いがこの店内に包み込んでいた。いつ来てもここは「天国」。でも、ほんの数日前ではここは「地獄」だった所だ。・・・・畑中さんが、あんなことするなんて・・・・チカは本当に畑中さんと仲が良かったのかな?。分からない、あんな優しい優秀な畑中さんが・・・でもあの時泣いていた「涙」は本物だった。最後まで見届けよって言ってくれた。
店員さんが、何名様か私達に聞いている。彼は店員さんより、店内をキョロキョロと誰かを探していた。いったい、誰がいるの?・・・・あなたもマイペースな人なんだね。ちゃんとせつめい・・・・
「おっ!おったおった!ちゃんと来てるな!」
私達は店内の奥の「喫煙ルーム」へと進んでいった・・・・
誰かが待っている席に行き、そこにいた人達は・・・・・
「人を呼ばせといて。ずいぶんと待たせんじゃない。」
え!?・・・この人。
「遅せ~~~~よ~~~!サンドイッチ頼んでしまったやん。笑」
確か・・・・この人も・・・・。
「・・・・・・・・」
・・・・・・っあ!・・・・濡れてる人だ!?
「よっしゃ!全員おる・・・・・あれ?あのデブ来てねぇじゃん!?」
この人達・・・・
「早くしてよね。用事あるんだから。」
校則違反の派手な女子生徒・・・・。
「すんませ~ん!珈琲おかわり~~!」
悪魔のような顔した人・・・・・。
「・・・・・・・。」
雨の中、傘を差さない変な人・・・・・。
今朝、学校で会った「おかしな人達」だった。
「しゃぁ~ね!先始めるか!!」
誰かの「お誕生会」?。
時刻は十時五十五分。外はまだ「雨」が降っている。店内の窓から見える大きな駐車場は、十一時から開店するお店が開き。お客さんの「車」が集まりだしている。珈琲レストランの目の前が、このエリアで二番目に大きい施設「CDショップ」。今日は何かの「新発売」でこの雨の中「CDショップ」の前では大勢の人が玄関の自動ドアで待機している。・・・・・寒そうだな。
私は通路側の席に座り、隣には「派手な女子生徒」さんが座っている。その人の目の前の人、サンドイッチをバクバクと食べている「悪魔のような顔」した人。その隣に座る私の目の前の人は、私を無理矢理連れてきた誘拐犯「青林檎君」が座っていた。あの「傘を差さない変な人」は私達の席の隣の席に移ってゲームをしている。彼はどうやら、ここの珈琲レストラン来るときも「傘を差さずに」ずぶ濡れで来たから、制服全身「雨」で濡れている。「青林檎君」が隣の席行け、と言われ移った。
皆ほぼ初対面なのか。全く喋らない・・・・。この人達は何者なんだろう。一人一人独特な「オーラ」を持っていて、「未知な人達」だった。なんか、他に誰か来るみたいなんだけど、その人を待たずに何か始めるらしい。
「俺が知る限り。ここにいるメンバーは最高のロックンローラーだ。」
はい?・・・・・なんて・・・・!?
ロックンローラー。
「俺はこの冷め切った時代を変えたい。いつも何かに追われて目標を達成させなきゃいけない、自由な事、自由な言葉が言えない。この腐った国を変えたい。・・・・・そのためにはお前達の力が必要なんだ!」
驚く私。
肘をつきながら窓の外を見る派手な女子生徒さん。
頼んだサンドイッチを食べている悪魔のような顔した人。
驚きもせずゲームに集中する変な人。
「ここにいる俺達は・・・・この国を変える、最高なバンドになるんだよ!」
この人・・・・頭、大丈夫・・・・?
