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18話 昔話

〈登場人物〉

空閑くが 奈津女なつめ 20歳

空閑くが 由梨ゆり  26歳

九十九つくも みなみ  ?歳

神楽かぐら 咲玖さく  170歳

デス 1003番 ??歳

死神しにがみ 12番  ??歳

ご飯も食べ、皆の意識もハッキリしてきた6月9日午後1時ごろ。


一番落ち着くからという咲玖の意見から、昨日のデスとの会話内容は咲玖の部屋で話すことになった。

咲玖は相変わらず、自分の横に本を何冊か常備させて話を聞こうとしていた。


奈津女はメモを片手に話を待ちわびて、由梨はそんな奈津女を落ち着かせると、なんとも統一感のない空間が広がっていた。

南は一度、フーッと深呼吸をした後、口を開いた。


「まぁ。今から話すのはちょっとした昔話だ。そう思って聞いて欲しい」


そう言うと、全員頷いた。


「とある所に平和な国がありました。今まで一度も戦争を起こさず、とても穏やかで美しい国でした。その国では、18歳になると自分の役職が与えられるようになっており、役職が与えられるまで国の中で過ごし18歳で国を離れるように決まっていた。そこに小さな男の子2人が友達になった。そいつらも、大きくなって自分の役職を得た。一人は死神。もう一人は国の中で働く使用人。2人は離れ離れるなる…はずだった」


そこで、奈津女が聞く。


「〈だった〉ってどういう事なんですか?」


南はゆっくりと答えた。


「内戦が起きたんだよ。死神と王族とで。元から戦闘能力にけているものが死神になるようにされていたが、反対に王族は今まで戦争がなかった平和な国だったためとても弱かった。だが、1人の女王は死神に対抗していた。その人は、自分の主だった。〈自分も戦います〉そう言うと、その方は、自分に布で巻かれたモノを渡してきた。自分がその布をめくるとそこにはまだ小さな赤子の姿があった」


ビックッと本から目線を変え、南を見つめる咲玖。その視線に気づきながらも、それをスルーして話を続ける南。


「主は言った〈その子を頼む。これが最後の命令だ〉そう言うとその方は、城を飛び戦へと消えていきました。自分はその赤子とともに、その国から逃げ出してきました。そして、途中で自分は色々な事が起こり過ぎたため、森の中で足をすくませていました。そこに現れたのは、昔の友達。死神だったのです」


その話をする前に南は一度深呼吸をした。南にとってもこの出来事は思い返すだけでつらい出来事なのだろう。その場に居た全員がそう思ったため、誰も話さずただジッと南が落ち着くまで待っていた。

その後、また話し始める南。


「そのときその死神は自分を見て言いました〈俺についてこい〉そうして辿り着いたのがこの屋敷でした。屋敷は今よりもボロボロでただ雨風が防げるだけの場所でした。そう思いながら赤子を守っていると死神は、〈俺がいると迷惑かも〉と言って屋上の角へと行きました。そして、落ち着きを取り戻した自分は屋敷で掃除や生きていくための生活基盤を整えました」


そうして、まだ話している南をわざと遮って咲玖が聞く。


「屋上って、昨日いた場所か?」


そうして聞くと、南はふにゃっとした笑顔で


「はい。あの頃のアイツはもっと敬語の使えるやつでした」


そうして、また話を続けた。


「これ以上は話しすぎるとまたデスに怒られるので、デスの名前の由来についてだけ話します。

先程もお話ししたようにアイツは今とは違い、一人称は俺。

でも、必ず敬語は使うという、言うなれば変な奴でした。

そのとき自分は考えました。あだ名を作ろう。

そうなったときに敬語を使うときの『ですます』と死神の死を英語に変えた『デス』を使って、死神のデス。そうしました」


すると、椅子から立ち上がりカーテンを小さくめくりボソッと呟いた。


「あの頃に…幼いころに戻りたいな」


その言葉は誰にも届かない。唯一届くのであればきっとそれは、親友のデスだけなのだろう。

だが、その一方でデスは、死神の国でとあることで頭を悩ませていた。


「マジでどうしようか…あの3人…」


それは、咲玖と南の魂回収の事について…のはずだったがデスが口にした人数はあともう1人いた。

ショッピングモールでも、デスは南にだけその話をした。


「マジで…閻魔に聞くしかねぇかな…」


そう頭を掻いていると、そこに他の死神たちが現れる。


「1003番~。お前また魂集まってないんだってね~」

「あんなん。簡単だろ」

「いや。ちょっと理由があって…」


1003番とは、デスの名前であり4桁という時点で位とすると下の方だ。

そんなデスはいつものように

『いじられキャラ』として生活を続けている。

そのネタは大体『仕事ができないこと』だ。


「理由なんてどーでもいいんだよ。さっさと魂の1つでも集めて来いよッ!」


そう言ってデスの背中を思いっきり叩く1人の死神。


「・・・閻魔様のとこ行ってくる」


そう言って席を外すデス。デスは書類を胸に抱えてコツコツと歩き続ける。足音が異様に響き渡る地下への階段。そんな自分の足音に嫌気がさす中、閻魔のいる地下の最下層に辿り着いた。



「閻魔様。神楽咲玖と九十九南の命を回収する件についてなのですが…どうにか取り消すことはできませんか?そして、あともう1人の…」

「馬鹿者!」


閻魔はそう言ってデスを見下ろす。デスは頭を上げて閻魔を見る。


「魂を1つも集められていないお前にせっかく仕事を与えたというのに…今回の件は12番に引き継いでもらう。12番!」

「はい」


そう言って現れたのは先程、デスの背中を叩いてきた死神だった。そいつは、頭を下げながら閻魔に


「お仕事頂けること大変うれしく思います。1003番よりもご期待に沿えるよう精一杯行ってまいります」


そう言う12番の顔は、本当のバケモノのようなとても恐ろしい顔だった。

デスは、逃げるようにしてその場を離れた。

階段で地上に戻るまでの間に踊り場があった。そのとき、デスはいきなりその壁を思いっきり蹴った。


「クソッ!」


靴の音とは比べ物にならないくらいに響き渡るデスの怒り。

その瞬間、我に返ったデスはハッと地上に向かって全力で階段を駆け上る。


(早く…あいつ等に、伝えないと!)

少しづつ分かってくる、南とデスの関係

1003番ことデスが伝えたい事とは…

今回も読んで頂きありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

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