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私の音源は、心臓・・・・  作者: 三秒前の金時豆
6/9

イントロ5

!?


「明細書?・・・・。」


状況が把握ができなかった。え?。どういうことなの。・・・・・畑中さん。


「じゃっ。みんな帰ろうかぁ~。遙佳さんが遅れたお詫びに、全部払ってくれるそうだし!」


他の女子達も席から立ち上がり、皆帰ろうとしていた。笹木川さん、ゴチで~す。太っ腹~。うわっお金持ち!皆、私にそう言い残し帰っていた。遅れて畑中さんが席を出ようとした瞬間。私の耳元で信じられない言葉を聞いた・・・。


「どんまーい。じゃっ!また来週ーー!!」


私がいけなかったの?。私が集合時間を間違えた?・・・・・・畑中さん・・・・・。

目の前にある団体用机の上には食べかけのケーキや飲みかけの珈琲が無残に散らかっていた。私のお気に入りの「葡萄ケーキ」のクリームも残っていた。

 仕方なく、私はお会計しにレジに行き。とりあえず今財布の中に入っている金額で払えるか心配になった。レジの会計計算が長い・・・・・。嫌な予感が消えない・・・・・。


「ありがとうございます。お会計三万四千円となります。ポイントカードはお使いしますか?」


高い・・・・・!?三万って・・・・いったい、いつから「お茶会」してたの!?私はもう一度レシートを確認し何時に最初の注文したか、調べた。


「一時半・・・・・。四時間前から・・・・!?」


女性店員さんは固まった私を見て。大丈夫ですかと聞いてきた。もしかして・・・・私。騙されたの・・。やっぱり・・・騙されたの?・・・・・どうして・・・・・。それとも聞き間違えたのかな・・・・。そうだよ。そうに決まってる。あの時は突然だったから。頭の中はテストのことでいっぱいだったし。きっと私のミスだ!・・・・・ほんと、どんくさいな。私・・・・・・・。


でもミスであれ、この金額は高い。三万か・・・・・。全然足りない。今、私のお財布の中身は一万ちょっと・・・・・。あと二万円足りない。店員さんが心配そうに私を見てくる。完全にヤバい状況・・・・。どうしよ。どうしよ・・・・・。その時私は、一瞬玄関の外を見た。その見つめる先の光景は・・・・

畑中さんが。嬉しそうに・・・・・スマホで私をカメラで撮り、笑っている姿を見た。


そして、最後帰る際に。口元で、声までは聞こえないけど。その口の開き方や行動で何を言っているのかすぐに分かった。


「ざまーーみろーー」


私は・・・・・・その様に聞こえた・・・・・・・。


畑中さん。私・・・・・・・なにかいけないこと・・・・した?。


私は店内の床。自分の足下を見て・・・・・・すごい心のどこかで、大きなダメージをくらった感じになった。・・・・・・・・チカ。助けて・・・・・・。



 店内に一人の男性が入ってくるのが分かった。自動ドアが開いた瞬間、外の寒い風が私の足下にぶつかった。冷たい・・・・・。全てが・・・・冷たい・・・・・・。


「ユウ!終わった?」


「あっ!ケンタ!ごめん。もうちょっと・・・・」


この声・・・・・。どこかで・・・・・。え?・・・ケンタって・・・・。私は下を向いていた両目を自動ドア付近にあげた!


「堅太君!?」


「あれ?。・・・・・・遙佳ちゃん!?」


ビックリした。まさかと思って顔を上げたら・・・・・。そこには、相変わらずシャツ一枚着た、タコ焼きのソースの匂いでプンプンしながら入ってきた堅太君がいた。なんで。堅太君が・・・・・ここに?


「え・・・・?知り合いなの?二人とも。」


レジにいる女性店員さんが驚いて聞いてきた。そういえばさっき、この人も堅太君のことを知っているような感じに喋っていた。「ケンタ」って言ってた気がする・・・・。そうか!この人が堅太君の言ってた「大事な彼女」か!?・・・・・・。綺麗な・・・・・人だな。

