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1ー2

ダンと別れて夕飯の買い物を済まし工房へと戻ると午後の雑用の仕事をしながら店番をすると色々な人達が、この工房に足を向ける。


前に一度、冒険者ギルドへ仕事の都合で行ったときに聞いたことがあるの、どれぐらいの人がダンジョンへと赴き帰ってくるのかって。


そして帰ってきたのが年間1000人いれば体に支障がない傷で帰れるのは300人程度だろうと、これは1年を通した数字らしく段々と自分の限界を知って行きながら進めば更に生存率を上げるしギルドではパーティの仲介もしてくれるの。


私も3年以上ここに住んでるから顔見知りも、いっぱい出来たけど会えなくなった人も多いし複雑な気持ちも多いのです。


一度ダンに何でパーティを組まないのか聞いたら《パーティでやれば効率が良いかもしれないけど仲間がいるからって過信するかもしれない、だからかな》そんな風に言っていたことを思いだし、そんな風な考え方もあるのねと、その頃の私は思っていたの。


けど師匠も言っていたけど《仲間が居れば意見も、それだけあるんだ揉めたりだってあるだろうし先に進めば危険も多いのは分かってるのに油断する》だそうだ。


でも、ダンのことは心配してるみたいで《一人でも背中を任せられる相棒を見つけろと》口を酸っぱくするほど言っている気がする。


この間、師匠と鉱山に連れてってもらった時にダンジョンの入り口へと連れてってもらったのだが入口から少し入ったところに羽根を生やし祈るように手を合わせた美しい女神様の像があって、それがダンジョンからモンスターを外に出さないようにするための道具らしかった。


各地でダンジョンが発見されると教団の人達が、この像を建て管理するという。


その後のことは彼ら教団から冒険者ギルドに任せているのだがダンジョン前には少し割高になるのだがアイテムやショップなどもあり入場時間は制限され出ることしか出来ない特殊な魔法が込められている。


「おいボケっとしてないで客の武器を修理するぞ」


「はーい」


二人は工房へと入ると今までだらしなそうにしていた親方の顔つきが一気に真剣なものへと変わる。


熱く熱せられた釜へと精錬し純度を高めた鋼を入れ真っ赤になり取り出したときに肌を焼くようにチリチリとした熱気が発せられます。


高度な錬金鍛冶師になると手に持つハンマーは光を放つようにも見えます。


私には、まだ欠片も、その片鱗は見せられないのですが来る日も来る日もハンマーを振り続けると鍛冶の神が宿ると言われているのでした。


鍛冶師は自分で使う道具も自分で作るのですが、まだ不出来で不細工な物、師匠が持つ不思議な力が宿る道具には遥か届かぬものであるけれど私も、いつか自分が満足するようなハンマーを作り出したいと振り続けます。


「良いかルーン、金属ってやつは打てば打つほど中の金属は密着し強くなる!その理屈は金属の粒子が細かくなることとかって言ってたけど俺には分からん」


「はいっ」


トンッ


カンッ


と小気味良いリズムが工房に響きます。


「職人ってやつぁ素材の声を聞いて出来映えを判断できんだ!お前も先に進めば、ちったぁ見えるかもしれねぇ」


「はいっ」


いくつもの修理に持ち込まれた武具を治し終わる頃にはお日様が窓から射し込んできました。


師匠が、ほぼ全てのことをしたとは言えども少しは手伝ったのですから、ほんの少しだけ誇らしく思いながら朝日に照らされるソレを眺めていると隣でイビキをかきながらドランクさんは、その場で横になると寝てしまいます。


(いつものことながら仕事が終わった後の師匠はダメドワーフです)


私が毛布をかけると自分の部屋へと戻りベッドに倒れこむように横になると、そのまま夢の中へと旅立つのでした。


店の方が騒がしいと思って目を覚ましたのですが部屋の中が暗いのが分かり慌てて起きたのです。


「やばいっ、もう夜!?」


師匠も起こしてくれれば良いのにとも思ったのですが自分が起きられないのが悪いので、そんなことも思えず急いで着替えると外に出ながら髪を結ぶと店に置いてある丸いテーブルに二人の男性が座っておりました。


一人は紛れもなく師匠なのですが、長い銀髪に整った格好をしている男前な方はどなたでしょうか?


「よぉ起きたか寝坊助」


「もうっ師匠たら怒っても良いから起こしてください」


「寝坊してるほーが悪いんだろガッハッハ」


「そうなんですけど」


師匠は見た目は眼光鋭く恐ろしい顔をされていますが、とても優しい方で、もちろん鍛冶のときは鬼のように怖いのですけど、それ以外のときは結構ゆるいドワーフさんなのでした。


そして酒を呑みながら銀髪の男性が軽く頭を下げられたので師匠の古い友人だろうと頭を深く下げるのです。


「こいつはなションベン垂れてた頃から知ってるやつでドュークだ」


「淑女の前で、その紹介はないでしょうドランク様」


二人は仲が良さそうに友人というよりも親子のように見えるような関係に近いと私は感じました。


「わっ私は師匠の弟子でルーンと申します」


たどたどしい挨拶になってしまったのですがニコリと気品溢れるような顔で私に微笑んでくださいました。


「今日ドランク様のところに伺ったのは私の剣を治してもらえるよう頼みに、そのついでに顔を見せに来たのですよ」


自分の腰の剣、それは細身だがレイピアとは違い肉厚で細身のブロードソードと言ったところでしょうか剣身には美しい模様が描かれており実用品というよりは装飾品のように見えますが歯こぼれしていたり、ところどころ傷んでおり悲しそうです。


「これはフレイムバードと名付けられた剣でな先日とある理由で傷んでしまったのだ」


手に取ろうとするとドュークさんが止めようとするのですが時はすでに遅く手に持っていたのです。


(何故でしょうか?何か不思議な感じがするのですが)


それが何故だか私を拒否するような感じがしたのですが手に持った瞬間それが穏やかな物に変わって行ったのです。


「君は一体・・・」


「はい?」


私はドュークさんの言っている意味は全く分かりませんでしたが師匠は何かニヤニヤとしてエールを口に運んでらっしゃいます。


「まぁ、気にすんな!それよりも寝坊助、ちょっと酒場で冷えたエール買ってこい」


そして私は鞘へとドュークさんの剣を納め机の上にと置くと師匠から代金を受けとると一礼して、その場を後にするのでした。


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