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背景。

あ、ちがうわ拝啓。


お父様お母様お元気でしょうか。

僕は。元気です。

つい昨日のこと。僕の家に一人、住居者が増えました。

セミロングで茶髪がかった髪をしていて、身長も150センチくらいの小さいかわいらしい中学生が、今、僕と寝食を共にしています。

正直捕まるかもしれないという恐怖に駆られて毎晩うなされる日々です。

まだ1日目ですが。

そんなこともありながらも僕は元気に今日も懸命に生きています。

おこずかい、少し上げてもらえるとうれしいです。博人より



「おい博人くんよ。お菓子がなくなったんだけど」


人んちの戸棚を勝手に開け、しかもその中に10種類はあったであろう僕が買いだめていたお菓子をすべて、昨日のうちにぺろりとたいらげてしまったくせにこいつはまだお菓子を欲するというのか。

とんだ中学生だ。


「お前に食わせるお菓子はない」


「なんだよケチ臭いこといってないでさぁ。さっさと買ってきてよ」


「なんでお前にパシられなきゃいけないんだよ!というか帰れよ!家に帰れよ!」


「あいにく私に家なんてないんでねぇ。ジャングルで生まれ育ち、ゴリラに育てられたのさ!」


「どこのターザンだよてめえは」


その割には人間の言葉喋れてるししかも洋服来てるじゃねえか。

セーラー服。もう血はついていない。

洗濯したけど完全には落ちなかったから新しい服を買ったのだ。

というかこの少女は僕のタンスにしまっておいた生活費から金を抜き取って制服を買っていた。

好き放題だ。こんなの、美少女でなければ許せなかったことだ。美少女でも許せない。

制服って高いんだぜ?


「大丈夫大丈夫。お金に困ったらそこらへんのスライムとかドラキーとか倒しとけば勝手にコイン出てくるから」


「出てこねえよ。僕はRPGの世界の住人じゃないんでな」


ドラクエにもファイナルファンタジーにも出てこねえよ。

そうえばファイナルファンタジーって全然ファイナルじゃないよな。

10回以上ファンタジーしちゃってるわけだし。

何度ファイナルしてるんだろうか。

まあ、あれって実際、スクエニがこれで最後の作品になるだろうって、当時倒産しかけていたスクエニが最後に放った希望の一撃的な意味のファイナルだからなぁ。

それがヒットしちゃって今があるらしい。


ところで、ファイナルファンタジーだとか、ドラゴンクエストだとか、どうでもいいんだけど、一つ。この少女。花子に出会ってからずっと気になることがあった。


この物語、なんだかあまりにも簡単に話が進みすぎていて少し自分に、世界に少し疑問を抱いている。

少し、じゃないな。すごく。だ。


目の前で少女がトラックに轢かれ、しかも不死身で、しかもその少女が僕の家に住むことになった。


なんてあまりにも漫画的で小説的でアニメチックだ。


本来こんなにぽんぽんと事が進むような出来事ではないはずなのだ。

アニメでもあと2話くらいは途中のストーリーがあってもいいはずだ。

それくらいに、この一連の出来事は、話が薄すぎる。

ペラペラだ。紙だ。1ミリもない。


何が言いたいかというと、この少女と打ち解け、そして僕の家に住まわせるせめてもの理由くらいはほしかったのだ。

組織に追われている。とか、僕がそういう何かの事件に巻き込まれた。とか。

じゃないと、あまりにも話が壮大で、小さすぎる。


ただ「帰る家がない」くらいの理由でその日出会った人間の家に住むような行為は、ギャルゲー以外ではありえないようなシチュエーションだ。

ああ、そうか。これはギャルゲーだったのか!

なるほど合点がいったぞ。


だがあいにく僕は中学生に興味はない。


さらに言うならば、見た目完全に小学生のこいつ、花子をそういう目でみるほど僕は女性に飢えたりしてはいないのだ。

それに僕はロリコンなんかじゃない。

だから

決して花子のスカートの下から子供パンツを覗こうなどということも考えたりしないのだ。

ロリコンじゃないし、紳士だからだ。

まあしかし、だがしかし。仮に、仮にだ。

もしかしたら彼女がパンツをはき忘れているかもしれないという僕の親切心から出た彼女のパンツの確認はあるかもしれないが。

ほら、だってあれだろう?パンツ穿き忘れてたら外に出たときスースーするじゃんか。

それに外でいたずらな風の妖精が少女のスカートをめくりあげ、パンツをはいていない彼女を、世のロリコン達見られたりなんかしたら


「うへへ、おじょうちゃん、誘ってんのかい?」


なんてエロ同人よろしく大変なことになってしまいかねない。

だから僕は善意で。善意で。彼女のスカートをめくった。


「!?」


ゴッ!

