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私の音源は、心臓・・・・  作者: 三秒前の金時豆
3/9

イントロ2

 あの騒動から三日が経ち、学校はまた平和と勉強で追われる時間に戻っていた。

あの放送事件で十何人の生徒が怪我をし、器物破損、近所迷惑が起こり、最悪なことに警察まで出てくる騒ぎになった。

主犯格である「男子生徒」は自ら自分の足で職員室に行き

「さっきの放送、どうだった?スッキリしただろ?」

当然、先生達は「男子生徒」に怒り一時退学にする話までいっていたみたいで、もしくは鑑別所にでも入れる話までなっていた。でもなぜか彼は退学もせず停学も鑑別所にもならず。一週間の自宅謹慎になったみたい。

 多くの職員の先生やPTAの人たちも反対したみたいだけど、ここの高校の理事長と校長の話で今回の件は丸く収まったみたい。噂はいっぱいあるみたいけど、この事を知っているのは「理事長」と「男子生徒」だけ。校長はただ理事長の命令を聞いているだけの金魚の糞みたいな人間だから、真相は知らない。

でもこの事件は高校始まって以来の大きな事件になった・・・・

「ハルーー!帰ろーーー!」

「うん!行こ!」

 チカが今日も元気いっぱいな笑顔を見せ夕方十六時に一緒に帰宅した。チカが帰りに学校近くのCDショップで好きなバンドの新作を借りたいと言い、当然私も好きなバンドだったから、

「いいよ!今日だったよね発売!!あるといいな~」

「フフフ!予約してあるから心配ありません!」

「え?できるの!?」

「嘘。」

 私達二人はお揃いの黄緑色のリュックを揺らしながらCDショップに向かった。まだ少し肌寒い夕方の五月の春の季節。今日も一日働いた社会人達が車で国道を走る光景。どこかの大学生か専門学生がスマホや資料見ながら帰宅する人影。今日も変わらない平和な夕方だった。高校からCDショップまで、徒歩で十五分ありその近くに食材を売るスーパーやコインランドリー、ファミリーレストランが並ぶエリア。生活用品店が密集する所があるんだ。当然大きな駐車場が存在してあり、毎週この時間帯はいつもいっぱいに車が停まる。CDショップはこの広場の国道沿いにあり、この広場で三番目に大きいショップ。いつもは入り口付近にお好み焼き屋さんの屋台があるんだけど、今日は休みたい。ショック~・・・・

「んーーーーっと。・・・・」

「・・・っあ!?」

 二人同時に「あったよ!!」どんだけ仲が良いんだよ私達。フフ・・・

丁度最後の一枚残っていて、レジに支払いに行きCDショップを出た。

「まったくぅ~~。翌日返すの早いんだよ~!!」

「新作だからね、しょうがないよ。」

チカがブーブー言って。私がまぁまぁと返し、すぐそこの珈琲レストランに入った。高校入ってから週二日は通う珈琲レストランで学校の宿題をしたり音楽のミーティングする場所にもなっていた。

「今日の数学分かった~?チカ全然わからなかった~」

「う・・・チカ始まって即寝てたもんね・・・」

「数学捨ててるからね~」

来週の月曜から始まる新入生学力テストが近づいていて、少し勉強に追われていた。私はなんとか全教科大丈夫なんだけど。チカはヤバいみたい・・・数学は勿論、英語も苦手なチカは結構焦っていた。

「それでね。ここはAを・・・・」

「フムフム。zzzz」

「チカ!!」

「おっ!わりわり。」

勉強会は一時間で終わり、残り三十分はメインの「音源」作りのミーティング。いつもは一時間は使うのだけど、試験や大事な時は反たいに使っているんだ。ミーティングの時チカは自分で考えたオリジナル歌詞を書き出し、嫌いな英数の時より真剣に執筆する。中学の頃から国語と作文力の得意なチカ。「フフフ才能~。」とたまに自慢する。悔しいけどチカの描く歌詞は確かに心に染みてすごく良いんだ。本当にヤバいよ。私は流石に店内は楽器は持ち込めなくてスマホの音楽アプリで購入した、様々の種類の邦楽や洋楽を聴き、良いのがあればそれをチェックし、リズムを掴んだりしている。