堅太君が黙りながら、困っている私を見て徐々に状況を理解し。私の側に来て、いくら?。と堅太君の彼女に言った。


「・・・・・。じゃっカードで!」


「え・・・・。」


え・・・・!?堅太君・・・・。なんで・・・・。堅太君が私を見て、足りないんだろ。と言い。


「お金は全部返さなくてもいいから、それより紹介するよ!この人が俺の彼女。ユウだ!」


そんな・・・・。三万だよ・・・・・。堅太君・・・・・・お金。稼がないけないのに。


「あ~!あなたが。チカちゃんの友達の遙佳ちゃん!?。よろしくね。」


ユウさん・・・・。私は・・・・堅太君の大事な大事なお金を・・・・。

再び私は、床に向き。両目から涙が溢れた。私は。最低だ・・・・。最低の最低だ。堅太君とユウさんの大事なお金を・・・。その時、泣いていた私を見た堅太君が、私の横に来て、すぐそこの待ち合い席に一緒に座った。堅太君は私に、ハンカチを渡し。優しく支えてくれた。


「遙佳ちゃん・・・・。お金のことはほんとにいいから。ねっ。」


でも、でも・・・・・・・。


「すぐ貯まるさ~。三万なんて~。俺のタコ焼き有名だろ?。」


・・・・・・そんなに・・・・繁盛してないのに・・・・・。


「ほら!笑いなよ!!・・・・・泣いてばかりいちゃ。次に進めないよ!」


堅太君・・・・・。ありがとう・・・・。お金絶対返すね・・・・・・・。

その後、私は堅太君とユウさんに晩ご飯まで呼ばれて。家に帰った。




あっという間に。二日が経ち。今日からまた一週間が始まる。時刻は朝の五時。目覚まし時計が鳴り出す。窓のカーテンを開き、今日の天気は激しい雨のようだ。最近、雨の日が多い日々。「梅雨」の時期が近づいているからだ。一階に降り朝ご飯を食べ、朝風呂に入り、洗顔し、制服に着替え今日は久々に「伊勢神宮」に行きお参りをした。参拝している他の人は、今日は雨が降っているせいかまだ誰も来ていない。受付場所にいる巫女さんも今日は外に出て、竹ぼうきで掃除をしていない。今日は寒いなぁ。雨も昼まで降るそうだし、・・・・寒っ!行こ。

 参拝を終え、伊勢神宮の出口に向かい。出入り口の「宇治橋」を渡っているとき。宇治橋の真ん中で、誰かが「五十鈴川」を見つめながら全身「黒い雨具」を着た女性らしき人物が立っていた。初めて見る人だ・・・。県外の人かな?観光にしてはなんか様子が変だ。それにこの人、すごい「寂しい表情」をしている。私はその人の後ろを通り「宇治橋」を渡りきろうとした瞬間。一つの。私の頭や脳に透き通る「柔らかく」そして「綺麗」な「音色」が聴こえた。


・・・・・え!?。何・・・・・!?


その「音色」は私の背後から聴こえた。

 

 その「音色」の正体は、さっき宇治橋の真ん中で会った「黒い雨具」を着た女性だった。顔は雨具の帽子をかぶっていて、やはり寂しい表情。でも綺麗な肌に、細いあご筋に小顔な形。そして両手には、その「音色」を放つ物を持っており、口に付け「綺麗な美しい音」を演奏していた。本当に。綺麗だった・・・・・今日はこんなにも「雨」が激しいのに。この宇治橋の橋だけ降る雨は、小雨のように感じた。その「演奏」は数分で終わり、女性は「音」を出していた物を右手に持ち変えた。・・・・・・・「笛」だ・・・・・。あの人が演奏していた楽器は「笛」だったんだ。初めて生で聴いた「笛」の音は私の体に流れ、とても素晴らしい数分間だった。その人はその後、再び「五十鈴川」に目を向け。また寂しい表情にしていた。気づけば私は。小さな拍手をし、彼女にはこの拍手の音はこの雨のせいで聞こえないけど。本当に感動しました・・・・・・。今まで私は。「ベースのギター」にこだわり、日々「音源」を探してきた。でも・・・・たまにこうして、違う「楽器」を聴くのもわるくない。これも「新しい音源」に辿り着く道だと思った。まだ、頭の中ではあの「綺麗な美しい音」が流れている。次第に脳だけでなく、私の「心臓」にも反応し。少し心臓の鼓動がやや激しく動いている様に感じた。私は宇治橋の真ん中にいる女性に深くお辞儀をし、高校へと登校した。

 