と鈍い音と花子の悲鳴とがコラボレーションした。

殴られた。

グーで殴られた。

パーではなくグーで。


「痛いじゃないか!何をするんだ!」


「えええ!?それ私に言うの!?こっちが言いたいよ!何してんだよ!」


「何って…パンツの確認以外に何があるっていうんだよ」


「博人くん君この物語始まって3話目でいきなりキャラ崩壊しようとしているんだけど」


「何を言ってるんだ。僕は本来こっち側の人間なんだ。まじめで優等生で背が高くてイケメンでスポーツ万能で優しいキャラだと思ったら大間違いだよ」


「心配しなくても最初から全部当てはまってねえよ」


ひどいことを言われた。

今にも泣きそうだ。


「泣きそうなのはこっちだよ、いきなり高校生にスカートめくられるし、意味わかんない」


「何ぬかしてるんだお前は。それに、その制服は僕のお金で買ったものだ。つまりはその制服をどうするかは僕に権利があるんだ」


「え、もしかして着たいんですか?荻野博人さん…」


おもいきり引かれた。

顔を真っ青にして。

ガタガタと震える少女。

おいまて違うぞ。


「き、着たいって言うなら…まあそれは荻野さんのお金で買わせていただいたものですし、返します…すみませんでした」


なぜその気遣いを制服を買う前にしてくれなかった!


「いやいらない!わかったよやるよそのセーラー服やるから!違うから!」


「あ、そうなんですか。わかりました…すみません」


「敬語直してほしいんだけど」


「え?私もともとこういう感じですけど」


お前もっと生意気だっただろう。

などと女子中学生とじゃれあっていたらいつの間にか時計は9時を過ぎていた。


「ああ、そろそろお風呂に入りたい時間ですね」


「お前デフォルトで敬語になってんじゃねえよ」


「いえ、もう私はこれでいくと決めました。敬語でいきます。敬語キャラです。どうです?萌えますか?」


いや…正直言って


「萌える」


萌えた。


「うわっ。キモッ」


「素直に傷つくからやめて!」


なんて、なんの生産性もない一日を送ったのだった。

そういえばこいつ、服はどうするのだろう。下着とか。

今持ってるのはセーラー服だけだよな。洗濯している間はどうするつもりなのだろうか。


「そんなの、博人くんから借りるに決まってんじゃん」


「え、ブラジャーとかパンツは?」


「よく平気で女子にそういうこと聞けますね…素直に尊敬します」


どうやら花子は、僕のことを軽蔑するときに限って敬語っぽくなるらしい。


「パンツですか。それも荻野さんに借ります。ブラはもともとしてないから大丈夫です」


「いやまってその発言聞き逃せないんだけど。僕が大丈夫じゃないんだけど」


常にノーブラだと!?

素晴らしすぎる!素敵すぎるぞ最近の中学生!世の女性はこの中学生を見習うべきだ。

あと僕のパンツを穿くってどういう意味だろうか。トランクスしかもってないんだけど。

というかそれってかなりいかがわしい絵面にならないか?


「ブラジャーはするとむしろ胸が垂れやすくなるということも聞きますしね。私のこの美乳が垂れてしまっては世の男性達に申し訳ないでしょう」


と言って胸を張る花子。

いや


「お前胸ないじゃん」


無い胸張ってんじゃねえよ。

殴られた。

グーで。

2発。


「あと期待させて申し訳ないですけどパンツは新しいものを穿かせてもらいますから。あしからず」


そういうと花子は風呂場へと向かった。


というか見ず知らずの女子中学生にここまで好き勝手されて黙って言うことを聞いてあげている僕って優しすぎないだろうか。

まあいいか。パンツみれたことだし。

ちなみにパンツは青に白い水玉パンツだった。

実に中学生らしくて可愛いパンツだった。

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