「・・・・っあ!そういえばもう少しだよね!ギタコン!」

「そうなんだ~。自信ないよ~」

「大丈夫だよ!ハル、去年良いとこまでいってたやん!次は獲れるよ」

「プレッシャー・・・」

 ギタコン。つまりエレキ・ベースギターの新人コンクール。去年の中三の秋にチカが勝手に私を応募し、まさかの体験をしたコンクールである。このコンクールは春夏秋冬にあり初心者や新人には腕が上がるイベントなんだ。まだその頃はベースを購入して一ヶ月だったから弾き方を知らない私達だったけど、一応私達の中でマシな弾き方する私は歌詞を書けるチカより上手かった。

「もしかして!ハル、一位とれんじゃない!?」

「え~・・・そんな甘くないよ~。」

結果。まさかの三位と最優秀特別賞貰った。んなアホな・・・・。

「すごいじゃん!すごいじゃん!ハル格好良かったよーーー!!」

これは夢だ。これは夢だ。と自分に言い。まさかの信じられない結果だった。誰からも教わっていないのに、ただ頭の中で即興作った「音」を披露したら、まさかのこの会場と審査員が拍手する光景が見えた。やめてよ・・・なんなのこの状況・・・それは、今までに感じたことの無い達成感とアドレナリンが身体と心に伝わり、最高な感情だった。さすがに音楽プロデューサー来るのかな?と思ったけどこんな田舎の県のコンクールに居るはず無いので声は無かった。調子にのるな自分。

その日以来。チカは本格的に歌詞の方に専念し。演奏は私の方が多くなり、いつの間にか毎日私が家で練習していた。いいの?チカ・・・。このベースは私達で買った二人だけの楽器だよ・・・私ばかり独占していいの?・・・

チカは言ったんだ。

「何言ってんの。そのベースは間違いなくハルのだよ!私みたいな歌も音もマスターできない凡人が弾けるわけないもん!それに私には歌詞が書ける。私の作った歌詞をハルが歌い。演奏する!いわば私はゴーストライター!フフフ」

バカチカ・・・・無理して・・・・

「だから!来年の春は一位取ろうね!今度は私の歌詞とハルの音で。」

「なにより演奏しているハルの姿を見るのが一番の幸せなんだ。」


チカ・・・・


その時のチカの顔の表情は今でもすごく覚えている。・・・・・・違う・・・・あれは。

「ねぇ!ハルゥ!聞いてる!?」

「はっ!・・・ごめん、なんだっけ?」

「だ~か~ら~。今度の春コンだよーー!」

それから、ファミレスを出て辺りは暗くなりつつ三重の太陽が海に沈み、満月の星が夜空を浮いていた。

時刻は十八時前。今日は花の金曜日、世間は明日の土日は休暇やイベントとかで楽しむ日本国民。

私達も金曜日の夕方は特に楽しみで、その楽しみは私とチカだけの大事な時間にしている。別にそれは勉強でも遊びでも音楽には使っていない。毎日毎日私達は学校の勉強や進学に追われる毎日で。中学の頃より二人だけの時間が減ってきた私達。今こうして会えていられるのもこの金曜と木曜だけ。普段は朝から一緒に登校して、教室でも一緒に勉強して休憩時間も共に過ごしているけど。いつもほとんどの週の初めの月から水の三日間は勉強に追われていて、帰りの放課後はいのこりとかや委員会の活動があって一緒に帰れないんだ。

それでも学校終わってから私達のどっちかが門で待っていて「今日はチカがいのこり~」と言って、そのままどこもよらず家まで真っ直ぐ帰るんだ。だから何もいのこりも無い木金の夕方は楽しく過ごしていくことに決めたんだ。いつもこの時間帯の金曜日はね。絶対立ち寄ろうと決めている場所があるんだ。

 「さぁ~って!温まりますか~」

 「今日も疲れたよね。寒ぶ・・・・」

 このエリアではもう一つ大きな施設があって、それはそれは綺麗な光を出しながら、温かい蒸気を出し、木材やコンクリートでできた伊勢市で一番疲れを取れる温泉「楽屋の湯」。多くの伊勢市民や観光客も出入りして、最近ではこの「楽屋の湯」を求め北海道、沖縄から来る人も多いんだって。