 高校の門まで来て、「ある人」を探していた。・・・・・・今日は堅太君「休み」なんだ・・・。せっかく一昨日借りた「お金」持ってきたのに。堅太君は今日みたいに、特に「激しい雨」が降っている時は休みなんだ。だから、これから「雨の多い梅雨の時期」に入るから、これからはあまり会えないかもしれない。早く返したいな・・・・・。その後私は高校の「正面玄関」に行き傘を閉じようとした瞬間。一人の「男子生徒」に目が入った。・・・・・・・私だけでなく。他の生徒達もその「男子生徒」を見ている。多分、絶対見ると思う・・・・・。その人はこんなに銃弾のような雫で「激しい雨」が降っているのに。彼は全く傘をささずに、両手は制服のズボンに手を突っ込み。全身、カバンもずぶ濡れなのに、ただ平気当然のように歩いていた。・・・・・なんで?・・・・・罰ゲーム?。・・・・風邪引いちゃうよ・・・・。

 また、その「男子生徒」の髪型は黒いロン毛のストレートに伸び。その男子生徒の顔も見れないくらい伸びていて。とてつもない「オーラ」を感じた。他の生徒はその「男子生徒」にスマホでカメラで撮っていて、ブログやツイッターに投稿ー!。とはしゃいでいた。・・・・・・可哀想・・・・。そうだ!万が一のためにバスタオル持ってきたんだった!。あの子に貸してあげよ。私はその子が玄関に着いた時、雨をはらっているその子に「バスタオル」を貸してあげた。・・・・・これ使ってく・・・・・


「・・・・・・・」


その人は、「バスタオル」を貸そうとしたとき。左手で拒否し、何も言わず。学校内へと入っていった。・・・・・・・変な人・・・・・。


 バスタオルをたたみ、黄緑色のリュックに入れ。靴を下駄箱ロッカーに入れたとき、そこにあるはずの物が消えているのに気づいた。


「あれ?。上履きが消えてる・・・・・?」


なんで?どうして・・・・。一昨日確かちゃんとここに入れたのに。無い・・・・無い・・・・無い。


「おはよー。遙佳さん。」


私が上履きを探してい時、一人の「女子生徒」が私の横に来た。黒いカラーにフワリとしたショートボブの髪型をした畑中さんだった。・・・・・・・・お・・・・おはよう・・・・。


「え?なになに。聞こえないよー。ちゃんと挨拶するときは。」


畑中さんは、私の口を掴み


「口を大きく開けないと・・・・。フフ。」


別人だ・・・・。この間チカのお葬式にあった頃と全然違う・・・・・。一体どうしたの?畑中さん・・・・。もしかして。私が「遅れた」の怒っているの?


「一昨日は、ごちそうさまー。どう?お金足りた?フフフ。」


「・・・・・・・・」


「へーー。全部払えたんだぁ。遙佳さんて、お金持ちなんだね!」


恐い・・・・・。


「じゃ!またお願いね!今度も遅れてきてね!」


今度「も」・・・・・・?その後畑中さんは上履きに履き替え。私達の教室へと笑いながら走って行った。・・・・・やっぱり。騙されてたんだ・・・・・・。


 その後、どんだけ探しても見つからない私の「上履き」。仕方なく私は、きっと「指導部室」の落とし物箱に届けてあると思って、「指導部室」へと「来客用スリッパ」で向かった。「指導部室」は正面玄関から二階に上がり、二階の廊下を真っ直ぐ行き。渡り廊下を越えた所にある。時刻は八時三分。「朝の時間」まで十七分くらいあった。指導部室に入り。私の上履き靴が届いているか指導部の池田先生に調べてもらっている間、私は指導部室に置いてある色んな雑誌を見て待っていた。その時、指導部室の奥の部屋から「バシッ!!」と何か叩かれた音が聞こえた。ひゃっ!・・・・・・なに!?私はこっそり奥の部屋のドアから覗き見をした。その部屋を見た私は・・・・・・


「なに・・・・?あの人・・・・・。」


 その人は、髪の毛の色が「真っ赤」で、そして左半分はライン坊主に。右側の髪型はワックスで立たせやや髪が長い。その人の顔は、眉毛がなく両方の「耳」にもピアス三個はついていて。顔の長い・・・「悪魔のような顔した」生徒が、指導部の松木先生に説教されていた。


「痛って~~~~~~~笑。体罰じゃないすか~~~~~笑。」


「・・・・・貴様・・・・。ふざけてんのか?」


どうやらあの音は、指導部の松木先生に平手で「悪魔のような人」の顔にビンタをした音だったようだ。それにしても・・・・・・・すごい人。この人もここの生徒なの?・・・・・。でも怒られるのも無理ないよね。あの格好じゃ・・・・・・。


「大倉・・・・・・。お前。ええ加減おちつけ!もう三年だぞ!!」


「あ!ポリシーっす!マツッチャンもあるでしょ!ポ・・・・・」


バシッ!!


