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27話 誕生日会……の作戦会議

〈登場人物〉

空閑くが ゆり

九十九つくも みなみ

神楽かぐら 咲玖さく

5月の26日。

少しずつ花弁祭りの準備も本腰に入り始めた頃に

由梨、咲玖、南は花弁祭りとはまた別。秘密のイベント決行の為に準備を始めていた。

それは、空閑くが 奈津女なつめの誕生日会だ。


まず奈津女は6月1日。丁度今年はその日が日曜日だったため、当日の誕生日会になった。

そして今日はその日に向けて咲玖と南の家で作戦会議が行われていた。

咲玖の部屋に3人が集まると南はお茶を淹れながら口を開いた。


「それにしても、奈津女さんの誕生日が6月だったなんて知らなかった初めて知った」

「誕生日近くなっても一向に自分の誕生日2人に伝えないんだもん。流石に驚いたよ」

「誕生日は基本気づいたら過ぎてるもんじゃないのか?」

「それは人間は絶対にないね」


由梨が少し笑いながら話した。

南は〈やれやれ〉と言いながらティーカップを由梨と咲玖の前に置く。


「人間は平均的に2桁分しか誕生日を迎えないけど、吸血鬼族とか使用人族は3桁は余裕で入るぐらい

長生きな種族だから、誕生日なんてあまり祝わないんだ」

「え~。まぁそこは長生きしているときの欠点だね」


そういいながら相づちをうつ由梨に咲玖は本題の誕生日会について質問をする。


「誕生日会を開くのはいいと思うけど具体的になにするんだ?」

「今のところ考えてるのは、手作りケーキ食べてプレゼント渡すって感じかな~

まぁザ・誕生日会って感じの内容になっちゃうから面白い案出すために集まってもらったってのもあるんだけど」


そう言うと、南は腕を組んでしばらく考えた後。

ふと何かを考え付いたかのようにスマホを取り出して何かを検索し始めた。


「自分たちの居た世界。まぁ言うなれば異世界だけど、そこには誕生日会に似たイベントがあって、

いちいち個人の誕生日に集まるんじゃなくて『1年安全に生きられました』って親しい人への報告を兼ねて集まってプレゼントとか食べ物を交換する行事があるんだ」

「そんなのあるんだ」


咲玖は〈へぇ~〉と少し興味を持ったように南の方を向いた。

南はそのまま続きを話した。


「その時に、集まったみんなの歳を合わせた数の花を天井からばら撒くっていう鉄板ネタもあるんだけどそれを奈津女さんの21歳にして花束にして渡すとかならきれいだし気に入ってくれるんじゃないかな?」

「おぉ~花束の贈呈か!確かに奈津女お花好きだし……そういえばウチが奈津女と再会したのも花畑だったな~」


由梨が懐かしそうに言った言葉に2人も興味を示した。

その様子を見て、由梨もその日について話した。


「花弁市は名前の通り花が特産品の場所で、その中でも大きい花畑が市役所の隣にあって

ウチが市役所に母親に頼まれた書類を届けに行ってた時に足を運んだの。

その時期が丁度4月ってこともあって菜の花が満開だったんだ。

その写真を撮ってた時、ウチの真後ろをナツが通って、一瞬声をかけようか迷ったんだけど

ウチの事なんて覚えてるわけないって思ってそのまま、その場所を後にしようと思ったんだよ」


すると写真フォルダを開いて当時の写真を2人に見せる由梨。

確かにきれいな菜の花の写真が撮られいてその次の写真をスクロールするとそこには由梨と奈津女が写った自撮り写真が入っていた。


「でも、急に後ろから奈津女が声かけてくれてさ。

何かと思ったら、ウチが撮った菜の花の写真が通った時目に入ってその写真がどうしても欲しくなって

その為に連絡先を交換するために追いかけてきてくれたらしくて。自分の妹ながら行動力が凄いなって関心しちゃった。それで連絡先を交換した記念に撮ったのがこの写真」


全て語り終えた由梨は写真を見つめて嬉しそうにスマホを閉じた。

南はその話を聞いた後、とある提案をする。


「じゃあ、その写真たち使ってこれからもよろしく的な感覚で写真のアルバムとか作ってあげたら喜ぶんじゃない?友達だったら絶対喜ぶと思うよ」

「俺とか南にはできないことだしいいと思う」


その言葉に由梨はハッと顔を明るくしてからルンルンで口を開いた。


「たしかにね!実際に文字にしてこそ感謝って伝えられるかもしれないし、いい思い出作りだよね。

2人ともありがと!」


そう言うと、南はグッと親指を上げた状態で笑顔を向けていた。

咲玖も珍しく口角を上げて頷いていた。


「じゃあ、後は行動の確認だね~」


そうして3人は、A4サイズの紙を2枚並べて予定を書いていった。


――数十分後


「よーっし!これでいいかな?」


そう言って南はペンを机に置いた。

まず右側には1日の流れと役割分担。

左側に、当日までにそれぞれ準備する内容とやってみたいことをまとめていた。


「いい感じなんじゃない?」


腕を組んで満足そうに座る南。

色ペンを持って担当分担を分かりやすくしていた由梨。

咲玖は静かに予定表を見つめていた。字を指でなぞった後、ほほ笑んでいた。


「2人とも準備も手伝ってくれてありがと。きっとナツも驚くと思うよ」

「反応がいいとより嬉しいよね~」

「そうだね」


由梨は少しもじもじと手をいじった後、言葉を濁してとあることを聞いた。


「ところで、話は変わるけど……さっくんはナツの事。どんな風に思ってる?」

「どんなふうってどういう意味?」


咲玖は不思議そうに由梨を見つめた。

由梨は少し目が泳いだ後、決心したように真っ直ぐ咲玖を見つめると口を開いた。


「さっくんのナツへの気持ちは恋愛感情?それとも友人としての好きって感情?」

「――!?」


一瞬。

咲玖も驚いたように目を見開いたがその後頭の整理がついたのかすぐに答えた。


「恋愛感情だと思う。大好きだから」

「だろうね~」


南は笑いながらそう言った。

由梨は答えを聞いた途端口を開いたまま固まっていた。


「その反応的にみなみんは知ってたの?」

「いや。初めて奈津女さんに咲玖さんが会った時に〈美女〉なんて答えてたからね」

「その瞬間ぶっ倒れかけたけどね」

「それで。あれね」


納得したように相づちをうつ由梨。

楽しそうな会話を弾ませた後、その日は解散の事となり南は玄関まで由梨を見送った。


「いやぁ。今日はなんとなく決まって良かったよ」

「そうだね。次会うときはここで奈津女さんを連れてくる時だよね」

「うん!ぶっつけ本番だけど楽しみだよ」


そう笑う由梨を見て、顔が赤くなる南。

それを手で隠した後、南は思い出したように口を開いた。


「ユーさん。無責任かもしれないけど、もしも自分が居なくなってもと我が主と奈津女さんの事はよろしくお願いしますね」

「え?どういうこと?」


不謹慎な話に眉を寄せる由梨。

そんな顔になることを分かっていたかのように申し訳なさそうに軽く頭を下げる南。


「これから自分はどうなってしまうか分からない。でも使用人族としての使命を果たす。

その時。ユーさん……由梨の気持ちがどうかは分からない。でも……」


夕日が館全体、そして横に並ぶ2人をオレンジ色の光で包む。

南を見上げる由梨に告げられた言葉とは。


「自分は、由梨の事が好きだよ」

唐突な南からのプロポーズ。

由梨はどう返答するのか……

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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