「よ~~~~~笑。まさに革命~~~~~~~~~喜」
「・・・・・・」
「え・・・・・と・・・・大丈夫?」
「アホらし・・・・時間の無駄だわ。帰る。」
いきなりこの人は何を言い出すと思えば、私達は「ロックンローラー?」でこのメンバーが「最高なバンド?」。ちょっと狂ってるよこの人、頭染めすぎてラリってるの?。私の隣にいる「派手な女子生徒」さんも私と同じ「?マーク」を浮かばせて呆れてるし。「悪魔のような顔」した人はサンドイッチ食べながら笑ってるし。「傘を差さない人」は・・・・喋らないし・・・・。
誰かもう一度、一から説明してぇー。
私の隣にいた「派手な女子生徒」さんは再び「丸いグラサン」をし、ちょっとどいてくれる、私用事あるんだ。と言い、私は席を立とうとした。
「まだ。話終わってねぇよ!あと十分いいだろ!」
青林檎君が、彼女を止め。一人ずつとりあえす自己紹介してくれ。と言い出した。それを聞いた「派手な女子生徒」さんは机に力強く叩き、「青林檎君」に睨付けた。私はその「音」に驚き、あの教室で起ったことを思い出してきた・・・・。
「じゃ~~~~~俺から~~~~。三年T組~~大倉秋夫~~~笑」
悪魔のような顔した人は、三年生だったんだ・・・・。
どうやら、「青林檎君」と「大倉さん」は初対面ではなく。三日前にコンビニで会い。そこで音楽の話になり、お互い「意気投合」しバンドの話に大賛成し、すごい前向きらしい。地元は度会町の方なんだって。
「・・・・・・・。」
なんか・・・・ずぶ濡れの人は、全然喋らなくて。代わりに「青林檎君」が説明してくれた。
彼の名は、杉岡快晴さん。私と同じ一学年で、松坂市の人らしい。杉岡さんはクラスの「T組」でも誰にも喋らず、唯一会話できるのは「青林檎君」だけなんだって。なんでもこの二人は「寮の同じペア」で、そこで仲良くなり最初は杉岡さんは喋らなかったみたいだったんだけど、青林檎君が「ゲーム」を貸してあげたら、ちょっとずつ話せるようになり意気投合したようだ。彼も「この件」は前向きらしい。
やっぱり・・・伊勢の人じゃないんだ・・・・県内の人かな?それとも県外・・・?
「ゆっとくけど!私は乗る気無いから!なんでアンタの為に働かないかないんだよ!!」
派手な女子生徒さんは、大反対だそうだ。
「コイツの名は、ハマグリ・・・・なんとか。一年A組の・・・・」
「なに勝手に紹介してんだよ!!ってか!ハマグリじゃなくて浜・口!だ。コラァ!」
派手な女子生徒さんは、やっぱり私と同じ一年生で。A組の浜口麗さん。南伊勢町の人らしい。
意外と皆さん。伊勢市の人じゃないんだ・・・・は!次は私の番だ・・・・!!
「え・・・・・と・・・・わ・・・・わた・・・。」
恐い・・・・やっぱり私は人と喋るのが前より苦手になっている・・・・。そうか。別に言わなくていいんだ。
私もこの件の話は乗る気じゃないし。興味が無い。第一私は、この人に無理矢理ここに連れてかれた。いわば私は被害者・・・・よし、私も帰ろう・・・
「そう!この子が俺達のリーダー。笹木川遙佳!みんな挨拶して!」
はっ?・・・・リーダー?
「なんだよ~~~~笑、ゆってくれよ!リーダー宜しく!!」
「・・・・・・!」
「!?・・・・アンタが?」
いや・・・・え?・・・何言ってんの?・・・訳が分からないんだけど!?
汗が止まらない。状況が読み込められないよ・・・リーダー?私が?。誰がリーダーよ!?それに私はこの件は反対だし、今初めて聞いたし。・・・・本当にこの人は分からない・・・あんた「狼少年」?
