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21話 朝から…

〈登場人物〉

空閑くが 奈津女なつめ 20歳

空閑くが 由梨ゆり 26歳

九十九つくも みなみ ?歳

神楽かぐら 咲玖さく 170歳

5月16日。

祭り本番は8月だが会社の忙しさ緩和のため早めの準備がされることとなっており、今日はその初日だ。準備会場が分からない咲玖と南のために集合場所は、館にしたが、そこに行く前に先に準備会場に奈津女は顔を出した。


「奈津女さん入られまーす」

「私女優じゃないんですけど…」


そんな声掛けをされながら、花弁町の役所の1つのスタジオに入った奈津女の顔は苦笑いだった。

そんな彼女に声を掛ける人がいた。


「奈津女~。おはよう」

「姫宮さん。おはようございます」


椿は右腕を大きく振りながら奈津女に向かって歩いた。


「それにしても、朝早くからすごいね。私なんか今日アラーム3つセットしてきてやっと起きれたのに」

「確かに、集合早いですよね」


スタジオの中は照明で明るいが窓から見える景色はまだまだ暗く、壁掛け時計を見るとまだ朝の4時50分。周りの社員もみな、あくびをしながら作業前の打ち合わせを行っていた。

奈津女は、スマホで咲玖達のグループルインが動き出したのを確認すると、椿を見つめて話した。


「実を言うと今日。私の友達3人に準備を手伝ってもらう事にしてたんです。全くの部外者なのですが…大丈夫でしょうか?」


そう言うと、椿は嬉しそうに奈津女の両手を握って話し始めた。


「全然いいでしょ!猫の手も借りたいってレベルだし!それより私は会社外に友達を作って、その友達を頼っている奈津女の姿が見れて一安心だよ」


そう言い終わると奈津女はニッコリと微笑んだ。そんな会話内容を知らない、周りの社員たちはそんな奈津女の笑顔が見れて体が温まったように感じたのだった。

ほんのり会議に参加して、〈奈津女の友達が来る〉という事を全員が知ると、奈津女はスタジオから出て咲玖や南。由梨がいる館へと車を走らせた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


館の庭に車を停めて、インターフォンを鳴らそうと車から降りると、玄関前には既に3人が立っていた。


「奈津女さーん。おはよう~」


そう言って南は両手を振っていた。


「ナツ~」


それにつられて、由梨も手を振っていた。

そんな2人を見つめる咲玖の目は※1週間前よりも笑っていた。

3人が車に近づき、早速車に乗り込もうとした時、咲玖が奈津女を真っ直ぐに見て口を開いた。


「俺。奈津女の隣」


そう言うと、奈津女はポカンとした顔で咲玖を見つめた後、由梨の方を向いた。

由梨は口を抑えて笑いを堪えている。南はその横でハァーと溜息をつきながら左手を顔に当てて呆れていた。すると、誰も止めることなく無言で咲玖は助手席に乗り込んだ。

その様子を見ながら、由梨や南も車に乗ろうとした。奈津女も我に返り運転席に乗った。


「よーし。じゃあシートベルト付けてくださーい」

「?」


咲玖と南は頭の上に?マークを浮かべて奈津女を見る。

その事に気づいた由梨は南にシートベルトを教えた。その間に前の席でも、奈津女が咲玖の左横にあるシートベルトを指さして言った。


「そこの帯をこっちに持って来てください。そこの灰色のやつです」

「うまく…伸びない…」

「ちょっと待っててくださいね」


奈津女は自分のシートベルトを外して、咲玖の座っている座席に身を乗り出した。

左手を座席の端に置き、右手をベルトに伸ばす。


「!?」


咲玖はあまりの至近距離に固まりながら顔を赤くし続ける。

奈津女はようやくベルトが手に取れて、身を起こそうとすると、左側から視線を感じて顔をそちらに向けると、目の前には咲玖の顔がとても。とても近くにあったのだ。


「・・・」


無言で自分の席に体を戻すと、自分と咲玖のシートベルトを付ける。

後ろで、由梨は口を手で押さえながら南の服を掴み横に揺らしていた。

そして、気まずい空気を2秒ほど吸うとそんな空気を南が断ち切った。


「よし!じゃあ行こう。準備会場にさ」

「う、うん」


そうして、エンジンをかけて車は市役所へと動いた。

※1週間前は5月8日(日)でショッピングモールに行った日です

今回は久々に短いお話でしたが、

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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