松木先生が、「悪魔のような人」の顔をまた、叩いた・・・・・。


「痛っ・・・・。へへ・・・革命ですよ・・・・・もうすぐ革命が起きるんすよ・・・・。」


「は~。大倉。頭冷やせ・・・・・。」


なんだろう・・・・・・、この部屋。

またすごい「オーラ」が感じる・・・・・。


結局。指導部の「落とし物箱」には私の上履きは無かった。こうしている間に。「朝の時間」まであと十分。やばっ・・・・急がないと。私は慌てて自分の教室へと走って向かった。教室に入り、ふとおかしな「机」が教室の後ろの方に離れて置いてあった。誰のだろう・・・・?あんな席。後ろにあったっけ?。私は不思議そうに見て、自分の席へと歩いて行った。席に座り、自分のリュックを置こうとした瞬間。


バンっ!!


!?


私の机に、誰かが両手でおもいっきり机を叩いた!!


え・・・・・・!?


その人は。私の前の席にいる長谷川さんという女子生徒だった。


「ここ。私の席なんだけど・・・・。笹木川さん。」


「・・・・・。だって。ここは・・・・。」


私の隣にいる畑中さんが。


「フフ。遙佳さん。席替えしたんだよ!あなたの席は~~あっち!!」


畑中さんが、笑いながら後ろの方の離れた席に指を指した。


あっち・・・・・・・。その「席」はさっき教室に入るときに見た。あの机だった・・・・。嘘・・・・なんで・・・・いつ席替えしたの?・・・・・


「正式で言うとー。遙佳さんだけが真後ろの方にいった!フフフフ。」


「・・・・・・・。」


「とりあえず~~。進級するまでねっ!皆で決めたんだ!!ね~~。」


クラスの女子が一斉に「笑った」。残るクラスの男子もつられて「苦笑い」している・・・・・。やだ・・・何これ・・・・・。絶えられない・・・・・。私はそんな空気の中。「真後ろ」に離れた席に座りとりあえずリュックを置いた。おかしい・・・・・おかしいよ・・・・。目の前では女子達が畑中さんの周りに集まり、私を見て笑ってる。・・・・・・・リュックの中に入っていた教科書を机の中に入れようとしたとき、机の中から。「ある物」が出てきた。


・・・・・・!?


私の「上履き」だ・・・・・。


どうして・・・・・ここに?。

 その時、私は目の前の「女子の集まる」畑中さんの方へ向いた。笑う畑中さん。指を指して私を笑う皆。そして前の席にいた「長谷川さん」と「畑中さん」が嬉しそうにハイタッチをしている姿が見えた・・・。そういうこと・・・・・。全ては計画だったのね・・・・・。気づけば「男子生徒達」も私を見て笑っている。・・・・・スマホでカメラで撮っている人もいる。


悪夢だよ・・・・・・。


ねぇ・・・・。チカ・・・・。


私、何かいけないことした?・・・・・


その後私は、この状況に絶えきれず。気づけば教室を出て。廊下をおもいっきり走っていた。走って!走って!ただ泣きながら・・・・・泣きながら走っていた。もう・・・・やだよ・・・・・やだよ・・・・・たまに、廊下で歩いている「先生」に「走るな!」と注意される。そんなの、どうだっていい!今は走りたい・・・誰も。今は・・・・・私に関わらないで!!。



 どれくらい走っただろう・・・・・。気づいたら、廊下の柱に座っていた・・・・・。時刻は・・・・あ!腕時計・・・・どっかに落しちゃった・・・・・。どんくさいな・・・私。




