5話 待ち合わせの30分前…
〈登場人物〉
空閑 奈津女20歳
?? 由梨 26歳
謎の男 ?歳
「――早く着きすぎてしまいました」
今日は6月8日の日曜日。
今日の15時から花弁ショッピングモール待ち合わせで遊ぶ約束をしていた。
だが、奈津女はその30分前。
14時30分に来てしまったのだった。
その理由を小声で話す。
「会社だと『他の会社よりも先に着くのがマナー』だって。
教え込まれてしまったんですよね。会社外でもその癖がでてしまっている……私の悪い癖です」
そう一人で立っていると、男性二人組が奈津女に近づく。
「お姉さんめっちゃ可愛いですね。どうですか、お茶とか」
「行きましょうよー」
(ナンパですか……)
恋愛に疎い奈津女でも流石に分かる誘い。
奈津女は、よくこの様な誘い方をされるため椿に一度相談したことがある。その時
〈そんな人、無視しちゃっていいよ。見た目で決めつけるってマジ最低だよね〉
そう教えられたので、奈津女は男性を無視した。
すると、男性の一人が奈津女の態度に腹が立ち。
「行きましょうって」
そう言って奈津女の手首をつかむ。
とっさのことで奈津女は驚きながら腕を振りほどこうとする。
「やめてください!」
そう言っても相手は手の力を緩めない。
周りも通り過ぎるだけで助けようとする気配はない。
(あぁ……まただ。面倒なことは見ないふり。分かっているはずなのに……)
諦めかけた。その時!
「ねぇ。ナニやってんの~?」
奈津女の事を誘ってきたナンパ男のせいで顔が見えないが、
助けようとしてくれている人は男性の声だった。
「何って。テメェに関係ねぇだろ」
「帰れよ」
ナンパ男2人が男性の方を向き追い払おうとする。
「帰れ……か。イヤだな~。だったらさいい提案があるんだけど……」
そうして、歩きながら近づいて来る。
ナンパ男2人の間に入り耳元でこう伝える。
※「お前らを地獄へ返してやろうか」
「は?お前何言って」
その時。奈津女が瞬きをする。
それと同時に手首の握られていた痛みが消えた。
目を開けると、ナンパ男2人は消えていた。奈津女の目の前にいるのは助けてくれた男性だけ。
「え?」
思わず言葉が漏れる。
開いた口が塞がらないとはまさにこの事。
すると、その男性は、口角を上げ、笑い元来た道を戻ろうとする。
(お礼を言わないと)
そう思った奈津女は足を動かし、一歩前へ出る。そして、
「あの、ありがとうございました」
大きくそしてきれいなお辞儀をする奈津女。
その事に気が付いた男性は、ズボンのポケットに手を入れ。その状態で、
「またねッ」
それだけ伝えて人ごみの中へと消えていった。
〈またねッ〉意味が理解ができなかった奈津女。
だが、考える時間はほぼ無かった。なぜなら、
「あ~奈津女~。さすがに早すぎない?ウチ今日は一番かと思ったのに」
由梨が現れたのだった。
男性が消えた方向の反対側から由梨は来て、奈津女は正直頭がパンクしそうだった。
急に消えたナンパ男。ニィっと笑った謎の男性。
そして、〈またねッ〉と言い残すその男の正体がわからない。
だが、由梨に話してもどう説明すればいいのかが分からずそのまま、ほって置く事にした。
けれど、その言葉の意味を奈津女はすぐに理解するのだった。
〈すぐに理解する〉と書きましたが、2,3話後になってしまうかもしれません。
謎の男。消えたナンパ男はどこへ…
今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