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2話 お化け屋敷へ!

〈登場人物〉

空閑くが  奈津女なつめ20歳

??  由梨ゆり 26歳

九十九つくも みなみ  ?歳

神楽かぐら  咲玖さく ?歳


(今回は長くなってしまいましたスミマセン)

ケーキ屋の日から6日後。

2人は駅を待ち合わせ場所として合流した。

朝の7時30分。

明るいこの時間に来たことを2人は洋館の前に到着してから後悔していた。


「こういうのって、夜に来るべきだったよね……」

「そうですね。雰囲気もめちゃくちゃですね。すみません、私の仕事が午後に入ってしまって……」


奈津女は下を向く。それを見た由梨がすぐさまフォローに入る。


「いやいや。お仕事だったら仕方ないし!ほら、洋館のインターフォン鳴らしてみよ!」


そう言って、奈津女の手を引き玄関前までやってきた。

ドアは木材でできており黒い塗料で塗装されていた。

近づいてから分かったが出入口や、近くの庭はしっかり手入れをされていた。

そこから、2人は


『屋敷に誰かが住んでいる』


と考え、礼儀としてインターフォンを押すことになった。


「ねぇ。奈津女が押してみて」

「え。なんで私なんですか!」

「いや。押したそうな顔してたし……ウチが押したら、ねぇ」


そう言って、誤魔化そうとする由梨。すると、奈津女が思わずツッコミを入れた。


「押したそうな顔ってなんですか!というか、由梨が怖くて押せないだけじゃないんですか?」

「そ、そんなことないもんねぇー」

「――目が泳いでますよ」


そのように、玄関前でおどおどしていると、背後から声がした。


「どうかしたの?」


その声は、女性にしては低く、男性にしては高い声だった。

驚いた2人は後ろを向く。

目線の先には、身長の高い男性が立っていた。

正確にはわからないが、165㎝の奈津女よりもはるかに高い。

そんな男性は、不思議そうに2人を見つめる。


「ココに用があるみたいだったけど……?」

「あー!はい。そうです」


身長の事ばかり考えていた奈津女は再度話しかけられてやっと、話し始めた。


「えっと。ここのお屋敷の迫力に惹かれてしまい…」

(なんで、私わざわざ嘘ついてるのでしょう⁉いやでも、惹かれたのは嘘じゃないですし…)


そうして、心の中で自問自答を繰り返していると、普段自分から話に入ってくる由梨が静かなことに気が付いた。

〈助けて〉と言いたげな眼で由梨を見つめようとする。

と、驚くべきことが分かった!


「え、気絶してる……えーーーー⁉」


奈津女がそう叫ぶと、前へと倒れそうになる由梨。

すると、男性がそっと肩を持った。


「あれ気絶ですかね~……とりあえず、屋敷に上がって。この子が目覚めるまで」


そう言って由梨の腕を自分の肩にかけ、屋敷のカギを開けて。

中に入れてくれた。


「あ、ありがとうございます。お邪魔します」


数秒間での情報量が多すぎたため奈津女は、ほぼ呆気に取られている。

その中で、男性は広い部屋へと奈津女を案内した。

そこにはレンガでできた暖炉や赤い布で作られたソファが置いてあった。

そのソファに由梨を寝かせてから、男性は奈津女の方を向く。


「少し待ってて。この館の主に説明してこないとだからさ」


そう言って、その場を離れようとする男性に奈津女は声を掛ける。


「あの!私もその方にお礼を申してもよろしいでしょうか。

勝手に上がらせていただいて申し訳ないので……」


男性は少し考えてから奈津女に笑顔を見せる。


「めっちゃ礼儀正しいですね。いいですよ。

でも、主は人間が好きじゃないので、もしも塩対応だったらゴメン」

「いえ。大丈夫です。ありがとうございます!」

(人間が好きじゃないってどういうことなのでしょう?人間不信とかでしょうか?)