その時、私達のいる珈琲レストランの自動ドアから一人の「男性」が走って現れた。
「はぁ・・・はぁ・・・・ごめん!遅れた~!!」
「この豚!遅せぇよ!。コイツがエレキ担当の加藤祐雅。俺らとタメ。」
ええええええええええ!?・・・・この人がエレキ担当・・・・・。
その人は。普通の人より体が太っていて。お腹はまん丸の「満月の妊娠腹」。髪型は短髪で、黒い眼鏡をし。あきらか「ニート」のような人。この人も私達と同じ同い年らしい。地元は二見の人だそうだ。
「一ヶ月振りの外出だから、風呂入ってたから遅れたんだよ!!誰が豚だ!!」
皆、この人が「エレキギター!?」という顔をしている。全く「ロック」にほど遠いスタイルだ・・・
「だぁ~~~~ははははは笑!!腹痛~~~~~笑」
「何笑ってんだよ・・・てめぇ!」
「冗談だろ~?お前みたいな奴がギター弾けるわけねぇだろ!!つか持てねぇだろ!!笑」
大倉さんが、加藤君のことを笑い指を指しながら笑っていた。笑っていたのは大倉さんだけだったけど。私もこの人があの「エレキ」弾けるとは信じられない・・・。
「くっ・・・・・・・よし!見てろよ・・・!」
「聴かせてやれ。」
怒りに燃えた加藤君が、背負っていた大きな黒いカバンをおろし。カバンの中から「何か」を出した。
「・・・・ギターだ・・・」
それは青い肌に恐くするどい目つきの様な威圧感。見るだけでその楽器の凄さが味わう魅力の、エレキトリック・ギターだった。加藤君はもう一つカバンの中から小型の器具をだし。その器具からケーブルを伸ばしスイッチを入れ、そのケーブル線をエレキギターに繋げた。
カチッカチ。ジジ・・・ブーーーーーーーーーーン・・・・
ジャァァァァァァァァァ~~~~~~~ン~~~~
この「音」・・・・!?
「行くぜぇ!」
え?・・・・・まさか・・・・ここで弾くの!?
ジャジャジャジャッジャジャァァァァァァアアアアアアアアンンンンン!!
ドゥリリリリリリラララララララアアアアアアアアアアン~~
ジャアアラッ!ジャ!ジャ!ジャ!ジャラン!ジャラララララン!
ドゥッドゥッジュウィィィィィィィィィーーーーーーーーーーン!
その激しい「エレキの音」は珈琲レストランの店内を支配した・・・。響く音量、水が入ったグラスが揺れ踊り、店内の電機系統もチカチカと点滅し私達以外のお客、店員さん達は耳を塞いで机の下に隠れたり床にしゃがみ込んでいる人達もいた。こんなにすごい熱い思いでこんな真っ正面の目の前で披露しているのに、私達五人は、耳を塞ぐことも床に隠れもせず、そして汗一つも流さず驚いていなかった。ただ思った事はある。皆この「音」を聴いて私達は「リズム」に乗り自分たちの心は、すごい盛り上がっていた。加藤君を馬鹿にしていた大倉さんも特に盛り上がっていて。ついには自分の座っていたソファに立ち上がり激しく踊ろうとしていた。あんなに反対反対と言っていた浜口さんも、頭だけ揺らし目を瞑りリズムを楽しんでいる。そして私は、こんなに熱く披露している加藤君を見て、彼の全ての「音」を綺麗細かく繊細に聴いていた。次第に体中が熱くなる。
これだ・・・・これが「ギターの音」だよ・・・・私はまだここまでマスターできていない。すごいな加藤君・・・あんな太い指をしているのに、感じの良いタッピング。滑らかで格好いいハーモニクス。その波を操るスイッチング奏法。上手い・・・・私もこんな風にマスターしたい!
ドゥゥゥゥラジャッジャジャァァァ~~~~~~~ァァァァ~~~ン!
ジャッン!!