本当に。どんくさい。



「ほらよ。」



私の左手の掌に、何かが触れた・・・・・。


「これ・・・・私の腕時計・・・・?」




「甘くて」。


「優しくて」。


「爽やかな」香り・・・・。


「彼」だった。


その人は、髪型は「黄緑色の色」にボサボサな頭に、まるで「青林檎のような髪型」した男子。その人は何も言わず。すでに奥の廊下へと歩いていた。・・・・・言わなきゃ・・・・・あの人に「何か」言わなきゃ・・・私は立ち上がり。彼の方へ・・・・・「言った」。



「あの!?」



「?。」



「・・・・・・・。」



「なんだよ・・・・・。なんで黙ってんだよ!」


再び、彼は歩き始め。姿を消そうとした・・・・。ダメ・・・・。


「なんで・・・・・助けてくれないんですか!?」


「はぁ~~~?」


何言ってんの。私。他に言うこと・・・・・でも。



「何言ってんの?お前?。だって今んとこ「心臓」元気やん。」


「心臓・・・・。」


「ちょっと。話がわかんねぇよ!・・・・あっ!そうだ・・・・・」


「え?・・・」


「まっ!いいか。また言うわ!じゃっ!」



心臓?・・・・違うよ・・・・・。私が言いたかったのは・・・なんでクラスにいないの?って言いたかったんだよ・・・・ようやく、その「言葉」に辿り着いた。でも、言えなかった。もし、あの時あの教室で「あの人」がいたら「助けてくれた?」どうだろう・・・・・。わからない。でも、私が倒れた時は「助けてくれた」。どうして貴方は。急に出てくるの?。それに、何を言おうとしたの?本当に謎だらけだ、あの人は・・・・。また会えるよね?。その人の姿はもうなかった。


 渡り廊下を抜け、教室へと戻っている時、階段を上がろうとした瞬間。三階から一人の生徒が降りてくるのが分かった。変だな。時間的、まだ一時間目の真っ最中なのに。誰か具合を悪くして保健室に移動しているのかな?

 その「生徒」は少しハイカラな音楽を流しがら降り、私はその「生徒」の姿を見て驚いた。

髪型は大きい帽子が後ろにかぶっていて、やや髪の長い。耳元には・・・・ヘッドフォンしてる・・・・それに、ミニスカートだし、丸いグラサンもしていて!?小顔でお化粧をした「派手な女子生徒」だった。見た感じ。「校則違反」なんだけど・・・・・。同じ一年生なんかな・・・・。


「ちょっと。邪魔なんだけど。」


「はっ!す・・・・すみません!」


え?邪魔?・・・・階段はまだ二人歩けるスペースあるのに、なんで避けずに真っ直ぐ降りてくるの?「校則違反の人」はそのまま、音楽を聴きながら一階へと降りていった・・・・。たまにここの高校はあんな「変な人」がいるんだな?・・・・進学校なのに。許して良いの?。・・・・・そろそろ教室戻ろうかな。戻りたくないな。私はまた「あの教室」へと脅えながら歩いて行った。

 

 廊下の窓の外は、まだ「雨」が降っている。真っ黒な雲に、たまに光って「ゴロゴロ」と鳴り。空の上では今日は「鬼達のお祭り」のようだ。急だけど、私ね!雷の「音」が大好きなんだ!幼い頃は「大」が付くほど嫌いだったんだけど、いつの間にか、中学の頃から「雷」のあの「ゴロゴロ~」って鳴る音が痺れるほど大好きになった。多分好きになったきっかけは、あの「ベースのギター」を買ってからだと思う。ほら!ギターも弾くと雷みたいに、電光石火のようにカッコイイ音だすでしょ!おそらくその音が私の耳に慣れてきて、次第に「雷」の音が好きになっていた。だから、いつも雨の時、空が黒く黄色く光っている時は、いつも思うんだ。「今日のお空の上はライブだ!」って!・・・・まぁ皆普通そう思うか。



カッ!!・・・・・・ゴロゴロゴロゴロ・・・・



 私は、今一年S組の後ろのドアにいる。・・・・・開けたくない・・・・。きっと、また笑われる・・・・でも授業は出なくちゃいけない。一つでも授業サボると成績表に「赤点」と同じ評価が付けられてしまう。・・・・・やっぱり出なくちゃ。・・・・・・よし!入ろう!