そうして、2人はその部屋を出た。

改めて横に並ぶと身長の差は随分とあった。

そんな事を考えていると男性が声を掛けてきた。


「主の部屋。意外と遠いんですよ。

それまで、自己紹介とはどうですか?ここで出会ったのも何かの縁かもしれませんし」


そう言って頭を横に倒す男性。奈津女は頷きながら


「そうですね。ご縁は大切にしないとですもんね。

私は空閑 奈津女と申します。そして、気絶したのは由梨です」

「奈津女さんと由梨さん。いい名前ですね。

自分は九十九つくも みなみって言います。南とでも呼んで」

「さすがに呼び捨てはできませんよ。南さんですね。

先程は由梨を助けていただきありがとうございました」


奈津女は足を止め、頭を下げた。

その姿を見て南も足を止めて笑った。


「アハハ!わざわざ頭下げなくていいよ。

自分この通りめっちゃゆるいから、そんなお礼されてもって感じだしさ」


奈津女は頭を上げて南が笑っていることに少し驚きながらも、2人はまた歩き出した。


(お礼を笑う人は初めてだけど、それだけ器の広い方だって分かりました)


そして、雑談へと入った。


「南さんって好きな映画のジャンルとかあったりしますか?」

「映画か~あんまり見ないんですけど。ホラー系ですかね。意外と耐性あるんで」


その瞬間。奈津女が目を輝かせた。


「☆私もホラー大好きなんですよ!あ、でも……」

「でも?」

「恋愛要素は苦手というか、耐性がなさ過ぎてすぐにダメになっちゃうんです」

「へー。逆かと思ったのに。ホラーダメそうで恋愛大好きみたいな」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そうして、話していると噂の主の部屋の前までたどり着いた。

南がドアノブに手を掛けて扉が開いた。


「咲玖様ーいらっしゃいますかー?」


南が部屋に向かって叫ぶ。


(そんなに声を出すほど広いのでしょうか……オカルト好きとしての好奇心が……見てみましょう!)


そうして南の後ろから覗いた先の部屋は沢山の本が並んだ図書室のような場所だった。

入口の目の前には、木でできたカウンター。その両側が階段。

そして、その階段の先には終わりが見えないほど長い本棚が設置されていた。


「す、すごい」


あまりの迫力に奈津女が言葉を漏らす。

南は奈津女の方をチラッと一瞬向き、


「すごいでしょ。ここの部屋だけは主が週に3回は掃除をして、清潔にしているんだ」


と、部屋を見つめながらそう話した。

そして、南は一点を見つめてクスっと笑った。


「咲玖様。そろそろ出てきたらどうですか?

読書に夢中になるのはいいですけど」


そういうとカウンターの下からニョキっと頭が見えた。

そこからぬくっと立ち上がり、本をカウンターに置きながら男性が歩いてきた。


「どうせ、自己紹介とかしない人なので自分の方から言わせていもらうね。彼がこの館の主。

神楽かぐら 咲玖さくです」


そう話し終えるのと同時に、咲玖と呼ばれる人は2人の前で止まった。


(南さんよりは身長低いけど、私よりはやっぱり高いですね)


咲玖が奈津女を細く鋭い目で見つめる。そして、南の方を向いて。


「で、この美女誰?」


真顔で南に聞く咲玖。そして、思い出した。


〈恋愛耐性がなさ過ぎてすぐダメになっちゃうんです〉


横を向いた時にはもう遅く、奈津女はすでにボーっとしてしまっていた。


「あちゃ~……咲玖様。思ったことそのまま口に出しすぎです」

「え?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


数分後、奈津女は目を覚ました。


「奈津女~あなたまで気絶するってネタじゃあるまいし」

「え?由梨?」

「あ、起きた。うちの主がゴメンね。すぐに思ったこと口に出しちゃうんだよ」


そうして、奈津女は自分が言われた言葉を思い出した。


(直接男性に言われるのが初めて過ぎて思わずボーっとしてしまってたんですね……納得です)


ソファから立ち上がり、奈津女が辺りを見渡す。

暖炉に近い椅子で咲玖は本を読んでいた。

その様子と見かねた南が咲玖から本を没収し、奈津女の方に手を向ける。

すると、咲玖は立ち上がり奈津女の方に歩き出した。


「スミマセンデシタ。お詫びに今度また遊びにキテクダサイ」

(なんでカタコトなんだろ~)


そう由梨が思っている中で、奈津女は少し頬を赤らめていることにその場にいた全員、気づかなかった。

由梨が気絶した理由や、咲玖については3話で書く予定です。お楽しみに

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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