「ふぅーーーーー。スッキリしたぜ!!」
「うるせぇーよー」
加藤君のエレキの演奏は終わった。
パチパチパチ・・・・
「ヒューーーーーー!!最高ーーーーだったぞーーーーー!!笑」
「頭。痛っ・・・・・」
「・・・・・・」
「何喜んでんだ!!てめ!次はお前だオッサン!!」
皆。加藤君の演奏聴いて、楽しんでいた。キレの良い音に爆発力のある音の威力。その音は私達の「心」を震撼させていた。加藤君が馬鹿にされていた大倉さんに「満面なドヤ顔」をし次は大倉さんが弾いてみろ。と挑発しだした。だが大倉さんは全く弾こうとしない。
大倉さんが弾かない理由は二つあると言った。一つは「自分の楽器」を持っていない。そしてもう一つは・・・
「俺初心者なんだよ!ギター教えてくれ!笑」
なんでこの人を入れようと思ったんだろ・・・。
その後、加藤君は「呆れ」エレキをバックにしまい、前の席に腰掛け店員さんに「コーラー」を注文した。店員さんと店長さんが慌てて出てきて。「警察通報しますよ!」と警告してきた。そりゃそうなるよね。いきなり店内で「エレキの大音量で演奏」したら怒るよね。青林檎君は「へーい」と返事し。店員さんと店長さんは戻って行った。
場はまだ混乱している。その時、青林檎君が私を見て笑い・・・・
「リーダーはな。この伊勢で天才のベーシストなんだよ。」
!?
「マジか~~~~笑」
「・・・・・・!?」
「あれ?・・・・・」
「・・・・笹木川・・・・・!?思い出した!!あんた今日の新入生テストの結果発表で、一位獲った人じゃない!!」
え・・・・・・!?
浜口さんが、私の名前に思い出し。新入生テストの事を喋りだした。どうやら彼女は今回のテストの結果は優秀で総合「二位」だったみたい!!本人は余裕だと思ってて「一位かな?」と思っていたら、まさかの私が一位を獲得し、その時に私の「名前」の事を目に焼き付いていて。「すごい悔しい思い」をしたらしい。この人はすごい「負けず嫌い」だて事が分かる。・・・・・・・ごめんなさい。浜口さんは、なんで謝んだよ。とツッコム。
「おい!・・・・・お前・・・笹木川って・・・去年の秋コンで最優秀賞取ってたよなぁ?」
「え?・・・・・そんなすごい人なの!?」
「・・・・!!・・・・・」
「ワオッ!!笑」
「フン!そうだよ。コイツは天才なんだよ。」
加藤君の「記憶」に皆が再び驚きだした。なんで?・・・・「その事」知っているの?。加藤君・・・
そこに一人の店員さんが加藤君に「コーラー」を持ってきてくれた。加藤君はコーラーにストロー入れ、一口飲んで私の事を見て、去年の「秋のギタコン」のことを語り出した・・・・
俺はあの時。「エレキ部門」でコンテストに挑んだ。当時その時の結果は五位だったんだけど。その時「ベース部門」の方で、すごい女子がいると会場が賑わっていたんだ。その子は順位は「三位」だったんだけど。最後の結果発表に「最優秀賞」貰っていた。このイベントで一番の栄誉は「一位と優勝」だけど、もう一つ獲ると最高な賞が「最優秀賞」だ。最優秀賞は審査員、会場のお客さん達が「感動させた」ことで取れる最高賞。誰もが欲しくなる「栄光」。でもただ「最優秀賞」獲っても「優勝」とは限らない。これからこの人は「伸びる」「進化する」者に与えする「賞」なんだ。しかも、たった一人だけ選ばれる。それが・・・
笹木川遙佳だった・・・・。
私・・・・・・。そんなすごい賞だったんだ。全然知らなかった。
「あの時は三位だったみたいけど。今回の春、一位取りに行くんだろ?」
・・・・・・そうだった・・・・色んな事があったから「ギタコン」のこと忘れてた・・・
「へぇ~~~~。そんなイベントあったのかよ!?今度俺も出よ!笑」
「弾けねぇくせに、出てくんな!オッサン!」
あの日から私は、「ベースのギター」を弾いていない。弾こうとも思わなかった。だってあの「ギター」は、私とチカで一緒に買った特別のギターだったから。いつもあの「ベースのギター」見たり触ろうとすると「チカ」を思い出す・・・・。最近やっと慣れてきたけど。未だにふと思うと・・・まだ辛い・・・。
この先。チカみたいな「元気」で「優しくて」「笑顔満点」の友達ができるのだろうか・・・・友達か・・・・恐いよ・・・・チカ・・・・私、やっぱり変われないよ・・・
「ねぇ。天才さん!!そこどいてくれる。邪魔なんだけど!!」
「え・・・・!?」
私の隣にいた「浜口さん」が私にまた、どいてくれと言われた。
邪魔・・・・・・そっか・・・私はやっぱり・・・「邪魔者」なんだ。教室で皆から嫌われられ。初対面の人にも邪魔者扱い。これから私は・・・・そんな人生歩んでいくのかな。チカがいなくなって「全て」が冷たくなったこの世界。やっぱり私は人と接触するの・・・・
「何一人ブツブツ言ってんだよ!うぜぇんだけど!!」
「な・・・・・!?」
「あんたさぁ!言いたいことあったら。言ったら!!やっと声出したと思ったら、エッ!?かナッ!?じゃんかよ!!」
・・・・・・!?