 「ハルゥ~。着替え持ってきた~?」

 「え?チカ忘れたの?」

 「よしよし。今日は大丈夫みたいね。」

先週は、私が着替えを持ってくるのを忘れて、チカははりきって持ってきてたんだけど、その日は温泉入るのやめたんだ。ごめんね。チカ・・・その時は色々あって・・・・って言い訳~~。

 店員さんが心地よい「いらっしゃいませ。」と出向い。コインロッカーで靴を入れ、自動券売機で高校生まで学生料金だから五百円を入れ二枚購入。受付の人に券二枚渡し、そして大きなロビーを通り、奥の通路へと歩き、マッサージコーナーを通り赤い旗がある入り口へと入った。今日は金曜日だから結構他のお客さんが多く家族連れの人も多かった。チカが、ブレザーをたたみながらドライヤーで濡れた頭を乾かす親子を見て、

 「いいよね。・・・あの感じ。」

 「え?」

 「あたしもさ。いつか子供ができてこの場所で温泉来て家族団らんするのも理想なんだ。」

 「いいよね。私もそう思うよ。」

 「さっ!温泉!温泉!」

あっ!ここからはプライベートなので。しばらくお待ち下さい。

ふぅ~~~。良いお湯でした。私服に着替え。頭を乾かし、忘れも物ないかチェックして最後にこの部屋にある飲料自動販売機でコーヒー牛乳二本購入して、「今日も一日お疲れ様でした!」と乾杯し一気飲み。そして、ロビーにあるゲームコーナーでチカがたまに「やろ!やろ!」とはしゃぎクレーンゲームして取れずに終わるんだ。そして温泉を出てここまでいつも十九時丁度。今から家まで歩いて帰ると流石に温まった体が冷え湯冷めし、風邪ひいちゃうから、いつも駐車場には・・・

「お~い!。こっちこっち!」

チカの親戚の人、私達の通う高校前で小さな「たこ焼き店」経営している。二十八歳の男性。堅太君がいつも家まで送ってくれるんだ。車はミニバンで、最近新車で買ったらしい。堅太君はまず車内に入ると、ちゃんとシートベルトしろよ~。っと毎回言い。私達の家まで安全運転で責任持って送ってくれる。優しいおじ・・・失礼。お兄さん。チカと堅太君は兄妹みたいに仲が良くていつも楽しそうに会話している。私もその会話に入って色々相談したりして話すんだ。私も堅太君みたいな兄が欲しいなと最近思うようになった。

「じゃっ!ハル!また明日ね!」

「うん!チカ!また明日ね!」

おやすみーーーーーーーー!!

こうして一日が終わり、また平和な明日が来るんだ。

 

 時刻は十九時二十分くらい、家の門まで来た時、・・・・・・・何?

辺りは誰も居ないのに、これは猫でも野良犬でも無い変な視線を感じた・・・・・

まさか・・・・幽霊!?・・・・でも違う・・・・

 ゆっくり。ゆっくり。私の背中から感じる視線をゆっくり振り向き。その謎の正体を確かめた。

「やっと。帰宅か~。帰宅部にしては遅い帰りだな。」

「・・・・・・・」

え?・・・・・誰・・・・・・?


黒いパーカーに。黒いジーンズに。身長は少し小柄。左耳にピアスをし。両手をジーンズのポケットに突っ込んだ男子。そして、甘く。優しく。爽やかな。まるでシャンプーして風呂上がりのしたような温かい香り。何と言っても・・・・驚いたのは、その男の子の髪型。髪の毛全部が黄緑色と明るめの緑。そうまるで青林檎のような色。ナチュラルな髪型に少しボサめ。


「だ・・・・・誰で・・・・すか?」


「は?・・・・そっか・・・・覚えてねぇか。」


男の子はそのまま私の所に近づき、黒いパーカーの内ポケットから何かを出し。私に・・・


「届けたぜ。落とし物・・・・じゃっ!」


「何・・・・・!?」


その男の子から貰った、謎の何かは・・・・滋賀で無くした中学校の頃の学生手帳だった。なんで?・・・どうゆうこと?・・・・なんで君が・・・・・持っているの?