ガララララ。



 教室の空気が一斉に変わったのが分かった。静寂した教室。三十五人の人間の目が私に「睨んでいる」事が分かる。それでも、私は目を合わさない。例えどんなに注目されてても、どんな風に思われててもいい。 私はクラスの「真後ろの一つ離れた」席に向かい、座った。・・・・・まだ、見ている。声は聞こえない。ただすごい睨んでいる事は分かる。私は机の下をただ見つめるだけ。早く学校終わらないかな・・・。そこに、一人の「生徒」が私の元に近づいてくるのが分かった。

 


 畑中さんだった。



私は彼女を見て。脅えながら。心臓が激しく動いていた。


「まだ、負けてないから!!」


え・・・・・。負け・・・・?


「とぼけんなよ!あんたが一位取ったって、なんも悔しくないんだから!」


一位?・・・・・なんの話をしているの?。畑中さん。


私は。恐る恐る、教室の黒板の方へと目を向けた。そこには「まさかの」報告の紙が貼られていた。



「新入生学力テスト一・・・・・位・・・」



笹木川 遙佳 一年総合一位。


「嘘・・・・・・・。」



教室にいる多くの三十五人が驚いていた。・・・・・なんで・・・・・あまり勉強してなかったのに。それに、「チカ」のこともあって。テストに集中できなかったのに・・・・。これは喜んで良いのか。喜ばなきゃいけないのか・・・・私が・・・・一位!・・・・やっ・・・


「どうせ、カンニングしたんだろ?」


え?


「そうだよ。だってアイツ、俺ら帰った後、一人で受けたんだろ?その時に教科書とかみてな・・」


「ふざけんなよ。そこまでして一位取りたいか?普通ー。」


「うわっ。さいてー」


「きもっ。」


「たかが学力テストでよー。」


そんな・・・・・私・・・・・カンニングなんか・・・・


「ふ~ん。あんた、カンニングしたんだ。」


畑中さん・・・・・。


クラスの皆が、私が「カンニングした」って思われている・・・・・・。違うよ・・・・私は、ちゃんと正式に何も見ずにテスト受けたよ・・・・・。何勝手なこと言ってるの?・・・・そうだ!その時ちゃんと担任の小山先生がいたもん!・・・・・ねっ・・・・小山先生・・・・私、してないよね・・・・


「そうか~。笹木川。お前俺がゲームしている時に、カンニングしたんか。どうりでパラパラと音するはずだ~」


!?


せんせい・・・・・ゲームしてなかったじゃん・・・・・ずっと・・・ずっと他の生徒のテストの採点してたじゃないですか・・・・・。



嘘・・・・言わないで・・・・・。



「おい!笹木!お前カンニングしたら、停学だぞ?分かってんだろ?あ?」


こいつ・・・・・


「あんた・・・・・マジでキモいよ。」


畑中・・・・・。


「てーがく!てーがく!てーがく!てーがく!」


お前ら・・・・・



「いつまで。落ち込んでんだよ。停学ー。」




キレた。



私は。心の中で押さえつけていた「怒」の感情が爆発し、この「言葉」をクラスの皆と畑中と小山にぶっつけた!!


「××××××××××××××××××××ーーーーーーーー!!」




多分・・・・・言ってはいけない凄いことを言ったと思う・・・・・。


あまりの爆発だったから・・・・・。自分も何を言っていたのか分からない・・・・・。



教室は静まりかえっている・・・・・。


まるで。ここの教室だけが焼け野原になった感じ。



お願い。このまま・・・帰らせて・・・・・。



「プッ!!」


小山が笑った・・・・・。


次第に皆が笑い出す・・・・・・。


やめて・・・・・やめて・・・・・やめ・・・・・



ガラララララララララララ・・・・



その時、教室の前のドアから、誰かがおもいっきりドアを開け。一人の「男子生徒」が教室に現れた。



「ちッ!・・・」


その男子生徒は、突然走り出し。担任の小山に向かって・・・・・


右拳を強く握り。担任の小山に殴ろうとした・・・・


「え?・・・・ちょちょちょ・・・・ひっ!?」



教室は悲鳴と驚きに天井に舞い上がっていた・・・・・・。



「やめた。こんな奴殴ったって、何も変わらね・・・・」



その男子生徒は、そのまま教室の後ろに歩き出し。自然に畑中さんも避けていき。


そのだんし・・・・いや。


あの「青林檎の髪型」した男子は・・・・私の所に来て、彼はそっと手を出し。



「俺らの住処、来いよ・・・・・・。変えるぞ。」



彼の手に掴み。私は彼と共に教室を出て走っていた・・・・。




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