「幸せよね?皆からチヤホヤされて。やっぱ違うわ。凡人と違って天才は~」
違う・・・・私は・・・・
「あんた、どんな人生歩んできたか知らないけど。アタシからみたらアンタは、こんなちっぽけしか見えないんだよ。」
人生・・・・。
「それと。アタシこのバンド入る気ないから!。音楽は好きだけどジャンルが違うのよ。そもそもアタシロック聴かないし!アタシはヒップホップなんだよ!。」
私は素直に、座っていた席を立ち上がり通路の方へ移動した。彼女は再び「丸いグラサン」をし耳にヘッドフォンをし帰ろうとしていた。恐かった・・・・・
でも・・・・なんか「むかつく」。
ちょっとまってよ。なんで貴方にそんな事言われなきゃいけないの?勝手なこと言わないでよ!貴方もどんな人生辿ってきたのか分からないけど。勝手に人の人生を貶さないでよ!貴方は何様のつもりなの?ヒップホップ?・・・・・くっ・・・
「ロックをなめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 私は叫んだ・・・・
浜口さんが驚いてこっちを見た。
大倉さんが驚き固まった。
杉岡君は驚きゲームを止め後ろを見た
加藤君は驚きコーラーを吹き出した。
「パチパチパチパチ。」 そして青林檎君は笑顔で気持ちよく拍手していた。
その後、浜口さんは私に「やるじゃん。」と言い、そのまま店内を出て雨の中へと消えていった。続いて加藤君がコーラーを飲み終え、ジュース代金を払い。また連絡してくれ。と言い帰っていた。
ドクン・・・ドクンドクン・・・・。心臓が大きく、叫んだ時から激しい鼓動をしていた。今日はチクチクして胸が痛い・・・・
「よし!そろそろ帰るか~。お前らどうする?」
残った青林檎君と大倉さんと杉岡君。
青林檎君が二人にこの後どうするか?と聞くと二人は、今日は帰ると寝る。と言い、二人も帰って行った。
そのまま青林檎君も帰るのかなと思ったけど。彼はそのまま私の横に来て、
「明日暇だろ?向かいに行くから国道沿いのコンビニで待っといて。」
「は?・・・・明日も学校・・・・・」
「戻るの?」
「・・・・・・・」
「朝八時頃着くからさ・・・・・」
「ダメ・・・・私・・・・・」
そうだよ・・・・・私・・・・・変わらなきゃ。
「うん。わかった・・・・。」
彼は満面な笑顔で笑い。その後彼はレジに行き四人分の代金を払い。
「待ってろよ!」
と言って、帰って行った。
なんか。よくわかんないけど。今日会ったおかしな人達。そして青林檎君にすごい「元気」をもらった感じだった。今日は初めて多くの人と話したな・・・・私ちょっとずつ変わってきてるのかな・・・・そうだよねチカ・・・・・変わらなきゃね。
私変わるよ。変わって、もっともっと自分を主張する!!
あっ!・・・・・明日、学校なんて言って休も・・・・。
その前に両親にも・・・・言えない・・・。