男の子は歩きながら、振り向かずに言った。


「風邪引くなよ~。アカフクーーーー。」


アカフク?・・・・・・え?・・・・なになになに!?・・・・・恐い・・・・


ていうか。


ストーカーですよね。



次の朝。いつもより三十分寝坊した。母が何度も何度も起こしたみたいけど五・六回目の母の声で目が覚め、机に置いてあるスマホには、チカからの・・・

「ハルー!オハヨー(^^)/」

が今日も来ていて。

「オハヨー(^^)/寝坊したーー(-_-)zzz」

「マジか!?・・・・おやすみ(^^)/」

「いやっ寝んな!!」

朝からこんな会話を繰り返し、また勉強に追われる一日が始まった。今日は土曜だけど私達の行く高校はちゃんと十七時まである進学校なんだ。もし一日でも休むと「赤点」に近い評価をつけられるし、ほとんど休めない感じ。一応日曜日は休みなんだけど。流石に一週間の六日間一日勉強はキツいよね。でも・・・・そんなことより。一番キツかったのが。昨日のストーカー。昨日の晩ご飯からあのストーカーの男の子思うと、ご飯が食べれなくて今日なんか寝坊したのもあのストーカーのせい。本当にヤバかった・・・・。いきなり声かけてきて、帰り遅いね。とか、落とし物届けた。とか風邪引くなよって・・・・・キモーーーー。絶対ストーカーだよーーー。警察に相談した方が良いかな・・・・まだ誰にも言ってないんだけど・・・したほうが良いよね・・・・絶対・・・・でも・・・・う~~~ん。どうしよ・・・・・

「絶対。ストーカーだよ!それー!」

とりあえず。チカに相談した。やっぱりこういう時に力になるのは友達だよね。

「警察!?警察なんて役に立たないよー!そういう出会いが恋へと変わるんだから~」

「うん。うん。・・・・・・へ?・・・・はい!?」

なんでそうなる!?てか!聞いてたチカ?。ストーカーだよ?何言っているか分かってるの?

「だって。その人ハルの無くしてた学生手帳をわざわざ届けてきたんでしょ?」

「ま、まぁそうだけど。・・・・」

「じゃ~ストーカーじゃないじゃん!多分その人、滋賀の人でハルの住所を見てここまで遙々届けてきたんだよ~親切な人じゃん。」

「・・・・・・・」

「それに。最後のセリフとか。フフ。気があるんじゃない?」

いやいやいや~それはないでしょう~。ともかく確かにチカの言うとおり「ストーカー」でないかもしれない。もしその人が滋賀からここ伊勢まで届けてきてくれたのなら、ちゃんとお礼を言わなければいけないし、何も言えずに去ってしまったから、失礼なことをしたなと思った。

「で?連絡先交換したの?」

「・・・・・してない。」

「ええええええ!?、じゃ~もう会えないじゃん!!」

でもいいんだ。それで。元々私は人見知りでチカ以外他の人と連絡交換したことの無い私は、しなくてよかった。

「しなきゃいけないの!!も~!ハルの悪いとこだよ!そういうとこ!」

「ごめん。・・・・・」


そんな会話をしながら私達は、学校の教室の前にいた。教室の後ろのドアを開け、その瞬間あの香りを思い出した。普段教科書や文房具、黒板のチョークや色んな課題のプリントの勉強の香りで漂う教室が今日は・・・


甘く。


優しく。


爽やかな香りが教室の中の九割を支配していた。その香りの「源」であろう、教室に入ったときに真っ先にその私の目線は教室の後ろで窓の外を見つめる「男の子」に目を向けていた。


「・・・・・なんで。・・・・ここに?」


「お?よう!昨日はどうも。」


私は、驚いた。私は彼を見て、すぐその男の子は昨日の人だとすぐに分かった。服装は今日は私達と同じ制服で、少し制服のズボンを腰パンし、上履きはかかとを踏み、相変わらず両手はズボンのポケットの中に突っ込んでいて、何を隠そう。その目立つ黄緑色の青林檎の様な髪型。


チカはポカーーーンとしているし。他のクラスの皆はヒソヒソ話ししてるし。そして私はその男の子の方へと歩いているし、私は思わず・・・・・


「ストーカーですよね。」



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