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彼女達をつれ店の前までくると表の看板をオープンに変え店へ入っていきカウンターへと進みます。
「ドランク武具店へようこそ」
「勝手に入っていったから、おかしいと思ったけど」
ハイルさんは新緑を思い起こさせるようなローブをゴソゴソと動かしながら背負った弓とラクリマの結晶をいくつか取り出しました。
「この弓の調整と矢を作って欲しいの」
えっと結晶を出したところを見ると、この結晶を使って矢を作るのね、それで真っ白な弓だけど素材は何かしら?ドュークさんのフレイムバードと同じような感じだけど優しい鼓動がしています。
私が弓を持とうとするとハイルさんは何やらニヤニヤしてますが気にせず手に取りますと風が巻き起こりましたが、すぐにおさまりました。
(良い子ですね、やはり持ち手を選ぶ武器さんでしたか)
錬金鍛冶として武具の鼓動を感じるのが一番大事なのです!
なぜならば持ち手を選ぶ武具さん達といえども修復は必要ですし作り手しか修復出来ないなんて意味ありませんから!と言ってもナイフ一つ作れないんですけど。
心の中で苦笑しつつ確かめるように弓に触りますがわかりませんでしたので師匠にパスです。
そうこうしているうちにハイルさんが代わりの弓をとおっしゃいましたので店に数本あるものを用意させてもらいました。
「今あるのはショートボウ、ロングボウとクロスボウガンですね」
「他には無いの?これじゃ」
残念ながら師匠は華美な武具は好まず長く使えるものを良く作ってらっしゃいますからと心の中で呟くとハイルさんはロングボウを手にとっておられますね。
「あのドランクさん」
「はい?」
あれ、おかしいですね私はルーンと名乗ったはずなのですが、どうやら名字が何かと勘違いされているご様子でして。
「見た目はアレだけど使えそうね、あと矢もお願いするわ」
「あのドランクは師匠で私は、ただの弟子のルーンです」
「こんな良い武器を、こんな若い女の子がって不思議に思ったんだけど、ごめんなさい」
今は何も作れませんが、いつか師匠のような職人になるんです!
口には出せませんがね情けなくて。
「この矢に使うラクリマは、どのぐらい分割しますか?」
「十本が限度じゃないかしら?その量だと」
「承りました」
弓と矢で一万と二千ジェニーになりますね修理は師匠がいないとなんとも言えませんね。
「すいませんが師匠が居ないですから、はっきりとはお答えできませんが大丈夫でしょうか?」
「えぇ、あなたの師匠が帰ってきたら相談して頂戴、十万までは用意してるから、それ以上になるなら冒険者ギルドにある宿に連絡してちょうだい」
その一言を言うと足早に去って行くのですが私より2つぐらいは若そうなのにしっかりとしておられます。
(やはりお金持ちとは言えご苦労なさってるんですね)
そんな勝手なことを思いつつ代金を受けとると帳簿をつけているのでした。