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間話 過去にて〈1〉

 俺の母親の家系は、裕福で地元では名のある家だった。

 母親の曾祖父に当たる人物が事業の成功によって多額の財産を手に入れたのだ。

 俺の父さんの実家は、そこまで裕福ではないが、父さん自らの努力によって起業に成功したのだ。



 話は変わり、4年前、俺は家から近くて通いやすい公立の至って普通な中学校に入学した。

 同じ小学校のやつも大抵、ここの中学校に来るので、優斗や真希のおかげで、幸いなことにボッチや仲間外れになることはなかった。

 

 当時の俺は、「青春を謳歌してやる!」という気持ちでいっぱいだった。

 真希の影響によってハマったアニメのような、そんな華々しく、眩しい学園生活を送りたかった。

 送りたかったのだった。

 


「よう伊吹。俺達も今日からとうとう中学生だな」


 入学式が終わり、今日はそのまま解散ということなので、俺は荷物をまとめて帰る用意をしていた。

 そのとき、既に用意が終わって、荷物をもっている優斗に話しかけられた。


「だな。小学校とか、六年もあったはずなのになんか短く感じたよな」


 そんな何気ない会話をしながら俺は鞄に荷物を詰める。

 今日、先生からもらった教材で気がつけば鞄はほぼ一杯になっていた。


「じゃあ伊吹、帰ろうぜ」


 優斗がそういって、鞄を肩に掛け、教室前方のドアへと向かっていった。

 俺も優斗の後を追って教室を出ていく。


「あ、そうだ。真希は隣のクラスだったよな。まだホームルーム終わってないみたいだし、ちょっと待とうぜ」


 俺は伊吹と真希のクラスの教室の前でまつことにした。


「そういや伊吹、部活とかはいらないのか?」

「まぁ、小学校から剣道やってたし剣道部かな」


 俺は小学校二年生の時から中学まで、近くにある道場で剣道をしていた。

 そこまでうまくはないが、唯一できるスポーツが剣道だけなので、中学でも剣道部に入るつもりだった。


「そうかーまぁ続けてきたしそうだよな」


 優斗は頭の後ろで腕を組んで、少し伸びをしながら

そう言った。


「優斗はなんかはいんないのか?」

「俺はバスケかなー」 

「おぉなんでだ?お前別にバスケとかやってないだろ」


 優斗はニコッと笑って質問に答えた。

 

「なんかバスケってモテそうじゃん」


 なんだその理由は、そもそも、お前イケメンなんだからもうモテてるだろ。くたばっちまえ。


 そうこうしているうちに、気がつけば真希のクラスのホームルームは終わり、教室から続々と生徒がでて来はじめていた。


「真希どこだー?」


 優斗がそう言いながら周りを見渡し、真希を探す。

 ところどころで女子から「ねぇねぇ、あの人かっこよくない?」などと優斗が言われていて、少しイラっとした。


「あれ真希じゃね?」


 俺がふと横をみると、そこには教室後方のドアからでてくる真希の姿があった。


「お、ほんとだ。おーい真希。こっちだ」


 優斗がそういいながら手をふって真希に呼び掛ける。

 やめろよ、入学早々にヤバイやつ認定されるだろ……

 

 その後、優斗に気がついた真希が素早く駆け寄ってきた。


「ちょっと優斗。あんた顔だけはいいんだからただでさえ注目されてるのに、もっと注目されるじゃん」 


 今日も真希の毒舌は元気もりもりだったようで、初っぱなからそんなことを吹っ掛けてきた。


「俺、そんな注目されてる?一回手振ってみるか」


 優斗がそういって手を振り始めた。

 一部の女子から少し歓声が上がってるのが気にくわないな。


「ちょ!下ろして優斗!」


 真希がそう言って無理矢理、優斗の手を下ろす。


「いや、ごめんごめん」


 優斗が真希にそう平謝りした。

 後に真希から聞いた話なのだが、真希は平穏で普通の学園生活を送りたかったみたいだ。

 まぁ結局のところ、俺と優斗のせいで無理だったんだがな。


「まぁそんなこといいからいこうぜ」


 俺は二人にそう言って、下駄箱のほうに繋がる階段に向かった。


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